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【研修報告】2019年度課題別研修「空港の建設、運営・維持管理計画策定」

JICA横浜では、2019年8月26日(月)~2019年9月27日(金)にかけて、アフガニスタン、バングラデシュ、ジブチ、エジプト、エチオピア、ラオス、マラウイ、マーシャル諸島、ミャンマー、ネパール、パラオ、パプアニューギニア、スリランカ、東ティモール、トンガ、ベトナム、イエメンの17か国から合計18名の参加を得て、課題別研修「空港の建設、運営・維持管理計画策定」コースを実施しました。
2019年8月28日(水)~30日(金)に横浜で「アフリカ開発会議(TICAD7)」が開催されることもあったため、アフリカからは4名の参加がありました。

国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization,ICAO)は「2025年度までの航空輸送の見通し」において、2005年から2025年の間にアジア太平洋地域と中東では5.8%、アフリカでは5.1%、航空需要が増加すると予測しており、これらの地域では、新空港事業や既存空港の拡張計画が予定されています。そして、空港を建設/拡大した後には、効率的かつ効果的な管理と保守が不可欠となります。
本研修は、これら地域の中央政府、地方政府、空港会社の空港開発を担当する関係者に対して、政策や安全技術と言った空港整備に係わる最新の知識を身につけていただくと共に、環境対策を含めた建設後の安定的な運営、効率的な維持管理を考慮した空港計画の重要性を認識していただくために実施しています。更に、研修の成果として参加した研修員により提案された今後の空港改善計画が、彼らの帰国後に自国の空港計画担当部署に理解され、空港の課題解決に繋がっていくことを目的としております。

■研修概要(プログラム)

■研修プログラムの様子

【研修の始まりは】
研修初日8月27日(月)に、国土交通省航空局でのコースオリエンテーションと講義を実施しました。研修員の各自が自己紹介を行い、和やかな雰囲気で研修が始まりました。
翌8月28日(火)は、受託機関の港湾空港総合技術センター(SCOPE)でカントリーレポートの発表会を行い、自国の空港整備の状況と課題を研修員が発表しました。夜は霞が関ビルの35階で日本側の関係者も交えて研修員を歓迎するウェルカムパーティーを開催しました。その場では東京の夜景を楽しんでもらうだけでなく、日本文化を理解してもらうために居合道を実演して紹介する等、楽しいひとときを過ごしました。

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【講義・演習の状況は】
研修は、全部で30コマ程の講義があり、専門家の講師より説明を受け、知識を習得しました。そのうち3講義(空港配置計画、ターミナル地域計画、空港内工事での安全管理)では研修員を主体とする演習を行いました。この演習では、与えられた条件について、自らで考え、結論を導き出し、グループにて発表するというプロセスで実施します。その発表内容について専門的な見地から日本側講師が講評するというもので、この演習に対しては、参加した研修員から高い評価を得ました。

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【空港見学では】
9月11日(火)には成田空港 、9月18日(火)-19日(水)にかけて羽田空港・神戸空港・関西空港の見学を行いました 。成田空港では土木施設の施工・維持管理やバゲージハンドリング(旅客手荷物処理)システムの管理について講義・見学を行いました。 羽田空港では新管制塔の見学、神戸空港では、環境対策や航空灯火等、関西空港では防潮堤等の海上空港ならではの護岸施設や給油施設等について講義・見学を行いました。また神戸・関西空港にてコンセッション(公共施設等運営権)による空港運営方式の実態を学びました。

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【研修の終わりに】
研修の成果として、9月26日(水)にはアクションプラン(帰国後の空港改善に向けた活動計画)発表会を行いました。各研修員の発表に対しては、日本側専門家を含む参加者からの質問や意見等が多く出されて、活発な意見交換となりました。
研修全体としては、プログラムに演習や意見交換会等が多く含まれていることもあって、研修員同士の繋がりや講師との絆が深まった研修となりました。
帰国後に、研修員が自国の所属先において空港の改善に係る活動計画(アクションプラン)を上司や同僚と共有して、各国で空港の課題解決が促進されることを期待しております。

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(記事制作協力)一般財団法人 港湾空港総合技術センター

持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

SDGsとは、2015年9月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17の個別目標とより詳細な169項目の達成基準からなる。

本研修コースは、SDGsで定められた17の個別目標のうち目標9.「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」への貢献が期待される。

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