【研修員受入事業】ゼロカーボン・脱炭素社会に向けて、5ヵ国の挑戦!

2021年9月17日

スリランカから研修を受講するアシットさん

JICA北陸で今年度初めての遠隔研修となる「多様な再生可能エネルギー導入時の系統安定化」研修が8月23日から9月3日の日程で開催されました。気候危機を回避するため、脱炭素は喫緊の課題。サモア、ジャマイカ、スリランカ、セルビア、ラオスから参加した9名が、再エネを最大限活用するための送配電分野の課題解決について学びました。

気候危機を救うには再エネが不可欠!

セルビアのミロスラブさん(手前)とデアナさん(奥)は同じ職場の同僚

「脱炭素」や「カーボンニュートラル」という言葉がよく聞かれるようになりました。これは、「2050年までに、温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いたら実質ゼロになる状態を目指す」ということです。そのためには気候変動の原因となる温室効果ガスの量を減らさなければならず、再生可能エネルギーの果たす役割にますます注目が集まっています。

発表会に参加する北陸送配電の講師陣

JICAは、北陸電力送配電株式会社(以下、北陸送配電)と一般社団法人海外電力調査会の協力を得て再生可能エネルギーを導入する際の技術的な課題について研修を企画し、サモア、ジャマイカ、スリランカ、セルビア、ラオスから9名の電力事業関係者が参加しました。研修員はあらかじめテキストと動画で自習を進め、研修期間中はZoomに接続してリアルタイムで講義を受講しました。5ヵ国の時差の関係で昼の部と夜の部の2グループにわかれて進められ、夜は11時過ぎまで活発な質疑応答が行われました。
電力を安定供給するためには、需要と供給を一定にして周波数を一定に保たなくてはいけません。天候や自然の影響をもろに受ける再生可能エネルギーですが、北陸送配電では高い技術力でこの需給バランスが崩れないよう調整を行っています。北陸送配電の講師は図表がたくさん使われた分かりやすいテキストと丁寧な質疑応答で、研修員がしっかり理解できるよう連日惜しみなくノウハウを共有してくださいました。

連日、活発な質疑応答が続きました

プログラム終盤では、研修で学んだ知識を活かしてどう課題を解決できるか考え、蓄電池の導入やグリッドコード(注:再エネ等による発電設備を送配電線に接続するための規則)の整備など、9名それぞれが各国で直面する電力事情と課題に対する「行動計画」を作って最終日に発表しました。研修員の上司も参加して一緒に発表内容を聞いてくれたので、これから行動計画を実践に移す時にもサポートしてもらえそうですね。

カメラ越しに修了証書を差し出すと…

最後は、修了証書のバーチャル授与式で閉会。JICA北陸の会議室でカメラの前に立った米山所長が修了証書をカメラ越しに差し出すと、名前を呼ばれた研修員が手を伸ばして1名ずつ修了証書を受け取っていくのですが、、、あれっ、スリランカのパウィトラさんの手元には、なぜか修了証書が??!たまたま机の近くにあった別の賞状をカメラに映して、「ほらこっち側に届いた!」とジョークではしゃぐパウィトラさん、可愛らしいですね!

あら不思議、パウィトラさんのところに修了証書が届きました!

研修員からは、「すばらしい研修でたくさん学ぶことができた」、「様々な活動のヒントをもらった。この研修でできた仲間とともに世界を良くしていきたい」といった声が聞かれました。オンラインでのコミュニケーションでしたが講師陣も研修員もとてもフレンドリーで、感謝と充実感に溢れた温かな空気に包まれて研修期間を終えることが出来ました。

参加者のみなさん、2週間お疲れ様でした

実はこの研修には続きがあります。
来年、この5ヵ国の研修員が主役となって、市民の皆さんも参加できるオンラインイベントを企画しています。再エネを活用した電力の話はもちろん、それぞれの国を写真入りで紹介したり皆さんとおしゃべりしたり楽しいイベントにしたいと思っています。JICA北陸のホームページでお知らせしますので、どうぞお楽しみに!

(研修事業班 野吾奈穂子)