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JICA筑波から踏み出す国際協力・グローバル人材への新たな一歩! 2024年度「大学生・大学院生向け国際協力理解講座」

2024.09.26

JICA筑波では今年も、7月下旬から8月下旬にかけて、2024年度「大学生・大学院生向け国際協力理解講座」を実施しました。全5コースで計50名の大学生・大学院生が受講しました。

受講者からは、「キャリア形成の大きな一歩につながった」、「さまざまな種類の学びがあり、とても充実したプログラムであった」、「実際の現場の雰囲気をリアルに感じることができるので参加して良かった」などの声が届きました。それぞれが多くの学びや人とのつながりを得られた様子が見られ、主催者として嬉しく思うとともに、今回の講座が受講者の将来の活躍につながることを期待しています。

未来の国際協力・グローバル人材の育成~大学生・大学院生向け国際協力理解講座とは

JICA筑波では、国際協力に関心を持つ大学生・大学院生を対象に「国際協力理解講座」を毎年実施しています。将来、国際協力に従事することに関心のある方や、グローバル人材として国際社会の発展に貢献したいと考える方向けの講座です。

国際協力に関心を持つ学生から広く受講者を募り、講義やワークショップを通じて国際協力への理解を深める「国際協力実務講座」に加えて、農業分野に強いJICA筑波の特色を活かし、JICAの研修員受入事業の一部に参加し、JICA研修員とともに講義・実習を受ける「農業コース」を実施しています。2024年度は、以下の5種類のコースを実施しました。

No.1 国際協力実務講座
No.2 小規模農家の生計向上のための野菜生産技術
No.3 アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)
No.4 稲作技術向上(普及員)
No.5 天水稲栽培・種子生産及び品種選定技術

国際協力実務講座

実施期間:2024年8月19日(月)~ 8月23日(金)
受講者数:37名

<概要>
本年度は、対面での開催日を1日増やし、2日間のオンラインプログラムと3日間の対面プログラムを実施しました。全国から集まった大学生・大学院生たちが顔を合わせて学び合い、議論を重ねる機会となりました。

このコースの講師は、JICAや開発コンサルタント、NGO、民間企業など、国際協力の現場で活躍する様々な「プロ」たちで構成されています。対面開催日には、実際に国際協力の現場で使用されている手法に基づいてプロジェクトの計画・立案を体験したり、プロジェクト実施中に直面しうる課題の解決策をディスカッションしたり、実践的なプログラムを提供。オンライン開催の日も各講師によるグループワークやクイズ等の工夫に富んだ講義で、受講者たちの活発な参加が見られました。主なプログラム内容は次の通りです。

【講義】
・国際協力概論(ODA・JICA事業、持続可能な開発目標(SDGs)・開発課題、国際協力の多様なアクター・JICAと他アクターの連携、国際協力の仕事・キャリア、JICA職員の仕事等)
・JICA技術協力プロジェクトの具体的事例
・NGOプロジェクト(草の根技術協力事業)の具体的事例
・JICAと民間企業の連携の具体的事例
・JICAボランティア事業参加者の具体的事例

【ワークショップ・ディスカッション】
・プロジェクト管理手法(PCM手法)を用いた事業計画・立案体験研修
・プロジェクトモニタリング体験ワークショップ
・JICA筑波施設見学・紹介
・国際協力実務者とのキャリア相談会

<参加者の声(一部抜粋)>
・3日目までの研修では、現場で働いている方の声や海外協力隊に実際に行った方の体験談を聞くことができ、国際協力に具体的なイメージを持つことができた。講義では、様々な資料も見せていただき、たくさんの情報を得ることができた。4・5日目は、チームで色々考えたり話し合ったり、実務者から直接アドバイスを得たりと、普段なかなかできない実践を体験でき、とても勉強になった。他にも施設案内や研修員の方とのランチ会など、ここでしかできない体験で、本当に楽しかった。
・国際協力に対して意識が高い仲間と5日間じっくり議論することができ、様々な方向から国際協力について知ることができた。また、自分のキャリアパスについてイメージを明確にする大きな助けになった。
・国際協力に関わることのできる職業につきたいと考えている。同じ国際協力に関心を持っている仲間と出会って、私自身のモチベーションややりたいこと、進みたい道が明確になった。
・国際協力について、さまざまな学生と意見交換を行い、知識を共有する機会を得たことは、とても有意義な経験になった。また、実際にプロジェクトの構築を経験することで、コミュニケーション能力と交渉力、柔軟性を身につけることができた。ここで得た学びと経験を活かし、自分の夢である国連職員として、常に学び続ける姿勢を持ちながらあらゆる挑戦に取り組んでいきたい。
・日本の国際協力には、「人」とのつながりを重視し、地域社会に深く寄り添い、長期的な視点で持続可能な発展を目指す素晴らしい取り組みがあることを学んだ。さまざまなステークホルダーと連携し、自分の研究を通じて世界に向けてこれらの取り組みを発信していきたい。

プロジェクト立案に真剣に取り組む学生たち

施設見学でJICA筑波の圃場を見学

キャリア相談会で熱心に質問する学生たち

開発途上国から来日している研修員とのランチ交流会は大盛り上がり!

