ベナンの子ども達にICT教育を届けたい!

ABEイニシアティブ研修員インタビュー 

インターン生
Bidossessi Emmanuel Agossou(ビドセスィ エマニュエル アゴス)さん

今回取材させて頂いたビドセスィ・エマニュエル・アゴスさんは、2019年9月から2年間、神戸情報大学院大学に在学中に、福井市内の企業で3週間の夏期インターンシップに参加しました。

ABEイニシアティブ(※)研修員として福井市にある株式会社ict4eでインターンシップに参加したBidossessi(ビドセスィ)さんにインタビューを行いました。

※ABEイニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)
アフリカの産業人材育成と日本企業のアフリカビジネスを現地でサポートする水先案内人の育成を目的として、アフリカの若者を日本へ招聘し、①日本の大学・大学院での調査・研究、及び、②国内企業での実践型インターンシップの2つの機会を提供するプログラム。

Bidossessi(ビドセスィ)さんご自身について教えてください

みなさんはじめまして!アフリカの西部にあるベナン共和国出身のビドセスィと申します。私はベナンの大学でコンピューターエンジニアリングについて学んだ後、コンピューターのエンジニアとして、大学や企業、銀行等で6年間勤務しました。その後ベルギーの大学院でコンピューターに関する知識を磨き、ABEイニシアティブに参加しました。
私には妻と二人の子どもがいますが、プログラム期間中は日本とベナンで離れて生活していたのでとても寂しかったです。趣味はIT系の図書を読むことです。体を鍛えることも好きですが、最近はコロナ禍でジムに行けないので、家でトレーニングやストレッチをしています。また、故郷が恋しいので、Youtubeでアフリカの音楽を毎日聴いています。

ABEイニシアティブに参加した理由

私の友人がJICAベナン支所での勤務経験があり、そのつながりでJICAベナン支所のFacebookをチェックしている時に、このABEイニシアティブのことを知りました。私は小さい頃から、いつか機会があれば日本に行きたい、日本の技術をみてみたい!と思っていました。このプログラムは日本の修士課程で学べるだけではなく、企業でのインターンシップの機会があるということを知り、すぐにこのプログラムへの応募を決意しました。

大学院で学んだことについて 

大学院での発表の様子

2019年の9月から神戸情報大学院大学、情報工学専攻修士課程に籍を置き、ITやICTについて勉強しました。この大学は多くの国から留学生を招いているので、国際的な環境で日本の技術について学ぶことが出来ました。様々な国の人達と自国の課題について話し合いながら、参考になる意見をどんどん吸収することができ、とても刺激的な毎日を過ごすことが出来ました。また、経験豊富な教授の方々からは、IT関連の技術や知識だけではなく、目の前にある課題に対してどのようにアプローチしていくかなど、高度ICT人材としてどうあるべきかについても学ぶ機会を頂きました。
他にも、人工知能やクラウドコンピューティングなど、これまで勉強してこなかった分野も学ぶことができ、新しいスキルを身に着けることが出来ました。
私が学びたいことについてとことん学べる環境でしたので、このプログラムに参加できて本当に良かったです。

インターンシップについて

Ict4eでのインターンシップ中の様子

修士課程の2年目の夏に、福井市内でITコンサルティングとアフリカをターゲットにしたビジネスを行う株式会社ict4eでの3週間の修了時インターンシップに参加しました。この会社は以前にもABEイニシアティブの研修員がインターンシップをされてしていたこともあり、快く受け入れて頂きました。
インターンシップでは、持ち歩き可能な小型パソコン「IchigoDake※」や「カムロボ※」を使ってのプログラミングの体験を通して、いかにわかりやすく、子ども達にプログラミングを教えることができるかについて学びました。また、2018年のインターンシップ生がケニアで立ち上げたプログラミングの教育プログラムや、鯖江市のプログラミング教室を訪問し、子どもやシニア世代に教える際のカリキュラムなども学ぶことが出来ました。
ict4eの代表である原さんには、私がベナンに帰国してから行う事業に必要なことが学べるようにインターンシップの内容を考えて頂き本当に感謝しています。
ベナンに帰国後、子ども達へITやプログラミングを普及していきたいと考えている私にとって、この3週間のインターンシップはとても充実したものになりました。

日本での生活について

お気に入り伏見稲荷大社にて

ベルギーでの留学時代に、たくさんの国からきている留学生と知り合うことが出来ました。ベナンとは全く違う文化を持つ人達と共に暮らしていたので、異文化に対しては特に抵抗はありませんでした。日本に初めて来たときも、違って当たり前という感覚をもっていたので、大きなカルチャーショックを感じることはなかったです。
ただ、日本のごはんに慣れるまでは少し大変でした。ベナンの料理はスパイシーなものが多く、日本の甘い味付けに最初は戸惑いましたが、今では大好きな味付けになりました。福井で食べたソースカツ丼とおろしそばもとても美味しかったです。
また、日本人は普段からとても忙しそうにしていると感じます。全てのことに対して計画を立て、友達の家に行く時でさえ、前もって約束しておかなければなりません。ベナンではあまり前々から計画を立てることはしないので、みんなその日その日をのんびりと生活しています。また、人との距離が近く、気軽に友達や近所の家を行ったり来たりできるので、コミュニティの結束力も日本に比べると強いと思います。
そういったベナンとの違いから、来日当初は日本での生活に少し窮屈さを感じることもありました。
今ではすっかりと慣れてしまいましたけどね!

今後の展望 

帰国後のことを考えたプログラムを提供してくれたict4の原さん(右端)やスタッフの方と

私はベナンに帰国後、ICTやプログラミングを子ども達に教える会社を立ち上げる予定です。日本に来て、日本の教育環境は本当に素晴らしいものだと感じました。日本の子ども達は、世界でもトップクラスの教育環境にあり、質の高い教育を受けることが出来ます。それに比べ、ベナンの教育環境はまだまだ発展途上です。
私の夢は、ベナンのすべての子ども達が気軽にICTやプログラミングを学べる環境を整え、将来の選択の幅を増やす手助けをすることです。日本の大学院、そしてict4eで学んだこの2年間の経験を、ベナンの人たちに少しずつ還元していきたいですね!

JICA福井デスク 佐藤 山斗