課題別研修

開発途上国で直面している課題解決を目標に、特定の課題をテーマとして取り上げ、各国から行政官や現場の技術者を対象に参加を募り実施される研修です。日本での研修では専門分野の知識や技術の習得とともに、参加者間、参加者と日本の専門家等の間で意見を交わし、課題に対して進むべき道を探ります。北陸ならではの特色を活かし、教育、産業振興、農業・漁業、自然環境保全など途上国が抱える課題に対応しています。

2019年度実施コース

コース名 実施機関
(協力機関)
実施時期 対象国・地域 研修員数
1 地域の特色を活かした産業振興(A) 太平洋人材交流センター 2019年6月30日~7月27日 全世界 10人
2 中東における基礎教育拡充のための教育行財政と学校運営の改善 金沢学院大学 2019年8月28日~9月20日 中東全域 17人
3 持続可能な自然資源管理による生物多様性保全と地域振興-SATOYAMAイニシアティブの推進 一般財団法人自然環境研究センター 2019年9月29日~10月31日 全世界 10人
4 観光開発政策 株式会社JTB 2019年10月8日~11月9日 全世界 16人
5 授業研究による教育の質的向上 福井大学 2019年11月10日~11月30日 アフリカ 12人

コース紹介

中東における基礎教育拡充のための教育行財政と学校運営の改善

実施機関:金沢学院大学
実施時期:2019年8月26日~9月20日
対象地域:エジプト、イラク、パレスチナ、レバノン、イエメン

中東地域では、学校施設の不足だけではなく、教育の質が低いことが学力の向上に結び付かず、結果として留年や中途退学につながっています。教育の質の問題は、教科書や教材の不足、教師の不足及びカリキュラムの未整備などと関連しており、これらの問題の背景には、教育予算の不足と脆弱な教育行政の問題があります。充実した教育体制を実現するためには多額の公的資金を必要となのですが、中東の多くの国は厳しい財政状況に置かれ、教育への公的資金の支出は限定されており、かつ行政能力も不十分なため、その役割を果たせていない状況となっています。このような中東地域において、この課題を解決するため、本研修は企画されました。状況の改善に向け、かかわる教育行政官が政策レベルにおける教育行政、教育行政の役割と責任を理解し、マネジメント能力を向上させることを目的としています。

2019年の研修は5か国から7名の参加がありました。その中のエジプトでは国の教育制度を見直すため日本式の学校教育が取り入れられている学校があり、今回も3名の参加がありました。

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2019年度中東から参加の研修員の皆さん

研修コースでは、日本の教育関係者からの講義の他、金沢市や小松市の学校を訪問し、学校の先生方から現場のお話を伺い、学校を見学し、生徒さんたちと交流しながら研修を進めました。

学校見学では授業の他、清掃や給食なども見学させていただき、実際に給食を生徒さんたちと一緒にいただきました。これらの事は日本では当たり前になっていますが、中東の国にとっては新鮮で、研修員の方々は感心するばかりです。

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見学先の教室で語りかけるアーマドさん

また、研修員の方々は学校の施設の充実に感銘を受けるだけでなく、それぞれの学校で実施されている「小さな工夫」にも刺激を受けていたようです。

パレスチナから今回参加したアーマドさんは、学校で見た床を傷つけない工夫として金沢市内の小学校で実践されていた、イスや机の脚に使用済みのテニスボールを取り付ける工夫をみて、感銘し、帰国後、自国において早速取り入れ、その写真を送ってくれました。

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パレスチナの学校で取り入れられたイス脚ガード

その他、この研修コースでは、日本を訪れた方々に日本の文化と歴史について学んでいただくため、日程の中で毎年広島への研修旅行を組み入れ、平和記念公園など地元の方のお話を伺いながら巡ることを取り入れています。エジプトからの参加者によると、自国の教科書に「広島」の事が掲載されているということでしたが、それはほんの数行に過ぎず、実際に資料館や現地視察をしたことで多くの情報を得たとのこと。また「自身の生徒や家族にもこの視察で感じたことを伝えたい。」と言っていました。その他の国から参加した研修員にとっても印象深い訪問先となっています。

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被爆者の講話を聴講する研修員

この研修コースは、現在は中東地域を対象としていますが、以前はアフリカ地域を対象に、金沢大学の協力を得ながら実施し、合計すると10年以上と、北陸においては最も歴史あるコースです。

教育はその国において人材育成のための重要な分野で、重要な協力分野となっています。
すべての開発途上国において質の良い教育がみんなに行き渡るような状況を目指して、本研修コースを引き続き、実施していきます。