福井とマダガスカルを柔道でつなぐ!

2023年1月24日

岩堀隊員(後列青の柔道着)
ランドリアナスア・ルバ・マハイスア選手(前列青の柔道着)

マダガスカルで柔道隊員として活動中の岩堀睦宗さん(福井県出身)と2022年12月に日本で開催されたグランドスラム東京2022※に出場した同国のランドリアナスア・ルバ・マハイスア選手(19)が、大会出場後、岩堀さんの母校である福井工業大学での合同合宿に参加し、地元の小学生や大学生と交流を深めました。福井での合同合宿中の様子を紹介します。

※グランドスラム東京:日本の国際柔道大会。詳しくは関連リンクをご覧ください。

「柔道でつながる」スポーツの力を実感

投げ技を決めるランドリアナスア選手

岩堀さんとランドリアナスア選手は、グランドスラム東京大会後、岩堀さんの母校である福井工業大学で約3週間に渡り、合宿に参加しました。
合宿では、柔道部の学生との練習を通して、組み方や技のかけ方、体重の使い方など柔道の基本から改めて学んだそうです。
「やっぱり日本の柔道はすごい。僕はまだ基本ができていないとわかった。」と汗を流しながらも笑顔で練習に励むランドリアナスア選手の姿が見られました。
合宿中にランドリアナスア選手が驚いたことの一つ、柔道場の設備に触れ、「こんな素晴らしい柔道場は見たことがない。この機会にたくさん練習をして帰りたい。」と意欲的に練習に取り組んでいました。

小学生との交流の様子

岩堀さんは当初、ランドリアナスア選手が大学の選手達と上手くコミュニケーションが取れるか心配したそうですが、数日経つとすっかり仲良くなり、ランドリアナスア選手は学生とランチに出かけるほどになりました。
また大学生や高校生との練習だけではなく、地元の小学生との交流の時間も設けられ、普段日本人以外と練習する機会が少ない子ども達が、臆することなくランドリアナスア選手との組手に挑戦していました。
小学生との交流や大学生・高校生の輪の中に溶け込むランドリアナスア選手の姿を見て、岩堀さんは「国や人種、言葉が違っても、柔道がつなげてくれる」とスポーツの持つ力を改めて実感したそうです。

福井から海を渡った柔道着   

福井からの柔道着をマダガスカル柔道連盟に手渡す様子

福井県国際交流会館に訪問した時の1枚

岩堀さんは2022年4月に福井県が実施している海外ボランティア支援事業を活用し、福井県内で集められた柔道着80着をマダガスカル柔道団体に届けました。福井から海を渡った柔道着は、各地域の柔道クラブにて子ども達に大切に使われているそうです。
岩堀さんとランドリアナスア選手は、福井県滞在中にマダガスカルへの柔道着支援に携わった福井県や福井県国際交流協会、福井県柔道連盟の方々と面会し、「マダガスカルでは柔道着は簡単に手に入らない。こういった支援物資のおかげで普及活動を行うことができ、マダガスカル柔道の発展につながる。」と感謝の言葉を伝えました。

マダガスカルからオリンピック出場を目指して 

グランドスラム東京に出場したランドリアナスア選手 (白の柔道着)

現在、マダガスカルのナショナルチームでは、パリ五輪に向けて国際大会で好成績を収めることが求められています。今回、日本で開催された国際大会の一つである東京グランドスラムにランドリアナスア選手が参加し、岩堀さんもマダガスカル代表コーチとして帯同しました。結果は、残念ながら1回戦敗退となりましたが、ランドリアナスア選手からは「世界中の強い選手のテクニックを学ぶことができてとても楽しかった。」と柔道家の憧れの場所、日本で試合ができたことに目を輝かせていました。
マダガスカルへの柔道着支援やマダガスカル代表選手の福井工業大学での合宿など、柔道を通して福井とマダガスカルをつないだ岩堀さん。
「目標は教え子がパリ五輪にでること。そのためにできることはなんでもやりたい。」残りの活動期間は約1年。柔道で世界をつなぐ岩堀さんの活動に今後も注目です!

大統領府でスポーツ功労賞を受賞した時の一枚

●JICA海外協力隊員プロフィール
2021年度2次隊 岩堀睦宗(いわほり ともかず)さん
柔道隊員としてマダガスカル国内の柔道の普及活動や技術力向上に向けた活動を行う。また、週4回、ナショナルチームの指導にも携わり、2022年8月に開催された国際大会で、岩堀さんが指導する選手2名が好成績を収めたことを受け、同国の大統領からスポーツ功労章を受章。