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【草の根技術協力事業】ベトナムにおける老年看護教育導入プロジェクト

2025.06.05

JICAは、学校法人 幾徳学園 神奈川工科大学を通じて、ベトナムのタイビン医科薬科大学と協力し、ベトナムに老年看護教育を導入するためのプロジェクトを2024年から行っています。このプロジェクトは、草の根技術協力事業「ベトナム社会主義共和国における老年看護教育導入と実践支援のためのパイロットプロジェクト」として、ベトナムの高齢者の健康と福祉を支えるために、専門分野の教育と実践を支援することを目的としています。

プロジェクトの一環として、ベトナムからタイビン医科薬科大学の教員を日本に招き、日本の老年看護についての知識を深める機会として、いくつかの施設を訪問しました。また、ベトナムの先生方は日本の看護学生に向けて模擬授業を行いました。タイビン医科薬科大学からは、副学長を含む5名の先生方が訪日し、この研修に参加しました。

このプロジェクトでは、タイビン医科薬科大学への「老年看護」のカリキュラム導入を通して、老年看護の視点を取り入れた看護が実践できるよう、指導者を育成し、ベトナムでの教育基盤を整えることを目指しています。また、病院などで働く看護師に対しても、必要な知識や技術を提供していくことを目的としています。

現在のベトナムでは、急速に高齢化が進んでおり、また慢性疾患も増加しているという背景があります。このため看護師は高齢者に対して、疾患に関する医療的な知識をもとに看護を行うだけではなく、入院時から加齢に伴う変化や、高齢者を支える家族、地域、保健福祉の状況を考えて看護を行うことが必要です。また退院後の生活を見据えた支援も重要となっています。加えて、疾病予防や介護予防も欠かせません。しかしながら、ベトナムの看護師養成カリキュラムには、高齢者の健康支援に関する「老年看護」の教育が含まれていません。疾患を抱えながらもその人らしく生活できるように手助けし、平均寿命と健康寿命の差を縮め、自律した老年期を過ごせるよう支援する必要性を感じ、このプロジェクトを発足させました。

現在はシラバスを作成中で、8月からタイビン医科薬科大学の3年生の1クラスをモデルとして、老年看護の授業を行う予定です。それに向けた神奈川工科大学での研修では、タイピン医科薬科大学の教員の方々による模擬授業が行われ、知識の伝授や学生同士のディスカッションを通して、答えを導きだしたり、ロールプレイを行ったりすることで、学生がより実際の現場をイメージできるような授業の構成となっていました。8月には神奈川工科大学の先生方がベトナムを訪れ、現地の学生に対する授業の様子を視察する予定です。

この研修で学んだことを、ベトナムの現場で活かし、授業を実施できることを期待しています。

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学生同士のディスカッション

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退院患者へのアドバイスのロールプレイ

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神奈川工科大学学長と研修員5名

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