第9回アフリカ開発会議(TICAD9)開催報告 -JICA主催のテーマ別イベントおよびパネリスト登壇-
2025.09.24
8月20から22日まで横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)にあわせ、JICAは、8月19日から4日間にわたり、44件のテーマ別イベントを開催しました。対面での参加者は約4,400人、オンラインでは約5,400人にのぼりました。
田中明彦理事長および宮崎桂副理事長がパネリストとして登壇したイベントをはじめ、JICAが主催した全44件のテーマ別イベントの概要をご紹介します。
8月19日のJICA主催テーマ別イベント「異彩がつなぐ、共創のこれから ―アフリカと日本から考える障害と開発、DE&I―」では、日本とアフリカの文化交流を目指す「C-TICAD(Culture-TICAD)」の一環として「障害と開発」および「ダイバーシティ」をテーマに開催されました。JICA宮崎副理事長がパネリストとして登壇し、障害のある作家のアートを知的財産として展開する株式会社ヘラルボニーとJICAの共創を背景に、同社の松田崇弥Co-CEOらと、アートが包摂的な社会の構築や多様性等の推進に果たす役割等について議論しました。
8月20日のJICAの主催テーマ別イベント「アフリカにおける人間の安全保障と経済開発の再考:多元的課題への対応と2030年以降の未来」では、岩屋毅外務大臣による開会挨拶が行われました。続いて、人間の安全保障に関する国連事務総長特別顧問、高須幸雄氏 が基調講演を行い、アフリカが抱える気候変動、食糧危機、紛争、開発援助の減少、多国間主義の弱体化課題をについて説明しました。その上で、国境を超えて人々の生命と尊厳を守るという「人間の安全保障」の理念の重要性を改めて提示しました。その後、JICA田中理事長、ナルマンゴ・ザンビア副大統領、センゲ・シエラレオネ首席大臣、ウォックナー政府間開発機構 (IGAD)事務局長、エザコンワ UNDP総裁補兼アフリカ局長らがパネリストとして登壇し、人間の安全保障全般に加え、感染症や気候変動対策など複合的危機への対応について、議論が交わされました。
8月21日にアフリカ開発銀行(AfDB)と財務省が主催したTICAD9ハイレベル政策対話「民間主導の成長に向けた国際開発金融機関(MDBs)と日本の連携」では、田中理事 長がAfDBとEPSA(Enhanced Private Sector Assistance for Africa ※1)6における協力に関する覚書に署名し、AfDBとの強固な連携でアフリカ支援に取り組んでいく方針を確認しました。
同政策対話の中では、加藤勝信財務大臣は、民間資金の呼び水としてファンドへの触媒的出資を行うJICAの新たなスキーム「民間資金動員業務」の創設を発表しました。これを受けて、田中理事長は、新スキームの第一号案件としてエネルギー移行に資する新興企業へ投資を行う「アフリカ気候テックスタートアップ投資促進事業」を発表しました。
※1:アフリカの民間セクター開発の支援を目的に、複数のドナーが複数のスキームを通じてファイナンスを行う枠組み
左からカリウキAfDB副総裁、加藤財務大臣、田中理事長 (写真:財務省)
続いて、同日、田中理事長は「官民ビジネス対話」にパネリスト登壇し、マハマ・ガーナ大統領や他の登壇者とともに、産業の多角化をテーマに議論しました。田中理事長からは、Project NINJAをはじめとするスタートアップ協力など、JICAの官民連携の取り組み事例を紹介しました。
7ヵ国の開発協力省庁・機関の責任者らが登壇
(新興国によるアフリカ協力)
地雷対策イベントのオープニングスピーチ
【経済】
貿易円滑化、都市開発、民間セクターの発展、今後のエネルギーの在り方、アフリカにおける農業開発等、多様な分野のイベントを開催しました。
AfCFTAイベントでの集合写真
食料安全保障イベントのディスカッション
【その他】
若い世代との連携をテーマにしたイベントのほか、AI、宇宙等の最先端技術に関するもの、アフリカ内外のパートナーとの連携など、これまでの枠にとらわれない多様なテーマのイベントも開催しました。
模擬AUでは多くの若者が議論に参加
若者交流の場に様々な関係者が参加
宇宙技術イベントの議論の様子
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