国際キャリア総合情報サイト”PARTNER” リブランディング ~共創を支える人材プラットフォーム~

#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.05.02

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人事部 開発協力人材室 副室長 宮川 朋子

20年前に生まれた「人と組織をつなぐ仕組み」~PARTNER

いきなり私事で恐縮ですが、私の初の海外勤務先は、今は存在しないJICA英国事務所でした。駐在中、現地で開発学を学ぶ数多くの日本人留学生に出会いました。彼・彼女達と会って話をしていると、「JICA専門家になるにはどうしたらいいんでしょう?」「JICAの仕事にはどんなものがあるのですか?」といった質問を受けることがありました。1990年代終盤当時、インターネットは使われていましたが、求人サイトもネット通販も今ほど活発ではなかった時代です。彼・彼女達から問い合わせをもらうたびに「開発に興味をもって学んでいる人たちがここにこんなにいる一方、日本国内では『いい人材がいない』と探している…。両者をつなぐ方法はないだろうか?」と思ったものでした。
その後、本部に配置換えとなり、ふと気づくと、JICA内に国際協力人材センターが設置され、このブログでご紹介する国際キャリア総合情報サイト「PARTNER」が誕生していました。まさに私が妄想していた「人材と組織をつなぐ」仕組み。しかも、サイトはJICAだけではなく、NGO/NPOをはじめとした様々な国際協力のアクターが使うことも意識されていました。国際協力業界全体を人材面で支える、そんな仕組みをJICAが運営していることを誇らしく感じたことを覚えています。

PARTNERの歴史

では、なぜJICAがこうしたサイトを立ち上げることになったのでしょうか?PARTNERは、「第二次ODA 改革懇談会」(2002年3月)の「国内外での開発事業に携わる人材の発掘・育成と、有効活用するためのシステムを構築する必要がある」という最終提言を踏まえ、2003年10月に国際協力人材部国際協力人材センターのホームページとして生まれました。以来20年間、「オールジャパンの国際協力活動促進」という理念のもと、「国際協力に携わりたい人」と「そういう人材を活用したい団体」との出会いの場として存在してきました。サイトが誕生した2003年度末時点で70団体だったPARTNER登録団体は、2024年3月末には2,000団体以上になっています。現在、JICA以外にも、民間企業、国際協力NGO/NPO、政府機関・地方自治体、開発コンサルティング企業、国際機関、大学など、多様な団体の求人や研修・セミナー情報を幅広く発信しています。PARTNER設立当初はNGO/NPOや開発コンサルティング企業が主な登録団体でしたが、JICA民間連携事業の応募企業にも利用勧奨を開始した2012年度以降、民間企業の登録数も順調に増加し、登録団体が更に多様になりました。
こうしてみると、PARTNERは国際協力業界の人材プラットフォームとして、実に20年前から、JICAのアクションの一つである「共創」を推進する場として機能してきたといえます。

PARTNERのリブランディング

そんなPARTNERが今年3月にリニューアルしました。新しいコンセプトは「Your Step, Better Tomorrow:あなたの歩幅で、明日を変えよう」。PARTNER設立当初の目的はそのまま、表現として国際協力に関心を持つ「個人」の視点に立ったメッセージをより一層強く打ち出しています。
このリブランディングは、国際協力業界の環境変化の大きさを物語っています。民間企業によるSDGs貢献の拡大、デジタルをはじめとした新たな技術の国際的普及、地方創生や多文化共生等の日本国内における社会課題の顕在化といった急速な環境の変化に対応するため、国際協力の世界でも多様な人材が求められています。これまで積極的に国際協力に関わってきた方々に加え、若い世代や、多様なスキル・経験を持った人材に国際協力に関心を持ってもらい、一歩を踏み出してもらうことは、JICAのみならず、日本の国際協力業界全体にとって重要な課題となっています。逆の見方をすれば、社会課題や国際協力に関心がある人にとっては、これまで以上に活躍の場が広がり機会が拡大しているということです。PARTNERも、海外で行う国際協力だけでなく、これまで以上に日本国内の被災地支援や多文化共生に関する情報提供も取り扱い、更に機会を提供しています。
新PARTNERでは、「イベントや副業から始めて見る」「本格的に仕事やキャリアを考える」「学生から始められる国際協力のかたち」という3つの入り口を設け、ユーザーそれぞれの国際協力のかたちに寄り添い、目的に合った情報を提供しています。実際に「わかりやすくなった」という感想もいただき、リニューアル後のPARTNERのアクセス数は以前よりも伸びています。

新PARTNER サイトイメージ

共創のための人材プラットフォームとして

2023年に改定された開発協力大綱でも、「共創を実現するための連帯」として複雑な開発課題に対応するため、民間企業、市民社会、自治体、大学・研究機関など、幅広い関係者がそれぞれの強みを持ちより「対話と協働によって解決策を共に創り出していく共創」が求められるとされています。また、多様な専門性を持つ国際人材の育成促進や国内外で活躍できる機会の拡大・体制整備も掲げられており、昔から「共創」を地でいっていたPARTNERは生まれ変わって、改定大綱の実現のため、その役割がますます重要になっているといえます。
幅広い方々にこの業界に関心を持っていただき、それぞれの歩幅で関わっていただく。そして、そういった人材を求めるアクターとの出会いを促進しつつ、個々人のキャリア形成をお手伝いする・・・PARTNERというプラットフォームを通じて、人材という切り口での「共創」がより強力に推進されるよう、今後も尽力したいと思います。

グローバルフェスタにて簡易キャリア相談中(左から3人目が筆者)

関連リンク:

国際キャリア総合情報サイト PARTNER
※JICAでは外部の方を対象とした人材育成事業を実施しています。ご関心ある方はぜひ以下をご覧ください。

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