小規模農家の生計向上のための野菜生産技術

実施期間:2024年7月22日(月)~ 7月26日(金)
受講者数:4名

<概要>
この研修コースは、小規模農家への栽培・営農技術普及に携わる農業普及員を対象に、野菜の生産技術、農業経営の一環としてのマーケティング、販売方法等の基礎的な知識の習得を目指すものです。カンボジア、ラオス、ネパール、フィジー、パプアニューギニア、トンガ、エスワティニの研修員と、以下の講義・実習を受講しました。

・直売実習の準備(価格設定やポップの作成等)と実施
・鮮度保持、トマト採種、有機肥料の有効化測定等の実習
・JICA筑波の公開イベント「ちびっ子博士」での「スイカ博士になろう」の準備・実施


<参加者の声(一部抜粋)>
・国際協力の現場を体験することができた。諸外国の課題や日本の協力内容について実際に取り組んでいる方々から話を聞くことができた。
・JICA筑波の研修事業に関して知識を深めることができ、国際協力に関する将来の選択肢を広げることができた。
・農業を包括的に勉強する必要性を改めて認識させられた。広い視野で農業を学んでいくとともに、簡便な技術の開発を目指して研究の方を進めていきたい。

販売の工夫などについて研修員たちと議論

研修員と一緒に野菜の販売実習

アフリカ地域市場志向型農業振興(普及員)

実施期間:2024年7月22日(月)~ 7月26日(金)
受講者数:4名

<概要>
この研修コースは、アフリカ地域の農業普及員を対象に、(「作って売る」から「売るために作る」農業への意識変革を促す)市場志向型農業の考え方、そのために必要な野菜栽培技術、流通販売方法・普及手法の習得を目指すものです。ボツワナ、エチオピア、ガーナ、レソト、マラウイ、ナミビア、ナイジェリア、南スーダン、タンザニア、ウガンダ、ジンバブエの研修員と、以下の講義・実習を受講しました。

・鮮度保持試験、カボチャ出荷、出荷規格調整等の実習
・各研修員の個別課題学習

<参加者の声(一部抜粋)>
・アフリカの農業事情について、様々な参加者から意見を聞くことができて勉強になった。経験豊富なインストラクターの方が、質問にも丁寧に答えて下さり、農業開発に対する理解が深まった。
・自身の研究で行っている実験に再現性があるのかを考えるときに、今までは日本国内だけで考えていたが、農業資材の不足しているアフリカを含む海外での使用可能性も視野に入れて考えたい。
・自分の専門性を高めて、国内外の人材育成に貢献できる人になりたいと改めて思うようになった。参加経験を活かして、大学院でアフリカ出身の院生達と農村開発について議論を深め、研究に役立てたい。

出荷実習でカボチャを丁寧に梱包

鮮度保持試験のためにトマトを分ける様子

稲作技術向上(普及員)

実施期間:2024年8月26日(月)~ 8月30日(金)
受講者数:2名

<概要>
この研修コースは、稲作の栽培技術の普及に携わっている組織の技術者を主な対象とし、日本の技術や経験をベースとして、水稲を中心とした基礎的な稲作栽培技術、普及手法、栽培試験手法を学ぶものです。カメルーン、エチオピア、ガンビア、ギニア、リベリア、マダガスカル、マラウイ、フィリピン、ウガンダの研修員と、以下の講義・実習を受講しました。

・坪刈りや五斜線方サンプリングによる収量調査、農民学校等の実習
・稲の害虫
・光合成と乾物生産


<参加者の声(一部抜粋)>
・講義や実習内容だけでなく、研修員との交流からも様々な知見を得ることができた。
・今回参加して得られた知識や普及員の方々との会話の中で得られた知見は、自身の研究分野である農業資源のマネジメントと深くかかわっているため、それらを参考にして多様なアクターとコミュニケーションを取り、専門分野への理解をさらに深めたい。

研修員と収穫作業

収量調査のために稲の束を作る様子

天水稲栽培・種子生産及び品種選定技術

実施期間:2024年8月26日(月)~ 8月30日(金)
受講者数:3名

<概要>
この研修コースは、研究・普及人材を対象として、稲の栽培技術、種子生産技術、品種選定技術を用い、自国の天水稲作に関する課題への対策を検討できる能力の習得を目指すものです。ウガンダ、ガーナ、ギニア、ザンビア、シエラレオネ、タンザニア、マラウイの研修員と、以下の講義・実習を受講しました。

・稲の出穂期調査、品種選定実験、純系系統種子の収穫、原原種種子抜き取り調査等の実習
・稲の収量と収量構成要素
・日本の種育種
・アフリカの稲作


<参加者の声(一部抜粋)>
・研修員と触れ合うことで、日本では得られないアフリカの情報を知ることができたり、どのような想いをもって日本での研修に参加されているか知ることができたりした。また、日本とアフリカの稲作についてより知識を深めることができた。これまでインターンシップで国際協力を業務として行う側の目線しか見てこなかったが、研修員とインストラクターの方々、JICA職員の方々の目線から見ることで国際協力の実態を感じられた。
・食糧問題、貧困問題の解決、国際協力に今後携わっていきたいという気持ちが強くなったと同時に、農林水産省、国際機関、JICA のいずれかのメンバーとして将来誰一人取り残さない、誰もがお腹いっぱい食べられる世の中を実現するために働きたいという具体的なビジョンを持つことができた。

研修員から実験の説明を聞く様子

収量調査の結果を共有する様子

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