プラスチックごみを燃料資源へ ~フィリピンで10年以上リサイクル事業に取り組む日本企業が現地最大財閥と合弁会社を設立へ~
2024.06.18
フィリピンでは廃棄物の焼却処理が法律で禁止されていることをご存じでしょうか。
そのため、フィリピンでは廃棄物は最終処分場に運ばれていますが、近年、経済成長と人口増加に伴い廃棄物が増加する中、廃棄物の最終処分埋立場のスペースは限られているため、埋立場に持ち込まれる廃棄物を減らし、資源の有効活用が必要とされていました。
株式会社グーンは、2013年から2015年までJICA中小企業海外展開支援事業を通じて、中間処理施設を設置・運営をすることで、埋立場に運ばれる廃プラスチックや有価物を選別し、その後、廃プラスチックを使用して、ボイラーの燃料となるフラフ燃料を製造・販売する事業に取り組みました。
その際にパイロットプラントがあったセブ市内の埋立処分場周辺で暮らしていたウェイスト・ピッカー(※)をセブ市が雇用し、同社が安全性と運転技術を教育して、フラフ燃料の製造を行う取り組みにも挑戦しました。2017年5月には、現在の商業規模のフラフ燃料化リサイクル工場をコンソラシオン市に竣工し、主に市民を雇用して運営しています。
①イナヤワン埋立処分場の様子
②パイロットプラントでの選別風景
10年以上にわたる取り組みが認められ、2024年にフィリピン最大の財閥SMプライムとの間で廃棄物処理に関する合弁会社の設立に基本合意しました。今後は、フィリピン全土での資源循環に貢献するインフラ整備を実現し、廃棄物の埋め立てによる影響を軽減し、地方自治体の資源再生施設の運営を支援していきます。また、グーン社のフラフ燃料は、主に工業用ボイラー燃料として供給され、石炭などの固体化石燃料の代替として使用されています。
廃棄物の有効活用を示し、JICAの実証事業を通じてウェイスト・ピッカーの方々に廃棄物リサイクルの現場で活躍する機会を提供する可能性を示すことができました。グーン社は環境問題だけでなく、貧困問題にも取り組んでいますので、同社のその取り組みを知っていただけると嬉しいです。
※ウェイスト・ピッカーとは、ごみ集積場から使えそうなごみを拾い、お金に換えて生活している人のこと。
③現工場で製造されたフラフ燃料
④ウェイスト・ピッカーの家族の子供達
※案件概要内の萬世リサイクルシステムズ株式会社は株式会社グーンの旧社名です。
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