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「アフリカ大陸版JICA」との連携 (JICAとAUDA-NEPAD)

2024.11.15

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アフリカ部 計画・TICAD推進課 企画役 峰 直樹

 アフリカには、アフリカ連合やその下部組織として「アフリカ連合開発庁」(AUDA-NEPAD)という組織があることをご存じでしょうか?50年先の長期的な目標であるAgenda 2063実現のためのAUDA-NEPADとJICAの連携をご紹介します。

1.アフリカ連合(AU)とは

 アフリカ連合(AU:African Union) は、昨年G20常任メンバー入りを果たした、アフリカの50を超える国々をまとめる地域国際機構であり、国際連合やヨーロッパ連合のアフリカ版といった機関になります。2002年に設立され、本部はエチオピアの首都アディスアベバにあります。(詳しくは、JICAの同僚が書いたこちらの記事をご参照下さい:「5月25日は「アフリカの日」・・・ご存じでしたか?」)

 AUは、主に以下の2つの目的のために活動を行っています。
 ①紛争の予防・解決
  AUは仲裁のための交渉や平和を維持するために活動しています。
 ②政治・経済・社会の統合
  日本の約80倍の面積を持つアフリカ大陸に、日本の約11倍の約14億人が住み、2,000を超える言語があると
  言われています。広大なアフリカ大陸において多様な人々が  円滑に経済・社会活動を行うためには、
  インフラや貿易など、ハード・ソフト両面での連結性を高めていく必要があります。

2.Agenda2063実現のためのAUDA-NEPADとJICAの連携

南アフリカにあるAUDA-NEPAD本部

 AUは、2013年に、50年先の長期的な目標である「Agenda 2063(副題:The Africa We Want(我々が求めるアフリカ))」を発表しました。Agenda 2063は、アフリカとしての統合や開発を定めた長期計画であり、同時に最初の10年間に達成すべき中期目標が定められ、現在は、第2次10か年実施計画(STYIP:Second Ten Year Implementation Plan)が進行中です。このAgenda2063を実現するためには、AUをはじめ、様々なアフリカの機関の主体的な関与が必要になります。

アフリカ大陸にて進めているカイゼン活動(2023年の年次会合時)

 このAgenda2063やSTYIPの実施促進やモニタリングを担っている組織が「アフリカ連合開発庁-アフリカ開発のための新パートナーシップ」( AUDA-NEPAD :African Union Development Agency)(以下、「AUDA-NEPAD」) であり、アフリカ大陸版のJICAともいうべき、AU傘下の開発協力機関になります。JICAとAUDA-NEPADは、2014年に業務連携協定(MoC)を締結し、現在では5分野(①地域統合、②アフリカ・カイゼン・イニシアティブ、③食と栄養のアフリカ・イニシアティブ(IFNA)、④Home Grown Solutions(アフリカ発の現地企業の支援)及び⑤Policy Bridge Tank(研究))において連携することを定め、また年次協議を行い、今年で連携10周年になります。また、JICAは、連携分野における活動を推進するため、現在、日本人専門家5名をAUDA-NEPAD本部のある南アフリカに派遣しています。

 例えば、「Home Grown Solutions(HGS)」という取組みは、コロナ禍という危機をチャンスと捉え、アフリカ発の製品やサービスを用いて保健医療分野の課題解決を目指すべく、アフリカ企業を支援する取り組みです。これまでの3年間において35か国の28社を支援し、1,300万人の患者に対する治療に貢献し、4,600人の雇用を生み出しました。今では、アフリカ開発銀行やニュージーランド等の他国・機関からも注目され、さらに事業が拡大することが期待されています。

HGSによる支援を受けて医療活動を推進するアフリカ企業

 これからもJICAは、アフリカ各国において協力しているインフラ、農業、民間セクターなどの様々な案件や推進している協力アプローチを、AUDA-NEPADと共にアフリカ大陸全体に拡大することでAgenda 2063の実現に貢献し、同時に日本とアフリカのパートナーシップの深化、さらに日本の民間セクターによるアフリカへの投資・事業拡大にも貢献していきます。

関連リンク

AU大陸アジェンダとJICAの協力概要 (JICAの取組みを簡潔に説明したパンフレット)

・「TICAD9プレイベント:JICA・アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)オープンセミナー「日本・アフリカの協力・共創のこれまでとこれから」(イベント開催報告)
 9月29日から約1週間、JICAとの年次協議のために訪日したナルドス・ベケレ=トーマスNEPAD長官他を招き、オープンセミナーを開催しました。当日は、対面・オンラインで300名弱の参加を得て、AUDA-NEPAD長官・登壇者より、将来性のあるアフリカの魅力を存分に語って頂きました!

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