【OJTレポート】「SHEP(市場志向型農業振興)」の研修現場を訪問しました!
2026.06.22
JICA筑波は、2026年5月11日から22日にかけて、JICA本部で勤務している新人職員6名を受け入れ、OJT(職場内訓練)を実施しました。新人職員がOJTで経験した内容をフレッシュな視点でまとめた記事をシリーズで紹介します。
今回は、JICA筑波内で視察した研修事業について紹介します。
研修事業とは、途上国の普及員や行政官を日本に招き、各国の課題に合った技術や方法を学んでもらう取り組みです。研修員は日本で学んだことを自国に持ち帰り、地域の発展に役立てていきます。
JICA筑波では長年、広い圃場を活かし、農業分野を中心に多様な研修を実施してきました。その代表コースの一つが「アフリカ地域 市場志向型農業振興 ―SHEPアプローチ―(普及員)」です。
SHEP(Smallholder Horticulture Empowerment & Promotion)とは、「作ってから売り先を探す」のではなく、「売れるものを作る」という考え方に基づいた農業普及アプローチです。
日本の農家では、市場で売れる作物を考えて生産することが一般的ですが、途上国の多くの農家は、まず作物を作り、その後売り先を探す傾向があります。そのため、せっかく作物を収穫しても、市場に溢れて売れ残ってしまったり、安い価格で取引されたりと、十分な収入に繋がらないケースが少なくありません。
そこで、JICAでは、SHEPという考え方を提唱し、市場ニーズに基づいた計画的な生産と販売を支援する取り組みを行っています。本コースでは、このSHEPの考え方を途上国の普及員の方に学んでもらい、自国の農家や同僚に広めて実践してもらうことを目標にしています。
この日の講義では、SHEPの事例について「女性の農業参加」という観点から学んでいました。アフリカでは家族で農業を営むことが多いものの、家計や経営の主導権は男性に偏りがちで、女性の意見が十分に反映されていません。そのため、女性のせっかくのアイデアや力が活かされず、収益のチャンスを逃してしまう…ちょっともったいない話があります。そこで講義では、他国のSHEPプロジェクトでの成功事例から、農業技術の研修や営農の意思決定に女性も参加してもらうことの重要性や取組方法について紹介していました。
本研修でも男女半数ずつの普及員が参加しており、各研修員の経験や各国の課題を共有しながら、どのように自国で女性の農業参加を支援できるか活発に議論を行っていました。
また後半のセッションでは、本研修に参加する研修員11名とJICA新入職員6名で意見交換を行いました!
意見交換を通じて最も印象的だったのは、研修員の関心の多様性です。同じコースでも、野菜の栽培技術から若手農家の育成、マーケティングまで、着目するポイントは様々でした。それもそのはず!研修員は、スーダン、ガーナ、タンザニアなど、アフリカの異なる9か国から参加しており、各研修員が自国の課題に合わせて、本当に必要なものを模索している様子が伺えました。
一方で、「学んだことを帰国後に同僚へ伝えたい」「地域の農家に広めたい」という思いは共通しています。違いを持ちながらも目指す方向は同じ――その一体感もまた、本研修の大きな魅力だと感じました。今後、研修員が学んだことを自国に持ち帰り、それぞれの現場で活躍していくことを期待しています!
関連サイト
SHEP(市場志向型農業振興)アプローチ | 事業について - JICA