富山県 コロナ禍で中国へ大気汚染対策支援

2021年12月22日

遼寧省は中華人民共和国東北部に位置する省であり、面積は約14.8万km2、人口4,190.2万人(2019年)、省都は瀋陽市。大連市は遼寧半島の南端に位置する中国東北部最大の港湾都市であり、船舶製造業、石油化学工業など多種多様な大規模工場が集積している。

大気汚染の原因物質(注)を削減する技術普及のため2018年に開始した事業の成果の振り返りと、今後の協力について富山県と中国遼寧省をオンラインで結び話し合われました。

(注)大気汚染の原因物質
本事業では、揮発性有機化合物(VOC)の削減技術普及の協力を行った。VOCとは、蒸発しやすく、大気中で気体となるトルエン、キシレン、ベンゼンなど多種多様な物質の総称。工場や家庭等で溶剤や原料等として多用されるほか、自動車等の燃料にも含まれる。光化学オキシダントやPM2.5などの大気汚染物質の原因の一つとされる。

両地域の活発な意見交換

12月15日に検討会、16日には総括会議がオンラインにて行われました。

検討会では、大連市で行ったVOC排出量調査結果とともに、優先物質と優先業種が報告されました。この調査に関し、富山県が技術的な確認を行い、適切な方法で分析が行われたことを再確認しました。また、富山県及び遼寧省からVOC削減対策に関する取り組みが紹介され、活発な意見交換が行われました。

総括会議では、事業の総括と成果が発表され、今後の遼寧省での削減対策の方針や、両地域の協力の方向性を協議し、引き続き環境保全に関する情報交換等を行うこととなりました。

遼寧省への20年以上の環境協力

富山県と遼寧省は1984年に友好県省を締結し、1998年からJICA草の根技術協力事業によって環境分野に関する以下の協力を行ってきました。2018年に開始した本事業はこれまでの集大成となります。




JICA担当者より 

【画像】本事業の活動は遼寧省での現地指導と日本への研修員受け入れ、つまり人の往来が中心だったため、コロナ禍の影響を大きく受けました。このため現地の事情に対応しつつ実施団体は現地側と調整を重ね、今回の会議開催にこぎつけました。(佐野)

案件情報

【画像】草の根技術協力(地域活性化特別枠)
「遼寧省との揮発性有機化合物(VOC)削減技術普及のための協力事業」
提案自治体:富山県
実施団体:公益財団法人 環日本海環境協力センター(NPEC)
対象地域:遼寧省、大連市
事業期間:2018年4月~2022年2月