インドネシアの離島への環境教育支援が始動!

2021年7月6日

署名後の合意書と前プロジェクトで作成された環境教育の教科書(写真左から富山市 藤井市長、IEPF 窪木代表理事、JICA北陸 米山所長)

JICAは、草の根技術協力事業として富山県の一般社団法人インドネシア教育振興会が提案した「インドネシア国離島でのデジタル教材と日本式授業研究を活用したSDGs環境教育支援プロジェクト」を採択し、この度、本プロジェクトを開始するための現地のNGOを交えた3者による合意書を締結しました。署名式は富山市の藤井市長が立会いの下でおこなわれ、4年間の本プロジェクトが始動します。

インドネシア教育振興会とJICAは、経済発展とともに年々深刻になっているインドネシアのごみ問題や環境問題の改善を目指し、草の根技術協力として2014年から7年にわたる2つのフェーズでのプロジェクトを通し、首都のジャカルタの近くにある南タンゲラン市の小中学校への環境教育の導入と普及をおこなってきました。そして南タンゲランでの成果を南タンゲラン環境教育モデルとしてとりまとめるとともに、ボゴール市やバリクパパン市の小学校にも普及しました。

今回のプロジェクトは、これまでの協力の集大成(フェーズ3)として、南タンゲランモデルを応用し、地理的文化的条件が異なる『離島部』のための環境教育モデルを現地の人々とともに開発し、普及させていこうというものです。離島部は『都市部』と比べ教員の絶対数が不足しており、また、デジタルデバイドなどの離島特有の問題などを抱えています。これらの問題に対処するため、遠隔で授業が実施できるようにするためのデジタル教材を開発し、さらにこれを現地の人たちの間がその時の現地のニーズに合わせた内容に編集できるようにすることで、離島部に合った環境教育の授業を進めやすくしていけるように工夫します。また、レッスンスタディーとよばれる日本式の授業研究を取り入れ、先生からの一方通行になりがちな授業を先生と生徒の間の双方向のコミュニケーションになるような授業へと改善するための手法も併せて伝えていきます。

本プロジェクトでは、現地教育者の育成を通じて、インドネシアの環境教育改善を図り、SDGs達成に貢献してきました。あわせて、富山市のSDGsの取組み、イタイイタイ病の教訓及び環境被害とその克服の歴史などこれまでの富山の環境改善に向けた取り組みの経験や知見を教材に盛り込んできています。今後もこのプロジェクトを通して、富山市とインドネシアのより一層の地域交流・発展にも貢献していきます。