第19回対人地雷禁止条約締約国会合・サイドイベントにて地雷対策分野におけるJICAの取組を紹介

掲載日:2021.11.15

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2021年11月15日、第19回対人地雷禁止条約締約国会合の機会を捉えて、外務省軍縮会議日本政府代表部との共催で、サイドイベント"Mine Action is Peacebuilding:Rise of Cambodian Mine Action Centre as major partner of South-South cooperation and JICA's role"を開催しました。本イベントには、外務省軍縮会議日本政府代表部から小笠原大使、JICAからは小向国際協力専門員及びカンボジア地雷対策センター(CMAC)に派遣中の林専門家がパネリストとして登壇し、カンボジアとコロンビアの実施機関とともに、対人地雷禁止条約の履行及び「地雷のない世界」の達成に向けて、南南協力の重要性を発信しました。

小向国際協力専門員からは、地雷対策は、単に除去のみならず、当事国の復興・開発計画及び貧困削減に関する政策とリンクした上で効率的に進めることが重要、地雷対策は長期的な問題であり、効率的に進めていくためには現場における除去能力のみならず、それらを支える強固なバックオフィスが必要不可欠であることを説明するとともに、地雷汚染国同士がお互いに知見・経験を共有することによって、当事国のオーナーシップとモチベーションの向上に大きく寄与することを述べ、JICAが促進する南南協力の有効性を発信しました。

CMACのプムロ副長官からは、南南協力は、地雷対策のみならず当事国の平和構築、相手国の組織・要員の行動変容、ネットワークの構築などにも寄与すること、これまで20年以上日本政府・JICAから支援を受けてきたことのお返しとして学んだ技術や経験を今度は他国に共有したいという気持ちがCMACのモチベーションにもなっているとの説明がありました。また、コロンビア大統領府平和高等弁務官事務所マルタ調整官からは、南南協力を通じてCMACから共有された知見は既にコロンビアにおける地雷対策で活用されていること、地雷汚染国同士が経験や知見を共有することは組織及び個人レベルの能力向上のみならず、国としての地雷対策関連政策の策定及びオーナーシップの向上にも貢献するとの発言がありました。

これらを受けて、林専門家からは、これまでの南南協力の教訓として、一方向ではなく当事国双方での知見・経験の共有が必要、研修受講者が南南協力で学んだことを自国で活かすには個人レベルだけでなく組織レベルでのコミットメントが重要、研修プログラム終了後も継続的かつ体系的にフォローアップができるようなコンサルテーションの仕組みを構築することが必要であるとの説明があり、南南協力の更なる充実化に向けた助言がありました。

最後に、小笠原大使から、地雷対策は多角的な取組であるがゆえに、除去のみならず、ITシステム、資金動員、人材育成、平和構築のプロセスなど幅広いイシューについて地雷汚染国同士が学び合うことは相互にとって有用であると強調した上で、CMACを通じた南南協力が体系化されつつあることを踏まえ、他の国への更なる展開に関する期待が示されました。

CMACはJICAの協力の下、これまでに蓄積した知見・経験をコロンビア、ラオス、アンゴラ、イラクなど、他国の地雷除去機関に提供しています。
JICAは今後も南南協力、技術協力等を通じて「地雷のない世界」の実現に積極的に貢献していきます。

パネリスト一覧

  • 小笠原一郎 外務省軍縮会議日本政府代表部 特命全権大使
  • 小向 絵理 JICA 国際協力専門員(平和構築)
  • 林 明仁 JICA 専門家(CMAC)
  • Mr. Oum Phumro CMAC 副長官
  • Ms. Martha Isabel Hurtado コロンビア大統領府平和高等弁務官事務所 調整官

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サイドイベントの様子