日本の教育で世界を変える!

ABEイニシアティブ研修員インタビューインターン生 
Mohamedo Saleh (モハメド サーレハ)さん

今回取材させて頂いたモハメド・サーレハさんは、2018年10月から2年間、東洋大学大学院にて研究をされ、その後2020年10月から、福井市内の企業でインターンに参加しました。

 ABEイニシアティブ(※)研修員として福井市にある株式会社ボヌムエデュケーションでのインターンシップに参加したMohamedo Saleh(モハメド サーレハ)さんにインタビューを行いました。

※ABEイニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)
 アフリカの産業人材育成と日本企業のアフリカビジネスを現地でサポートする「水先案内人」の育成を目的として、アフリカの若者を日本へ招聘し、①日本の大学・大学院での調査・研究、及び、②国内企業での実践型インターンシップの2つの機会を提供するプログラム。

Mohamedo(モハメド)さんご自身について教えてください 

 私はエジプト・アラブ共和国(以下エジプト)のカイロ出身です。母が大学で経済を教えていた影響もあり、エジプトでは財務省で軍のファイナンスや地域経済開発に携わる仕事をしていました。姉は大学の教授、弟はアナリストとして働いていて、経済の分野が得意な一家です。
エジプトでは、空手とカンフーをしていて、カンフーのアフリカチャンピオンシップ(3位)に出場経験があります。最近はヨガにハマっています。

ABEイニシアティブに参加した理由 

 日本とエジプトは「エジプト・日本教育パートナーシップ」を締結している事もあり、エジプトでは教育分野をはじめとするJICAの支援は有名です。そんな中で、JICAが行っていたABEイニシアティブに関するセミナーに参加したことをきっかけに、このプログラムに興味を持ち、エジプトを始め、アフリカを支えていく人材になるために、参加しようと決意しました。

大学院で学んだことについて

大学院時代の様子

 2018年の10月から東洋大学大学院、経済学研究科公民連携専攻修士課程に籍を置き、地域経済開発に関する勉強をしました。修士論文の内容は、「中東経済への軍備貿易の影響」というテーマのもと、武器貿易の経済効果について研究していました。この2年間は私のキャリアの中でも特に貴重な期間になりました。担当の教授からは研究内容のサポートを始め、物事の考え方や異なる視点からアプローチする大切さを学びました。また、違ったバックグラウンドを持つ人達との出会いからたくさんの刺激を受け、新しい価値観や考え方に触れることで、大学院での研究も充実したものになりました。

インターンシップについて  

インターン中の学校訪問の様子

 修士課程終了後のインターンシップ先を探している時に、ボヌム・エデュケーションの代表である藤田さんと出会いました。私は、「教育」は世界を変えていくためにはなくてはならないものだと考えており、そういった点で彼と意見が合い、こちらでインターンシップをさせて頂くことになりました。藤田さんにはとてもお世話になり、仕事の内容はもちろん、色んな相談事にも乗ってくださり、私の日本生活においてとても大切な存在です。
 こちらの企業では、幼保小中高の様々な教育現場での英語指導や、英語学童保育、英語教室の運営を行っていて、私の主な仕事内容は2つあります。1つ目は英語指導です。ただ英語を教えるだけではなく、それぞれの子供にあったカリキュラム作成や、グローバル社会に必要な英語力を養うための基礎を指導しています。2つ目は英語教育を取り入れたい会社や学校へのコーディネートを行っています。またパンデミックや自然災害時にも対応できるように、オンラインスクール実施に力を入れ、どこにいても学べる環境を作っている最中です。
 インターンシップでは、子どもとの触れ合いを通してたくさんの事を学ぶことが出来ました。日本の教育はしつけや礼儀、綺麗に掃除する習慣や、学校と保護者・地域とが一体となる取り組みなど、エジプトの教育にはない良さがたくさんあります。そういった学校教育を通して上手く日本人としてのマナーを子供達に習慣づけることができる点は本当に勉強になりましたね。

日本での生活について 

2021年1月、福井県内の大雪の様子

 以前、スウェーデンに3ヶ月住んでいたこともあり、異文化での生活には問題なく適応できると思っていましたが、日本の文化は他の国にはない独特さがあり、来日当初はカルチャーショックがありました。例えば、街中ではみんな忙しそうにしていて道を聞いても話を聞いてくれないこともありました。また、大都会での生活や駅ではしっかりと列を作ることや街中にゴミ箱は少ないのにゴミが一切落ちていないこと、子ども達だけで通学している様子などには本当に驚きましたね。しかし、周りの人たちの助けや、人間関係を築いていく中で日本人のマナーや習慣、日本社会のあり方を学んでいくことができました。また、先日の福井県での大雪の時は、雪にはまった車をみんなで押している姿が印象的でした。
食文化もまるっきり違っていて、食材や調味料なども知らないものばかりで料理を作るのは難しかったが、少しずつ日本の食材を使って料理できるようになってきました。お寿司もエジプトで食べたものと全く違っていて、やっぱり本場のお寿司は最高ですね!

今後の展望 

 帰国後は今インターンで行っている内容をエジプト国内だけではなく、世界中に拡大させていきたいと考えています。特に日本式の教育方法をとり入れた事業を展開していきたいです。また、オンラインでの教育を展開していくことで、どこにいても日本式の教育を学べるような環境づくりをしていきたいと考えています。
すべての子供達が質の高い教育を受けられる世界になることが、私の夢です。ABEイニシアティブプログラムで学んだことを、まずは母国であるエジプトに還元していきたいですね!

JICA福井デスク 佐藤 山斗