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地雷探知機ALISと不発弾等輸送用トラックをウクライナに供与:日本の技術で地雷・不発弾対策を推進

#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2023.04.26

ウクライナでは、ロシアの攻撃により地雷や不発弾などによる汚染が国土の広範囲に広がりました(注1)。これらの地雷や不発弾はウクライナの国民の安心・安全を脅かすだけでなく、将来の復旧や復興への大きな障害となっています。地雷・不発弾対策は、ウクライナの人々が現在直面している生活への脅威に対応するだけでなく、生活基盤や都市機能、農地の再生などあらゆる産業及び公共サービスの復旧・復興を推進する前提でもあります。

JICAはウクライナの非常事態庁(SESU)が行う人道的地雷・不発弾対策を支援しています。SESUはウクライナ内務省傘下の政府機関で、ロシアの攻撃が続く中、人々の安全を守るために地雷や爆発物の探知・特定・除去に当たっていますが、人員の拡充や、活動に必要な機材の増強が求められています。JICAは1月に日本が開発した地雷探知機ALISに係る導入研修をCMAC(カンボジア地雷対策センター)と協力してカンボジアで実施しました(注2)。今回、不発弾等爆発物の輸送のためのクレーン付きトラックとALISをSESUに供与しました。

ALISを持つ松田大使(右)とセルヒー長官

クレーン付きトラックの操作訓練

4月25日にキーウで供与式が開催され、松田邦紀駐ウクライナ日本国大使、セルヒー・クルクSESU長官他の関係者が列席しました。供与式で松田大使は「日本は人道的地雷対策分野の協力を最重要視している。SESUの地雷除去能力が向上し、ウクライナ国民の安全に資することを期待する」とスピーチし、セルヒー長官は、「日本からの機材は現場で困難な任務に当たっているSESU要員を直接的に助けるものだ、日本との強固なパートナーシップを誇りに思う」と述べました。また経済省のイホル・フォメンコ次官からは「トラックがウクライナの工場で組み立てられたことにより、労働者の雇用を守り、経済にも貢献した」との謝辞がありました。

処理済の爆発物には約500kgに達するものもあり、慎重な取り扱いが必要なため、クレーンのような重機を搭載したトラックは有効な運搬手段です。地雷探知機ALISには東北大学の佐藤源之名誉教授が開発した最新技術が搭載され、ウクライナの地雷処理の迅速化・効率化への貢献が期待されています。今回供与された機材はドネツク、ルハンスク、ヘルソン、キーウなど、ロシア軍が残した地雷や不発弾の除去が進められている地域で活用される予定です。なお、この機材は、技術協力「人道的地雷・不発弾対策能力強化プロジェクト」の一環として供与されました。

JICAは今後も日本政府の方針を踏まえつつ、ウクライナの人々の安全・安心に直結し、復旧・復興に欠かせない人道的地雷対策分野における協力に取り組んでいきます。

(注1)SESUによれば、2023年1月の時点でウクライナの国土(60万3,700平方キロ、日本の約1.6倍)のおよそ3分の1が地雷などの爆発物により汚染されている可能性があります。

(注2)JICAはカンボジア地雷対策センター(CMAC)との協力の下、2023年1月にカンボジアでSESU技術者向けのALIS導入研修を実施しました。

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