【インターンレポート③】「共創」を知り、世界の食と農、教育について考える!2026年度「大学生・大学院生向け国際協力実務講座」
2026.09.11
JICA筑波で開催されている「大学生・大学院生向け国際協力実務講座」。その三日目の様子を、JICA筑波インターン・坂口がレポートします。
まずは、前日の学びを振り返るところからスタート。積極的に意見交換をする参加者の様子から、前日の講義や体験を通して得た気づきをお互いに共有することで、国際協力についての理解をさらに深めている様子がうかがえました。
続いて、JICA筑波・中尾祐己職員から、「『共創』のちからを育むJICAの本邦研修」というテーマでお話を伺いました。
JICA筑波では、開発途上国から多くの研修員を受け入れています。「研修」といっても、知識や技術を一方的に伝えるのではなく、互いの経験や知識を持ち寄り、一緒に学び、考え、つくり上げていく「共創」が大切にされています。
講義では、実際にどの地域から、どのくらいの人数の研修員を受け入れているのか、また、一つの研修事業が成立するまでにどのような流れがあるのかについても具体的に学びました。
JICAの研修事業では、研修員や彼らの国のニーズを踏まえ、綿密な準備や多くの関係者による調整が行われていることを知り、国際協力の現場でどのように研修事業が展開されていくのかについて、理解を深めることができました。
参加者からは、「研修員が母国へ帰った後、日本で学んだ技術がしっかりと活用されているか否かの評価はなされているのか」といった質問がありました。これに対し中尾職員からは、すべての研修員の帰国後の活動を評価することは難しいが、JICAの海外にある事務所と連携し、現地の活動状況や研修効果を把握する取り組みも行われているとの説明がありました。
次に向かったのは、JICA筑波の「地球ひろば」です。ここでは「食と農」をテーマに、日本の食料自給率や、世界各地の食の状況やそれを支える農業技術について展示されています。
日本は多くの食料を海外からの輸入に頼っています。普段、何気なく口にしている食事も、日本国内だけで完結しているものは少なく、世界各地とのつながりの上に成り立っています。展示を見ながら「食」という身近なテーマについて考えることで、私たちの暮らしと世界とのつながり、そして国際協力の重要性を学ぶことができました。
そして、お昼は研修員の皆さんとのランチ交流会です。
ウガンダやザンビアなど、世界各国から来た研修員の方々と、多国籍料理を楽しみながら交流しました。国際協力の話だけではなく、「日本のどこに行きましたか」、「日本のディズニーランドに行ったことはありますか」などたわいもない会話も交わしました。「国際協力」とは、決して遠い世界の話ではなく、こうした身近な会話を通じてお互いのことを知り、理解しようとすることから始まるのかもしれません。
JICA筑波には東京ドーム2つ分の圃場や温室、実験施設があります。研修員はこれら施設で日々農業技術等につき学んでいますが、その学びの現場を見学する機会がありました。
実際に研修員が植えた稲を見ることもできました。JICAがアフリカの稲作振興のために品種開発・普及を支援してきた「NERICA(ネリカ)」⁽注⁾ についても触れられ、現地の課題やニーズに応じた国際協力が実践されていることを知りました。
※NERICAとは「New Rice for Africa(アフリカのための新しい稲)」を意味する稲の品種。高い収量を持つアジア稲と、乾燥や病気に強いアフリカ稲を掛け合わせ、それぞれの長所を生かすことを目指して開発された。 ネリカ(NERICA) | 事業について - JICA
最後の講義では、アスカワールドコンサルタント株式会社・原雅裕氏とJICA人間開発部・國枝信宏専門員のお二人から、アフリカを中心に展開されている「みんなの学校」プロジェクトについてお話を伺いました。2004年にニジェールで始まったこの取り組みは、現在ではアフリカ11か国、75,000校以上に広がっています。
「みんなの学校」と聞くと、学校を建てたり、先生が子どもたちに勉強を教えたりする取り組みを想像するかもしれません。しかし、「みんなの学校」の大きな特徴は、「教える」だけではなく、地域の人々自身が学校や教育をより良くしていく仕組みをつくることにあります。講義では、学校と地域が協力して教育課題の解決に取り組むことで、子どもたちの学びの向上につながっている事例が紹介されました。参加者は、教育分野の国際協力が「支援する」だけではなく、人々が主体的に活動できる仕組みづくりを大切にしていることを学びました。
「みんなの学校」のアプローチ | 事業について - JICA
研修員と日本側が共に学ぶ「本邦研修」。
世界とのつながりを食から考える「地球ひろば」。
さまざまな国の人と直接交流するランチ交流会。
日本の農業技術・研究を途上国の農業開発とつなぐJICA筑波の施設。
そして、地域の人々自身が学校をより良くしていく「みんなの学校」。
国際協力は、一方的に「支援する・される」という関係ではなく、互いの知識や経験を持ち寄り、ともに考え、ともに未来をつくっていくことなのかもしれません。
三日目は、そんな「共創」の意味を、講義だけでなく、見学や交流、実際のJICA筑波の現場を通して体感する一日となりました。
書き手:JICA筑波インターン 坂口和佳那(筑波大学 人文・文化学群 日本語・日本文化学類)