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【実施報告】JICAの教材の魅力とは?!これからの教科書・教材について考えました!~教科書会社セミナーでの授業実践報告~

2021年11月15日

今回で5回目となる教科書会社向けセミナー。
今回も多数の方にご参加いただきましたが、JICAの教材を活用し、授業実践をされている先生がたに、教材の魅力や可能性を話していただきました。

SDGsどう学ぶ?1人1台端末で広がるデジタル教科書どう使う?

グローバル化への対応やSDGs教育への関心が高まる時代の教科書、教材について一緒に考えました!

JICAの教材をカスタマイズする方法とは?!

JICA中部・開発教育ナビゲーターの中澤先生

■中澤純一先生(浜松学院中学校・高等学校)
JICAの教材を使って中学校の社会科(地理的分野)と高等学校の地理(地理A)で、授業実践するとどうなるのか、どの単元で扱うのか、単元構想を含めた教材カスタマイズ方法をご紹介いただきました。
中高一貫校ならでは!の視点です。

「JICA教材を授業実践に活用する場合に重要なことは2つ。1つ目は、教科・科目及び単元に応じた学習目標の設定すること、2つ目は、学習活動の展開(内容、素材、参加型学習の手法など)の検討すること」と中澤先生は話します。

つまり、JICAの教材は教科も幅広い分野で使えるように紹介しているので、個々の先生方・教科書会社の皆さまは、教科の内容や目的、ねらい、学習指導要領の内容に沿った形でアレンジしていくことが大切だと。そのまま使う部分と目的やねらいを達成するためにアレンジする部分を持つと、授業効果はさらに高まりますよ!というわけです。

さらにJICAの他のリソース、例えば「JICA Magazine」を加えることによって、授業の幅が出るとのこと。
JICAの広報誌は「写真の宝庫!」ですからね。ぜひ、授業実践のヒントにしてください。

「フィシー君」との出合いが価値観を変えた!自ら学ぶきっかけを生み出す授業実践

堀川先生の発表の様子

生徒の気づきがたくさん!

■堀川紘子先生(京都市向島秀蓮小中学校)
堀川先生からは、水と世界を知る映像「世界につながる教室」を活用した、小学校4年生の授業実践について発表いただきました。

その映像の中に出てくるルワンダの子ども「フィシー君」が、笑ったり、サッカーをして遊んだりしていると、生徒からは「え?!自分たちと同じ!」「なぜ?」の声が。「貧しいくらし=みんな悲しそう」という価値観から転換するきっかけだったと言います。

「普段、教科書やメディアでは、自分たち(小4)と同い年くらいの子どもの映像がなかなかない(あっても”ええとこ”の子!)。海外のありのままの姿を知ることがとても貴重」と堀川先生は話します。
また「自ら学ぶきっかけを生み出すためには、生徒の「なぜ?」を大切にしなくちゃいけない。どんな問いを授業で設定して提示するか、なぜの問いがうまれるような授業での投げかけが重要です」

実際子どもたちは、同世代の姿を知り、自分との共通点を見つけることで、水の問題も身近に感じることができました。
そして映像を通じてフィシー君の生活と自分たちの生活のつながりも発見!雨が降って川や海に流れて蒸発する、、、日本とルワンダは水でつながっているという、社会科や理科の学習との関わりもでき、教科横断的な学びになりました。

SDGsを授業で用いるときのポイントは?

■本間水月先生(昭島市立清泉中学校)
SDGsと地域をつなげる授業実践を紹介いただきました。

取り組みの方法は、まず住んでいる町の問題点をあげてみる→そしてその中から自分のテーマをしぼります。
ここで初めてSDGsの話を先生は出していきます。ここがポイント!

「はじめからSDGsありきで考えると生徒は思考停止になる。最初は地に足の着いたところから課題をスタートさせることがポイント。そうすると、国や地域を超えた問題や、どの地域にも起こりうる問題!という世界的な視点と地元の視点が結びついてくるという特徴がある」と本間先生は話します。

SDGsはツールで、そこにあるもの。
後出しのSDGs、いつも横にあるSDGsを大切にされています。なるほどなぁ~。

先生への深掘りディスカッション

教科書・教材について、現場の先生の本音に迫っていきましょう!回答のごく一部をご紹介します。

Q:教科書に国際協力事例をどう掲載されていることを望む?

司会:「国際協力事例」と言ってもさまざまなので、SDGsについて話しましょう。具体的なアイデアはあるか?
A:SDGsが取り上げられたのは学校教育の一つの成果。ただ学習指導要領の限界もある。SDGs「を」学ぶというより、SDGs「で」学ぶ、ということ。(中澤先生)
A:徹底的な身近なテーマが大切。どうジブンごとにするかが大事かと。(堀川先生)
A:いきなり国際協力ではなく、とにかく自分のことをしっかり考えることが大事。自分の地域のこと、家のことを一生懸命考える。そうすると自然とつながってくる。そのとき役に立つのがSDGsというツール。(本間先生)

Q:デジタル教科書について。教科書を起点にどのように授業を発展させる?

司会:デジタル教科書になった場合の違いや注意点はあるか?
A:デジタル教科書に入っている動画はシンプルなものが多いが、動画でもオープンエンドで終わることも必要。思考を促すためには、提示する資料が2つ以上(比較する)いる場合もある。モヤモヤして終わる動画もほしい!(堀川先生)
A:動画で視覚的に学ぶのは大事だが、内容で使い分ける必要がある。デジタル教科書では補えないところは教員が説明で補う。(中澤先生)
A:構成によると思う。動画の意図と授業の意図が合致しないと難しい。また疑似体験できる動画もある(堀川先生)
A:デジタル教科書は使いにくいという現状も。(市の契約による)まとめや確認に使うことはアリ。(本間先生)


5回目の開催となった本セミナー、教科書・教材は生徒のためのものですが、媒体が多様化する中で、これからの教科書・教材は先生方が「どう活用していくか」もポイントになりそうです。
地球ひろば公式ウェブサイトでは先生方の授業実践例も数多く掲載していますので、ぜひご覧ください。

また教科書・教材掲載を検討するために、もっと知りたい!と思っていただけたことは、お気軽にご相談ください。
JICAには現場情報を語る人“財”が国内外にそろっています!

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