【研修実施報告】2024年度の日系社会研修「食を通じた日系団体活性化」コース
2024.07.05
2024年5月12日から6月14日まで、「食を通じた日系団体活性化」というテーマで日系社会研修が実施されました。このコースの目的は、若い世代が現地の日系団体の活動に積極的に参加し、食を通じて地域の日系団体を活性化することです。
ブラジル、ウルグアイ、コロンビア、メキシコからの研修生がこのコースに参加し、日本食の基本的な調理技術や特産品の開発、地域活性化に関する知識を学びました。さらに、彼らは所属する日系団体の課題解決に向けた活動計画を立て、帰国後にはそれぞれの日系団体が主催するイベントなどで積極的に貢献することが期待されています。
研修員の皆さんにインタビューを行いました!
Qこの研修に参加することになったきっかけを教えてください
●ZAYAS MENDOZA Dante Owenさん(メキシコ):
JICAが実施する日系社会研修については、所属する団体より案内を受けていたので知っていました。様々な研修コースがあり、どのコースに参加できるか検討している中、日本を訪問する機会があり、その時に日本食に魅了されました。自身が所属する団体(メキシコの日系青年団体Organización de Jóvenes Nikkei(OJN)とモレロス日系会)で若者同士の交流のため料理教室を実施しています。団体で実施しているプログラムと、来日して感じた日本食の素晴らしさ、そしてJICAの「食を通じた日系団体活性化」という研修が一致し、参加することができました。
●SHIBASAKI SCARON Maiaさん(ウルグアイ):
以前はウルグアイでは日本文化を継承し続けることが難しいと感じていましたが、ウルグアイの大使館でのイベントに招待され、18歳から22歳の15人の仲間に出会ったことで考え方が変わりました。その後、JICAの研修プログラムを知り、興味を持ちました。ウルグアイの団体の料理部に参加しており、食を通じて新たな発見があることに魅力を感じ、参加を決意しました。食は、日系人同士だけでなく、人と人を結びつける力があると考えています。
Qこれまでの研修で一番印象に載っていることは何ですか?
●全員:2泊3日の山形県鶴岡市での研修が印象に残っています。
(参考)鶴岡市は2014年12月に「ユネスコ食文化創造都市」として認定され、長い間大切に守られてきた豊かな食文化を継承しています。地域の風土に根ざした独自の食文化が受け継がれています。
Q鶴岡市でどんな点が特に印象に残りましたか?
・栽培漁業は長期的な取り組みで、とても興味深いと感じました。
・帰国後、日本食の食材を入手するのは難しいかもしれませんが、本物の味を知ることは非常に貴重な体験であり、これにより新たな挑戦や工夫が可能になると考えています。
・寿司やラーメンといった一般的な料理ではなく、精進料理などその地域に根付く伝統料理を学び、日本食の本質的な知識を習得することができました。
・鶴岡市は伝統の維持に取組んでいて、私たちの所属する日系団体も同じように日本文化を維持しようと頑張っているので、鶴岡市の地域活性化への取組みはとても参考になりました。
・日本には多くの食材があり、それぞれ価値が認められていて、地域や生産者のブランドとして確立されています。一方ブラジルでは、大手企業の名前がそのまま商品名となり販売されていることが多いので、驚きました。
・水には軟水と硬水があり、料理によって適した水を使うことを学びました。
・山形へ向かう旅自体も、電車や風景がとても楽しかったです。
・本物のだしの味はとてもおいしかったです!
Q帰国後に実施したいことは何ですか?
●YOSHIDA YAMAZAKI Leticia Izumiさん(ブラジル):
日本で学んだレシピを振り返り、料理教室を開催したいと考えています。日系人だけでなく、若者や子ども、様々な人々に向けた教室を作りたいです。
●SHIBASAKI SCARON Maiaさん(ウルグアイ):
ウルグアイの団体は小規模なため、多くの人々に参加してもらえるような団体にしたいと考えています。そのために、食事は人々を集める手段となり、団体を活性化させるためのポイントだと考えました。ここで学んだことを活かしてイベントを開催したいです。日系人だけでなく、ウルグアイの方々も楽しめるワークショップを実施したいです。
●TAMURA LARA Daniel Hiroshiさん(コロンビア):
鶴岡市で経験した精進料理は一品一品が小皿に美しく盛り付けられ、バランスも考えられた食事になっており、非常に印象的でした。研修で初めて「日系人」と「ニッケイ人」の違いがあると学びました。「ニッケイ人」とは日本のルーツを持たないけれど、日本文化や価値観に興味を持ち日系社会の活動に積極的に参加する人のことで、そういった「ニッケイ人」も巻き込んでコミュニティーの団結を図っていきたいです。私の所属する団体は小規模ですが、研修で学んだお祭りの開催企画方法を参考に、より大きな祭りなどのイベントを開催したいです。
●ZAYAS MENDOZA Dante Owenさん(メキシコ):
母国メキシコで若者のグループに所属しており、そこでワークショップを主催し、学んだことを共有したいです。さらに、所属する団体で今年から来年の活動に向けてのアイディアを出し合い、研修中に学んだ水引教室を開催する予定です。研修で得た知識を活かして事業を展開したいと考えており、カフェやレストランなど、どのようなビジネスを立ち上げるかを模索しています。
●NISHIKAWA Gabriela Yukariさん(ブラジル):
所属する日系団体で日本食の調理ワークショップを開催したいと考えています。子ども向けのイベントや、誰もが楽しめる魅力的なイベントを企画したいです。再び日本を訪れ、9か月間のレストラン研修(ブラジルの福井県人会の研修)を受ける予定ですが、この研修で日本食の本質を理解できたことは、自身の料理人としてのキャリアに大きく役立つと信じています。
研修を修了された5名の研修員には、帰国後所属する日系団体での活躍が期待されます。ぜひ今後の展開を楽しみにしましょう!
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