国別研修

JICAが特定の国からの要望に応える形で実施する研修です。その国の抱えるテーマに応じて取り組みます。

2023年度実績

No コース名 実施機関
(協力機関)
実施期間 対象国・地域 研修員数
1 農産加工団地エリアにおけるバリューチェーン構築 一財)アジア農業協同組合振興機関 2023年10月10日~2023年11月3日 エチオピア 6人
2 学習環境改善を通じた初等教育退学抑止プロジェクト (株)コーエイリサーチ&コンサルティング(福井大学) 2023年10月30日~2023年11月9日 ヨルダン 13人
3 初等算数教育強化 福井大学 2024年2月26日~2024年3月8日 ジブチ 12人
4 フィリピン教育省能力向上 金沢学院大学 2023年8月31日~2023年9月11日 フィリピン 12人
5 幹線道路の地すべり対策工 土防災技術(株) 2023年6月12日~2023年7月30日 エチオピア 10人
6 社会的保護強化支援能力強化 福井大学 2024年2月13日~2024年2月20日 チュニジア 6人
7 カンボジアにおける大気汚染リスク管理プラットフォームの構築 金沢大学 2023年7月26日~2024年8月13日 カンボジア 4人
8 進行性感染症皮膚疾患、マイコバクテリア感染症、ハンセン病についての研究 金沢医科大学 2024年3月4日~2024年4月29日 タイ 1人

事例紹介

コミュニティを主体とした持続的な観光地域づくりのための能力強化プログラム

実施機関:アイ・シー・ネット株式会社・北陸先端科学技術大学院大学
対象国:ドミニカ共和国

研修の特性

本研修は、2016年にドミニカ共和国で開始された「北部地域における持続的なコミュニティを基礎とした観光開発のためのメカニズム強化プロジェクト(注)」の関係者を対象に実施するものです。日本で得た学びを現場での活動計画の策定や実施に活かして、ドミニカ共和国の地域それぞれが観光資源を活用しながら、持続的に地域の経済効果をもたらす取り組み(コミュニティーベースドツーリズム/以下CBT)の実現に寄与することを目的として行われています。
2019年度の研修では、所属の異なる参加者が組織(政府機関、地域、コミュニティ)を超えて同じ研修に参加することでそれぞれの役割を意識し、意見交換をしながら、ドミニカ共和国に帰国後にCBT推進の現実的な体制形成を行うために実施されました。

研修プログラムについて

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ツーリズムEXPOで民族衣装を着てプロモーション実習や他国の事例を学びました

本研修では北陸地域の異なる特性(都市型・都市周辺型・農村型)の観光戦略やプログラムまたそれらを支える仕組みや観光をツールとした地域振興(地域開発)や政策を学んだり、プロ-モーション実習を実際に体験したりしました。

金沢市内の都市型・都市周辺型における事例紹介-VRを使った観光-

急速に観光化している地域の事例として、インバウンドの対応現場、伝統やクラフトを活かしたツアー、そして新しい試みとしてVR(バーチャル・リアリティ)を使った観光地紹介をしました。また、金沢市を中心とする都市部での観光振興の影響を受け、郊外ではどのような観光開発を行っているのか、ガイドブックには載っていない金沢の隠れた名所や生活風景をめぐるツアーに参加し、地域住民が営む生活文化や生活風景が観光客を呼び込む事例を学びました。ツアーを楽しく、円滑に進めるための、ガイドの方法や訪問先との関係作り、ツアー団体の運営方法を、生活文化に根付いた地域住民の慣習や風景、地元民芸品を素材にしたローカルツアーの提案ガイドの育成も大切だということも学びました。
海外客の宿泊コミュニティ「こみんぐる」では、金沢での文化を海外からの観光客に伝えたいと地元の方たちが集まります。こちらでは地元料理を囲み、金沢の伝統的な文化や生活を体験しながら、地元の方と「こみんぐる」での活動を通じた取り組みや課題や意見交換を行うことも出来ました。

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VRで金沢のまちを観光している様子

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「こみんぐる」に集まった地元の方たちと

農村型の事例紹介-木望のまちプロジェクトと農村ツーリズムの紹介-

農村地域における地域創生と観光振興の取組みから、福井県池田町では地方自治体の主導的な役割や民間と個人の具体的な取組み事例を体感し、地域開発の中でどのように観光を位置づけ、具体化させていくのか、課題にどのように対応していくのかを学びました。
池田町の取り組みである農村型インバウンド観光体験として、まるで農家に住んでいるかのような体験ができる「ファームハウス・コムニタ」や「ツリーピクニックアドベンチャー」を視察し、地域コミュニティとの係わりや、資源管理、施設運営や成功の秘訣まで教えて頂きました。

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福井県池⽥町溝⼝副町⻑による町の政策について講義を受けている研修員

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「ツリーピクニック」を視察する研修員

研修員帰国後のアクションプラン発表

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研修を振り返って、学びと課題の共有。帰国後にアクションプラン作成・発表を行いました

研修中、関連性の高い組織ごとに3チーム分かれ、研修の学びと帰国後の課題について話合いをし、本研修の成果の取りまとめとして、チームごとに発表会を行いました。発表の中で「(ドミニカ共和国にある)観光資源と農産物(ダムとキャッサバ等)をどのようにパッケージとして売りだせるか」「金沢駅の情報センターでは交通情報の案内に特化しているのが興味深かった」などコメントがある一方で、プランを実行していくためには、管理体制を整えるために人材育成が必要であり、職業訓練もより求められていくなどの課題も浮き彫りになったとのこと。
ドミニカ共和国に帰国した研修員は、課題に取り組むために本研修での具体的事例から得た教訓と、帰国後に取組む活動の概要にそれぞれの組織の人や地域特性を反映させ、それぞれが目指す今後の行動計画を作成し所属組織やJICA関係者に発表し本研修の締めくくりとしました。