未来のグローバル人材がJICA筑波に集結!2023年度「大学生・大学院生向け国際協力理解講座」

2023.10.13

JICA筑波は、7月下旬から9月下旬にかけて、2023年度「大学生・大学院生向け国際協力理解講座」を実施しました。計4コースを実施し、合計48名の大学生・大学院生が受講しました。

受講者からは、「国際協力についての知識を得られ、キャリアについて考えることができた」、「国際協力への携わり方の選択肢が増え、自身の目標の明確化につながった」、「実際に国際協力の現場で働く人の話しを聞くことができ、同じような夢や目標を持つ同世代と話すことで刺激を受けた」などの声が届きました。それぞれ多くの学びを得られたことが確認でき、主催者として嬉しく思うとともに、今回の講座が受講者の将来の活躍につながることを期待しています。

未来の国際協力・グローバル人材の育成~大学生・大学院生向け国際協力理解講座とは

JICA筑波では、国際協力に関心を持つ大学生・大学院生を対象に「国際協力理解講座」を毎年実施しています。将来、国際協力に従事することに関心のある方や、グローバル人材として国際社会の発展に貢献したいと考える方向けの講座です。

国際協力に関心を持つ学生から広く受講者を募り、講義やワークショップを通じて国際協力への理解を深める「国際協力実務講座」に加えて、農業分野の研修を数多く実施するJICA筑波の特色を活かし、JICAの研修員受入事業の一部に参加し、JICA研修員とともに講義・実習を受ける「農業コース」も提供しています。2023年度は、以下の4種類のコースを実施しました。

No.1 国際協力実務講座
No.2 小規模農家の生計向上のための野菜生産技術
No.3 アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)
No.5 天水稲作のための稲栽培・種子生産及び品種選定技術

※No.2からNo.5が農業コース。「No.4 稲作技術向上(普及員)」(英語・フランス語の2コースで構成)の募集も行いましたが、応募者数との関係で実施に至りませんでした。

国際協力実務講座

実施期間:2023年8月21日(月)~8月25日(金)
受講者数:37名

<概要>
本年度も昨年度に引き続き、2日間の対面プログラムと3日間のオンラインプログラムにより実施しました。全国から集まった大学生・大学院生たちが顔を合わせて議論を重ね、学び合う機会となりました。

このコースの講師は、JICAや開発コンサルタント、NGO、JICAの民間連携事業を実施した企業など、国際協力の現場で活躍する様々な「プロ」たちで構成されています。対面開催日には、開発コンサルタントをモデレーター/ファシリテーターとして迎え、実際に国際協力で使用されている手法に基づいてプロジェクト立案を体験したり、国際協力の現場で起きうる事例をゲーム形式で学んだりするワークショップなど、実践的なプログラムを実施しました。オンライン講義の日も各講師がグループワークやクイズ等の工夫を施すことで、受講者たちの活発な参加が見られました。主なプログラム内容は以下の通りです。

【講義】
・国際協力概論(ODA・JICA事業、持続可能な開発目標(SDGs)・開発課題、国際協力の多様なアクター・JICAと他アクターの連携、国際協力の仕事・キャリア、JICA職員の仕事等)
・JICA技術協力プロジェクトの具体的事例
・NGOによるプロジェクト(草の根技術協力事業)の具体的事例
・JICAボランティア事業参加者の具体的事例
・JICAと民間企業の連携の具体的事例

【ワークショップ・ディスカッション】
・プロジェクト管理手法(PCM手法)を用いた事業計画・立案体験
・JICA筑波施設見学・紹介
・国際協力実務者とのキャリア懇談会
・開発現場シミュレーション

<参加者の声(一部抜粋)>
・自分の専門分野を生かした研究職と国際協力の仕事とどちらの道に進むか悩んでおり、一度は国際協力の道は諦めたが、諦めずに2つの道を合わせた進路に進むと決意することができた。これまでの人生で一番と言えるほど濃密で刺激の多い、今後の進路を大きく変えた5日間だった。
・国際協力について多種多様なことを学ぶことができた。特に、国際協力における多様なアクターの存在やキャリア形成を考えるうえで必要なことについて学ぶことができたと感じている。
・講座の内容として実務の詳細について学べ、実際に国際協力を仕事にしている方々のキャリア形成について知ることができ、また、国際協力に関心を持った異なるバックグラウンドの学生の話を聞けたことも良かった。
・JICA職員や国際協力に携わるNGO、民間企業、同じ国際協力に関心のある学生の話を聞き、国際協力に関する関心がより一層高まった。この経験をしっかり還元できる人材になりたい。

