富士山科学研究所が「日本火山学会普及啓発賞(Distinguished Public Awareness Award)」を受賞しました!
2025.07.23
山梨県にある富士山科学研究所は、JICA横浜と連携した草の根技術協力事業や開発途上国からの人材を受け入れた研修(JICA Knowledge Co-Creation Program)を通じて、広く火山防災教育の普及に取り組んできました。また、山梨県教育委員会と連携し火山領域の教育課程や指導プログラムの作成、教員の研修や派遣受け入れなどの一般市民に対する教育普及・啓発活動にも尽力してきました。その功績が認められ、同研究所にこの度「日本火山学会普及啓発賞(Distinguished Public Awareness Award)」が授与されました。
「日本火山学会普及啓発賞」とは、日本の火山学の普及啓発に対し優れた貢献をした個人または団体に授与される賞です。
受賞インタビューの様子をご紹介します。
日本火山学会は、これまで理学的な研究を中心に活動する学会でしたが、普及啓発活動も重要であるとの考えから、2017年に「普及啓発賞」を新設しました。従来は、火山を理学的な観点から研究し、その成果を防災に活かしていく、という方法を実施していましたが、それだけでは工学的なアプローチが不足していました。山梨県富士山科学研究の役割は、県民の生活を安定させることにあります。大学や研究所がいくら研究をしても、その成果が県民に伝わっていなければ、災害時に適切に避難することができません。県民の避難を支援するためにも、山梨県富士山科学研究所の知見を使う必要があると感じました。科学的な根拠を予測に繋げることはもちろん重要ですが、それだけでなく、予測ができなかったり、当たらなかったりした場合でも、災害が起きた時には、安全に避難できる人が1人でも多くなってほしいと思っています。
今回、「富士山をはじめとした火山防災に関する国内外への教育普及啓発活動」が、日本火山学会普及啓発賞を受賞した背景には、この科学研究と防災教育の両輪を、効果的に実施したことがあるのではないかと思います。今後もこの両輪を活用し、富士山のみならず、インドネシアや中南米など、JICAのスキームで関わっている火山地域で活動を継続していきたいと考えています。
草の根技術協力事業での火山防災教育研修の様子
JICA Knowledge Co-Creation Programでの研修の様子
scroll