コンゴ民初、国際基準の柔道スポーツセンターが完成 スポーツを通じた国際協力・平和推進に貢献

2023.09.14

9月9日、コンゴ民主共和国(以下「コンゴ民」)の首都キンシャサにおいて、無償資金協力「柔道スポーツ施設建設計画」によって建設された柔道スポーツセンターの完工式が開催されました。コンゴ民側からはカザディ内務大臣、カブロスポーツ・余暇大臣、ヴァン・アング国家警察副長官らが出席、日本側からは南博之駐コンゴ民特命全権大使、村上博信JICAコンゴ民事務所長らが出席しました。

本事業は2017年に調査を開始し、2018年5月に無償資金協力の贈与契約を締結、2021年1月に建設が開始されました。新型コロナウイルス感染症拡大により工事中断を余儀なくされた時期もありましたが、様々な競技に使用可能な2階建て屋内スポーツセンター(延床面積約2,200m2、観客収容数1,120人)が2022年12月末に竣工しました。

本事業を通じ、コンゴ民におけるスポーツ振興や青少年育成が図られ、柔道を軸に、空手、合気道および柔術などを通じて日本文化が広く同国内に浸透・普及し、両国友好の象徴としての役割を果たすことが期待されます。また、本センターはコンゴ民国家警察(Police National Congolaise:以下「PNC」)の敷地内に建設され、警察官の訓練計画に柔道が組み込まれます。さらに市民柔道クラブに対して指導を行うなど、コンゴ民の柔道競技レベルの向上・柔道競技の普及が期待されます。

コンゴ民は政府による統治が全土に及ばず、現在も国内に紛争地域を抱えています。特に東部地域では20年以上「国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)」による治安維持活動が展開されています。MONUSCOの活動が縮小・撤収された後の治安維持が喫緊の課題となっており、JICAは国際移住機関(IOM)と連携し、2022年末に東部地域タンガニーカ州の警察能力強化への協力を開始しました。コンゴ民においてスポーツを通じた青少年育成や警察官の能力強化に本事業が果たす役割は大きく、JICAは引き続き、コンゴ民の平和と安定の達成に積極的に貢献します。

(参考1)コンゴ民において、柔道は空手と並んで人気のある武道で、競技人口は全国で推定約7,000人(2015年時点・コンゴ民全国連盟加入団体ベース)に上るとされています。しかし、これまでコンゴ民国内に観客席付きの屋内スポーツ施設はなく、柔道をはじめ各種武道や球技にも使用できる屋内スポーツ施設の建設が渇望されていました。
本センターは、 観客席812席(2階部分)、立ち見エリア約300人(2階部分)および身体障害者観覧スペース6人(1階部分)の合計約1,120人の観客が収容できる、延床面積約2,200m2の屋内スポーツ施設です。約660 m2のアリーナ(1階部分)は、国際基準を満たす2面の柔道試合場を有するほか、空手、合気道、柔術等の各種武道とバスケットボール、バレーボール等屋内球技など様々な競技に対応。また、フィットネスジム、更衣室、医務室、柔道着等洗濯室、および車いす専用スペース・小規模な記者会見やレセプション等に対応できるキッチン付き多目的室などを備え、簡易ステージを設営したコンサート等文化的な催しにも活用可能です。

(参考2)JICAは長年PNCの警察官育成に取り組んでおり、2021年から実施中の技術協力「市民と平和のための警察研修実施能力強化プロジェクトフェーズ2」は「警察と住民の連携の強化」を活動の柱の一つに据えています。このプロジェクトでは市民と警察が共同して地域の治安・安全の向上に取り組めるよう支援しています。本センターで市民と警察が一緒になって柔道の練習を行うなど、広く市民に開放された施設として活用され、両者の関係構築の場となることも期待されています。

★サンプル★署名式の様子

完工式の様子

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