富山県:JICA国際協力中高生エッセイコンテスト 12年連続「特別学校賞」受賞の伏木高校にて表彰式を行いました!

2021年3月23日

はじまりは、今から16年前の2005年に初応募!

【画像】富山県立伏木高校は、富山湾、そして天気の良い日には立山連峰を眺めることができる高台に立っています。この伏木地区は、古来、万葉の時代より、港町として栄えた場所でもあります。また、明治時代に伏木在住の廻船問屋らによって建設された「伏木測候所」があり、今でもその名残として、富山県の西部地域の天気は「高岡伏木」と表示され、富山県人にはお馴染みの名称です。
このように歴史を超えて、日本古来の文化が根付き、外国との扉を開く場でもある港を持つ、そんな場所に伏木高校はあります。昔は「貿易科」が存在した時期もあり、現在は「国際交流科」のみで構成されているところも特徴的な高校です。
そんな伏木高校は、長年にわたり、JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト※1に応募してくださっています。それは、今から16年前の2005年に初応募・学校賞を受賞したことに始まり、2009年に「特別学校賞※2」を初受賞。その後、12年連続の快挙となっています。

●2005年の初応募のきっかけについて、伏木高校に質問してみました!
「当時の英語科の先生が、富山県の国際課から異動されてきた方で、JICAをはじめ様々な機関と関わりがあったことがきっかけとうかがっています。2005年は本校が「普通科」から「国際交流科」と名称を変えた年であり、国際交流活動がますます活発化していった時期でした。」

「国際人へのパスポート」をスローガンに掲げる伏木高校の取り組み

中国友好校語学研修での交流会の様子

韓国友好校語学研修の数学の授業の様子

米国より来日した生徒さんが、日本の授業に参加している様子

高校の正面玄関には高岡市の花でもある「かたかご(カタクリ)の花」のピンク色が鮮やかに映え、そこに大きく、「国際人へのパスポート」を目指すとスローガンが掲げられています。
伏木高校は、県立高校としては珍しく、英語以外に第二外国語(韓国語、中国語、ロシア語)の授業があります。他にも「国際理解」という教科があり、そこでは国際関係の分野だけではなく、「日本文化」「郷土文学」「世界の食文化」など様々な科目があり、国際人として、外国のことを知るだけではなく、まず自国の、そして郷土の文化を学び、それを国際交流の場に生かしてほしいという思いが込められているそうです。
伏木高校では、毎年、中国・韓国・ロシアおよびアメリカの友好校と交流を行っています。それは日本から現地へ行く一方通行のものではなく、逆に海外から日本へも招き入れ、ホームステイ受け入れなども行っている、互いに行き来しあう交流です。
参加生徒たちの成長は目覚ましいとのことで、入学時は引っ込み思案だった生徒もこうした交流を通し、人前で話すことや積極性が増す生徒が多いと校長先生を含め、教員の皆さんも口をそろえておっしゃっていました。
他の学校から赴任された教員の方は、「他校と比較して、生徒が外国の方に「壁」を作っている様子がなく、すぐに話しかけたり、打ち解けたりする姿が印象的です」とコメントしてくださいました。これも様々な形で外国の方と接する機会を増やしてきた学校ならではの取り組みから生まれた成長した姿といえるでしょう。
こうした学校ならではの授業や交流の振り返りの場として、エッセイコンテストを夏休みの課題にし、自主的に取り組んでいるとのことでした。

●ここまで継続することができた理由を伏木高校にお聞きしました!
「毎年、夏季休業中の課題として1年生・2年生に提出させています。国際交流科に来た以上、国際交流の体験を文章でまとめてもらいたいという思いがあります。もちろん、宿題だから出さなくてはいけないという側面はありますが、実際の体験がないとなかなか書きづらいと思います。その点、本校は海外からの来校が多く、交流の機会が多いため、生徒はなにか書くネタを持っています。1年生は入学して半年も経たずに取り組むことになりますが、夏休み直前(7月中旬)には中国・韓国、年によってはアメリカからのホームステイ受入を経験しているので、そのときのことを書いてくる生徒も多いです。また、入学する前から国際交流に期待をして入ってくる生徒が多く、もともと世界に目が向いているのかなという印象もあります。」

2020年度は、12回目の「特別学校賞」を受賞!

エッセイコンテスト表彰式の様子

2021年3月上旬、JICA北陸の菊地所長が学校を訪問し、学校長に「特別学校賞」の賞状と楯を授与しました。
これまでの実績に感謝の意を表すとともに、学校での取り組みについてもお聞きしました。

●校長先生からのコメント
「本校は国際人を育成するという目標のもと、生徒たちは、国際理解の学習を通じて、多くの気づき、発見があります。1年生のときから3年間通じて学習していき、海外に実際に行き、そして海外からの生徒を自分の家庭に迎え入れています。自分の目で見、直接会うという生きた学習をしてきている中で、1年生のときも、2年生のときも、このエッセイコンテストに応募することを通じて自分の学びを見つめなおし、まとめていくことができています。本校の学習の中で、エッセイコンテストはすでにカリキュラムの一つと言っても過言ではないほど大変重要な機会となっています。
また、本校では、海外のことを知ると同時に、日本文化についての学びも深めています。地元の高岡市は万葉集の代表的な歌人でもある大伴家持が、奈良時代に越中国(現在の富山県)の国府として赴任した地であり、深い関係があります。そうした地元を知ること、語ることは海外の方々と交流するときだけでなく、その後の彼らの人生にとってもきっと役に立つと考えています。」

---------------------------------------------
最後に、富山県内には、今回ご紹介した伏木高校のように県立高校の中にもこうした独自の科を設立し、興味深い取り組みを行う高校があります。今後も既存の国際交流の幅を超え、JICAとのつながりも継続してもらいながら、出前講座や研修員との交流など様々な場面で共有・協力し合う関係でありたいと思っています。今後の伏木高校の活動に注目していきたいです。

※1 JICAでは毎年夏季休暇の時期に、全国の中学生・高校生を対象に開発途上国の現状や日本との関係について理解を深め、国際社会の中で日本、そして自分たち一人一人がどのように行動するべきかを考えるきっかけを提供する機会として、JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテストを開催しています。詳細につきましては以下のリンク先をご覧ください。
※2 受賞には、個人賞のほかに、たくさんの作品をご応募頂いた学校を対象とした「学校賞」があり、また長年にわたり、学校賞を連続して受賞されている学校にはこの「特別学校賞」が贈られます。