2010年度 −研修の現場から−「仏語圏アフリカ 資源管理型漁業」

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【参加国】
アルジェリア、ブルンジ、カメルーン、カーボヴェルデ、コモロ、ジブチ、ガボン、モロッコ、コンゴ民主共和国、トーゴ、チュニジア

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氷見漁業協同組合の方の説明を熱心に聞く研修員

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氷見「海鮮館」にて地元水産加工品の種類の多さに驚く研修員

2010年9月下旬から10月中旬にかけて、アフリカ11ヶ国から13名の研修員が、富山県において氷見市の伝統的な定置網漁法を活用した資源管理型漁業や、日本の漁業協同組合の制度、流通システム、漁村振興に向けた取り組みについて学びました。

アフリカでの漁業収入は漁業従事者のみならず、水産物加工業者、小売業者など地域住民にとって生活を支えるものであり、また水産物(鮮魚、加工製品)は、周辺地域のタンパク質供給に重要な役割を果たしています。しかし、乱獲等により、アフリカ地域における貴重な水産資源の減少が危惧されています。

このような乱獲を防ぐ手段の一つとして今回研修員に紹介したのが、400年の歴史を持つ氷見の定置網漁法です。定置網漁法は、水深130メートル以上、長さ数キロに渡り海に網を張ります。巻網のように魚を追いかけ、そこにいる魚のほとんどを捕獲する漁法と異なり、集まってくる魚を待ちうける漁法です。そして、網目の大きさによって対象魚を決め、漁獲量のコントロールが可能です。その他、魚をなるべく傷つけず生きたまま水揚げできます。また、網には海藻や稚貝が着き、魚が集まる魚礁の役目を果たし、魚の憩いの場所となります。資源の再生産を促し資源確保に繋がる定置網漁法は、環境に優しい漁法であると注目されています。

この他、氷見漁業協同組合での取り組みや経営方法、日本での流通システムを学び、また、水産物加工工場視察などを実施しました。研修最終日のアクションプラン発表会(今後研修員が自国で実施したいことを発表する)において、多くの研修員が「定置網漁法の普及」や「漁業協同組合の再編成」を計画にあげていました。

最も嬉しかったのは、研修終了後、帰国研修員から、自分の勤務先である漁業省の上司と共に、地元漁業関係者らに対し定置網漁法普及のための手始めとして、日本で学んだことの研修報告会を実施したと報告があったことです。この研修員の今後の動きに注目したいと思います。

氷見市や氷見漁業協同組合のように、北陸が有する伝統や技術を開発途上国の発展に役立てる研修を実施することで、国内、そして海外に地場産業を大きくアピールすることができます。このような地元密着型の研修を実施することで、開発途上国への支援のみならず、地域ブランドの知名度向上、ひいてはその地域の活性化に貢献できればと思います。