プロジェクト立案に取り組む様子

施設見学中に民族衣装を試着

ゲーム形式のワークショップの様子

小規模農家の生計向上のための野菜生産技術

実施期間:2023年7月24日(月)~7月28日(金)
受講者数:1名

<概要>
この研修コースは、小規模農家への栽培・営農技術普及に携わる農業普及員を対象に、野菜の生産技術、農業経営の一環としてのマーケティング、販売方法等の基礎的な知識の習得を目指すものです。受講者は、ラオス、フィリピン、東ティモール、カンボジア、ネパール、パプアニューギニア、インド、スリランカからの研修員と共に、以下の講義・実習を受講し、途上国の小規模農家の生計向上につながる野菜生産技術を学びました。

・実習(トマト採種、病原菌の検鏡、練床技術、有機肥料の有効果測定、直売等)
・直売所の展開計画から運営の実際(見学)
・JICA筑波の公開イベント「ちびっ子博士」での「スイカ博士になろう」の準備・実施


<参加者の声(一部抜粋)>
日本だけでなく海外の研究者・技術者とともに、国の経済と人々の暮らしの発展に貢献したいという気持ちを持った。就職活動を控えており、国際協力に携わることのできる多様な機関に応募したいという考えが強いが、その結果にかかわらず、国際協力に関わる分野へ視野を広げたり、海外に行ったり、新しい分野に挑戦してみたりと、自分で吸収し、自ら行動する姿勢を忘れないようにしたい。

研修員とトマト採種実習に取り組む様子

研修員と協力してトマトを誘引する様子

アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)

実施期間:2023年7月24日(月)~7月27日(木)、9月26日(火)
受講者数:3名

<概要>
この研修コースは、アフリカ地域の農業普及員を対象に、(「作って売る」から「売るために作る」農業への意識変革を促す)市場志向型農業の考え方、そのために必要な野菜栽培技術、流通販売方法・普及手法の習得を目指すものです。受講者は、バングラデシュ、ボツワナ、ガーナ、レソト、マラウイ、ナミビア、ナイジェリア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエからの研修員と共に、以下の実習を受講し、途上国における市場志向型農業振興の手法を学びました。

・鮮度保持試験
・メロン品種比較試験結果・まとめ
・太陽熱消毒実習
・カボチャ出荷実習
・間引きによる出荷規格調整
・インテリムレポート検討会

<参加者の声(一部抜粋)>
自分自身が積極的に行動すれば、施設内のどこで会っても研修員とコミュニケーションを取れる関係になれたことに喜びを感じた。座学と実習をバランス良く組んであるため、楽しく参加でき、幅広い学びがあった。

出荷実習でカボチャを分類する様子

実習結果について研修員と議論する様子

天水稲作のための稲栽培・種子生産及び品種選定技術

実施期間:2023年8月28日(月)~9月1日(金)
受講者数:7名

<概要>
この研修コースは、研究・普及人材を対象として、稲の栽培技術、種子生産技術、品種選定技術を用い、自国の天水稲作に関する課題への対策を検討できる能力の習得を目指すものです。受講者は、アンゴラ、ガーナ、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ギニアからの研修員と共に、以下の講義・実習を受講し、天水稲作技術について学びました。

・実習(稲の出穂期調査、品種登録試験調査、収量調査、原原種種子抜き取り調査等)
・アフリカの稲作
・稲の収量と収量構成要素
・日本の種育種


<参加者の声(一部抜粋)>
・日本でこれまであまり馴染みがない天水稲作について、どのような条件が必要であるのか、どのような振る舞いが最終的な収量に貢献していくのかについて、理解を深めることができて良かった。また、収穫後や栽培途中の稲を評価する術を知ることができたことも意義深かった。
・農業経済学を専攻していたため、自然科学分野の内容を必死になりつつ学んだことは非常に良い経験であり自信になった。また、自分のフィールドを持って研究に取り組むことに非常に興味を持ったため、アフリカの農業への関心を継続しつつ社会人経験を積み、将来的に大学院に進み研究をすることも考えている。
・JICA海外協力隊としてアフリカで活動したいと考えているが、今回参加したことにより、英語力や専門知識の課題を痛感した。現在学部2年生であるため、それぞれの能力向上を図りたい。また、研修員の意欲的な参加姿勢を見習い、大学での学びがより有意義になるよう努めたい。

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