アフリカの工業化と貿易を加速する機会「アフリカ カイゼン年次会合」を開催

掲載日:2021.08.26

イベント |

概要

会議名:2021年アフリカ カイゼン年次会合
開催日:2021年8月24日(火)~26日(木)
主催:JICA、アフリカ開発庁-アフリカ開発のための新パートナーシップ(AUDA-NEPAD)
場所:タンザニア (オンライン参加を併用したハイブリッド方式)

主な参加者

会合には大臣・副大臣など政策立案者、カイゼン普及コンサルタントや企業家、アフリカ各国でカイゼンに取り組んでいる機関のスタッフ、およびJICAのカイゼンプロジェクトの関係者が参加し、会場には3日間で延べ338名、オンラインからの参加者を加えると延べ770名の参加がありました。

背景・目的

コロナが世界中で猛威を振るう中、アフリカ各国でも経済において痛手を受けていますが、カイゼンへの取り組みが復興への取り組みに大きな希望の光となることが期待されています。アフリカの工業化と貿易を加速する機会として、アフリカの産業開発に貢献するカイゼン活動とは何か、これまでのベストプラクティスを持ち寄り、アフリカの現状やニーズにあったアフリカ標準のカイゼン活動が求められています。アフリカにおけるデジタル技術、新興企業、中小企業開発、自国の経済活動によるカイゼンの合理化といったテーマに対し、各国の知見・経験を共有し今後の活動方針を議論する会議となりました。これまでに2016年(エチオピア)、2017年(ケニア)の知見共有セミナー、2018年南アフリカ共和国開催から年次会合化し、2019年チュニジア、2020年オンライン開催を行ってきました。今回はタンザニアでのオンサイトとオンラインを活用したハイブリッド方式として開催されました。

内容

1. 基調講演

AUDA-NEPADのマヤキ長官が”Emerging Needs of Industrialization in Africa”をテーマに基調講演され、今回年次会合の中心テーマが、「アフリカの工業化と貿易を加速する機会:アフリカにおけるデジタル技術、新興企業、中小企業開発、自国の経済活動によるカイゼンの合理化」であることが重要で、コロナによる悪影響に対抗するように、これまでのカイゼンへの取り組みがアフリカにおける製造業の付加価値創出やバリューチェーンにとって大きな影響を与えていること、今後デジタルトランスフォーメーションが競争力維持を目指す全企業にとって必要で、アフリカの工業化と貿易の推進力において更にゲームチェンジャーの役割を果たすこと、が主なメッセージとして伝えられました。

2. アフリカ・カイゼン・イニシアティブ(AKI)活動報告

前回の年次会合以来、5つのワーキンググループが形成され、それぞれ認証システム構築、コンサルタント育成カリキュラム、KPIの設定、年次会合の組織化、センター機能の強化と言ったテーマに取り組んでいます。また、各国のカイゼン実施機関もそれぞれユニークな施策に取り組み、カイゼンの普及に尽力しています。エチオピアカイゼン機構) (EKI の初代所長であるゲタフン氏からこれらについて報告がありました。

3. “Cross-Continental panel discussion”

アフリカの企業競争力強化の具体的な解決策を見つけるためのアフリカ域内の金融機関、標準化機関および民間企業のパネリストを交えて行なわれました。JICAからは国際協力専門員の本間氏がパネリストとして参加し、アフリカの企業がグローバルマーケットでの競争力を強化するための課題を挙げた上で、JICAの複合的な支援取り組みを紹介しつつ、こうした支援を複数の機関が協力して行うことがゴールに結びつくことを強調しました。

4. “Acceleration of Industrial Development through KAIZEN in Tanzania”

オンラインセッションが終了した後で、タンザニア現地のオンサイトセッションが開催され、Live streamで配信されました。

5. Virtual工場見学

タンザニア国内の2企業(Kioo社およびRaha Beverage Co. Ltd.)について”Virtual Factory Visit”という形で事前撮影したビデオを放映し、その後質疑応答を行う形で実施しました。これもLive streamで配信されました。

6. カイゼンに関するグッドプラクティス共有

タンザニアにおけるカイゼンと産業クラスターを組み合わせた事例がタンザニアモデルとして紹介されました。カイゼンとクラスター開発アプローチを結びつけることは、カイゼンの普及とクラスター開発の両面で、企業の生産性向上に有益で、好事例や期待される成果を潜在的な受益者および政策立案者などに提示する重要性などが議論されました。

7. ビジネスオーナーによるパネルディスカッション

カイゼンとビジネスの関係について議論され、カイゼンに関する取り組みは、マーケティング、財務管理、イノベーションなど企業の能力向上をより広い文脈で網羅するようになってきていることが明らかとなりました。パネリストからは、特にCOVID-19パンデミックの時代のイノベーションには、「カイゼンメソッド」と「経営管理メソッド」の2つの側面からなる能力強化が必要であるということが強調されました。

8. アフリカカイゼンアワード2021

受賞セレモニーが開催されました。各国から上限2社の優秀企業が、2021年8月17-19日に9か国16社がオンラインプレゼンテーションを実施し、その結果受賞企業が決定されました。受賞企業は、

  • 大企業部門:チュニジア(Excellent Award)、エチオピア(Outstanding Award)
  • 中小企業部門:モーリシャス(Excellent Award)、エチオピア(Excellent Award)、チュニジア(Outstanding Award)

9. アフリカ・カイゼン・イニシアティブ(AKI)のアクションプランについての議論

JICA緒方貞子平和開発研究所が実施したイニシアティブに関する調査研究概要について神専任参事が発表し、大陸レベルでの適応とアフリカでのカイゼン標準モデル構築、産官学連携、AKACとAKAの組織化の重要性を訴えました。

10. 最後

最後に、AUDA-NEPADのアミネ部長、JICA経済開発部の村上次長、タンザニアのオマール・サイド貿易・産業大臣(ザンジバル)がそれぞれ閉会挨拶を行い、無事に閉会となりました。

資料

1. 基調講演

2. アフリカ・カイゼン・イニシアティブ(AKI)活動報告

3. “Cross-Continental panel discussion”

4. カイゼンに関するグッドプラクティス共有

5. ビジネスオーナーによるパネルディスカッション

6. アフリカカイゼンアワード2021

7. AKIのアクションプランについての議論

8. 成果文書

【画像】

タンザニア首相府副大臣開会スピーチ(オンサイト写真)

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同オンライン映像

【画像】

Mayaki AUDA-NEPAD長官