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【3月8日は国際女性デー】アフリカ女性起業家たちの輝き ―セネガル研修員を訪ねて―

2026.03.06

JICA横浜では、アフリカにおける女性の経済活動への平等な参画を推進する取り組みとして、課題別研修「アフリカにおける女性のビジネス・起業の推進」を毎年実施しています。2013年に横浜で開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD5)では、「アフリカの女性・若者のエンパワメントの重要性」が分野横断的な課題として示されました。2025年8月、横浜で4回目の開催となったTICAD9でも、このテーマは引き続き重点課題として位置付けられ、その重要性が発信されました。

研修開始から13年。実にアフリカ30か国から169名の研修員を受け入れてきました。帰国後の活動状況を確認し、助言を行うため、近年多くの研修員を送っているセネガルの首都ダカールにてフォローアップ調査を実施しました。その様子をお届けします。

※昨年の研修の様子は、ぜひこちらの記事をご覧ください!

セネガルはアフリカ大陸の最西端に位置し、大西洋に面した「西アフリカの玄関口」として知られる国です。フランス植民地時代の影響が今も建築や文化に見られ、多様な民族・言語が共存しています。首都ダカールは、活気ある市場やアート、音楽、食を楽しむことができ、ヨーロッパからの旅行客も多い街です。

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ダカールで女性・若者向けの職業訓練スクールを運営しているファトゥ・サンさんは、2022年度に本研修に参加しました。参加当時、同スクールは現在より小規模でしたが、研修参加をきっかけに施設の拡充を決意しました。日本で学んだ「カイゼン」や「5S」※を活用して、事業の効率化と効果の拡大に取り組んでいます。また、彼女のもとで働く女性スタッフは、「結婚や出産を機に、やりたいことに消極的になる女性は多い。やりたくてもやり方が分からない中で、サンさんはモデルとなり、進むべき道筋を示してくれている」と話してくれました。

※カイゼン
トヨタ、ホンダ、ソニーなど世界に名だたる大企業はじめ、日本の製造業発展に大きな役割を果たしてきたのが「カイゼン」活動。「カイゼン」はモノづくり大国・日本で独自の進化を遂げた品質・生産性向上にかかる多くの手法の総称であり、高度経済成長を生産現場で支えてきた取り組みです。「カイゼン」は、チームワークや社員の自立性、創造性を育てるなど、人材育成にも効果的で、生産現場のみならず、行政や保健・医療、教育といった様々な分野の発展にも貢献しています。

※5S
カイゼンの手法のひとつで、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字をとって名付けられました。英語では「Sort・Set・Shine・Standardize・Sustain」と表されます。日本では、学校や家庭内で子どものころから自然と「整理・整頓・清掃」を身につける機会がありますが、多くの途上国では、教育や習慣として「片づけ」や「掃除」を体系的に教わる機会が必ずしも多くありません。そのため、5Sは“ものごとを良くするための具体的な方法”として非常に分かりやすく、成果の出やすい手法として注目されています。

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同じくダカールに住む女性起業家のファトゥ・ムブプさんは、バブーシュやかばん等の革製品を扱うお店を営む傍ら、起業家の支援にも取り組んでいます。研修で視察した東京都品川区が運営する武蔵小山創業支援センター(MUSAKO HOUSE)から着想を得て手工芸品の展示スペース設置、革加工に従事する女性の作業効率向上や在庫管理の改善について、商工会議所や自治体へ提案を行っています。革加工を担う女性の能力が高まることで、主に若者が従事している革素材調達の工程にも良い効果が期待でき、バリューチェーン全体の底上げになると考えています。活動資金調達に向け、研修で知ったクラウドファンディングにも挑戦したいと話してくれました。

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「5S」に基づき、それまで紙のノートを使っていた在庫管理をアプリに変えたことで、顧客への商品説明も容易に。

この研修の特徴の一つとして、研修員が「女性起業家」と「女性のビジネス・起業を支援する行政関係者」の二者で構成されていることが挙げられます。女性のエンパワメントには、両者からのアプローチが不可欠だと考えているためです。

ママドゥ・ンジャイさんは、大統領府傘下の起業家向け公的支援機関で技術顧問を務めています。研修参加後、提案した女性起業家のための取り組みは予算の壁に阻まれてしまいましたが、代わりに既存の事業に要素を組み込もうと考え、現在準備中の手工芸マーケット内にポップアップショップを3店舗、設立することにしました。これはMUSAKO HOUSEやMOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)での視察から着想を得たものです。

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現在準備中の手工芸マーケットの完成予想図を見せるママドゥさん。

2025年度の研修に参加したソクナ・マイムナ・ファイェさんはセネガル商工農業会議所連合会の事務局長で、TICAD9会期中に開催された座談会形式イベント「アフリカの女性と一緒に考えるジェンダーと平和」(於:JICA横浜)にも登壇されました。

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その際、若い男性参加者からの「男性であっても女性の起業推進や権利保護のためにできることはあるのか」という問いに、「たくさんありますよ。例えば、今、私がこうして日本の研修に参加できているのは、夫が子どもや家のことを引き受けてくれているからです。そして、あなたがこのイベントに参加していること自体が、すでに支援のひとつとなっているのです。」と答えられた姿がとても印象的でした。現在は日本で学んだことをもとに、女性起業家のための支援を計画されています。

今回の調査では、これまで研修に参加した研修員およびセネガルの関係団体を招き、対面・オンラインのハイブリッド形式でセミナーを実施しました。セネガルとブルキナファソの研修員による活動報告や、JICA横浜および研修の説明、横浜市国際局によるTICADと横浜市の関わりや同市が取り組む女性起業家支援の紹介、日本企業の事例紹介に加え、会場を提供してくださったセネガル日本職業訓練センター※からは、カイゼン・5Sの講義とワークショップも行われました。研修員にとっては復習の機会となり、他の参加者にとっては日本式の手法を学び、JICA横浜の研修や横浜市の取り組みについて知る機会となりました。

※セネガル日本職業訓練センター
日本の無償資金協力により1984年に設立。カイゼン・5S等の日本式ソフトスキルを取り入れながら、多くの卒業生を輩出しています。

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短い滞在期間でしたが、研修後も情熱を持ち続け、日本で見て・聞いて・感じたことを存分に生かして活動を続ける研修員の姿から、この研修の意義とインパクトを感じる調査結果となりました。同時に、より多くのアフリカの女性が経済に参画し活躍できるよう、13年間続いてきた本研修の歴史を絶やすことなく、より高い研修効果を目指し継続していくことの重要性と責任も実感しました。」

本研修では、エネルギーにあふれ、高い志を持ったキラキラと輝くアフリカの女性たちが多く参加しています。私たちJICAスタッフをはじめ、講義や視察の受け入れをしてくださる日本の協力団体の方々も、いつも彼女たちから大きなパワーをもらっています。しかし一方で、過去には、ビジネスを立ち上げるために幼い子どもを背負って資金集めに奔走し、女性だからと取り合えってもらえず門前払いを受けた経験を涙ながらに語る参加者もいました。彼女たちの今の輝きの背後には、女性ゆえに直面せざるを得なかった数々の困難が垣間見えます。

3月8日は国際女性デー。
すべての女性があらゆる恐怖・渇望・不平等から逃れ、自らの意志を持って人生を歩めるよう、JICAは今後も協力を続けていきます。

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