2011年度 —研修の現場から—「タイ障がい者支援制度」

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熱心にメモをとる研修員

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統合保育をしている保育園にて園児の前でタイ式体操を披露!

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地域障がい者支援事務所の所長と研修員の集合写真

2011年11月中旬から下旬にかけて、タイから来た17名の研修員が、福井県においてCBR(注1)を基本とした障がい者支援制度について学びました。

来日した研修員は、タイ国の公共の障がい者支援施設で働く作業療法士や理学療法士、ソーシャルワーカーが中心でしたが、中には教育現場で働く教師や、タイ交通公社の技師の方も含まれていました。一見、交通と障がい者支援は全く関係の無い分野に思えます。しかし実際には、障がいのある人が地下鉄や一般道路を快適に利用できる施設や仕組みを考える上で、技師が障がい者支援分野を学ぶことは大変重要なことなのです。

研修前半は、日本の障がい者支援の現状について講義形式で学びました。研修員はとても熱心にメモを取り、多くの質問も出ました。また、自国の障がい者支援分野における問題点を明確にするために、ワークショップも実施しました。

研修中盤は、様々なライフステージにおける地域の障がい者支援を視察しました。保育園における統合保育、小学校における特別支援学級や養護学校などです。この他、障がいのある子どもを持つ親の会による活動も視察しました。

研修後半は、当研修で学んだことを踏まえ、自国の障がい者支援分野における問題を解決するために必要かつ具体的な行動について、ワークショップ形式で考察しました。この内容をグループごとにまとめ、今回の研修視察先として協力してくださった方々の前で発表をしました。

今回のタイ国研修員は例年に比べ特に熱心であり、帰国後も研修受託先(リハビリテーション分野の国際協力の会)の理事長(小林明子様:福井県立大学看護福祉学部社会福祉学科 教授)と何度もメールでやり取りをし、各職場の現状を伝えていたそうです。彼らの熱意に負け、小林理事長は今年1月に自費でタイ国を訪問し、全研修員17名の職場を視察・アドバイスをされたそうです。今後も研修員と先生との関係が続き、タイ国の障がい者支援分野が少しでも改善されていくことを期待します。

(注1)CBR=Community Based Rehabilitation。日本語では地域住民参加型リハビリテーションと訳される。