「サイバーセキュリティ分野の能力構築を議論する国連主催の円卓会議にJICAが初参加し日本の知見を発信」

掲載日:2024.05.22

イベント |

概要

会議名:国連オープン・エンド作業部会(Open-Ended Working Group)「ICTセキュリティ能力構築グローバル・ラウンドテーブル」
開催日:2024年5月10日
主催: 国連
場所:アメリカ合衆国 ニューヨーク 国連本部

(開会セッションの様子(国連事務総長(録画メッセージ)、国連総会議長(代理)、ITU 事務総局長、UNDP 総裁他が登壇))

(開会セッションの様子(国連事務総長(録画メッセージ)、国連総会議長(代理)、ITU[1]事務総局長、UNDP[2]総裁他が登壇))

[1] 国際電気通信連合(International Telecommunication Union)

[2] 国連開発計画(United Nations Development Programme)

5月10日、米国ニューヨークで国連オープン・エンド作業部会(OEWG)[3]による「ICTセキュリティ能力構築グローバル・ラウンドテーブル」が、70以上の国連加盟国からサイバーセキュリティ担当大臣・大使等も出席する形で開催。日本政府を代表して、JICAから戸島仁嗣CDO(最高デジタル責任者)が参加しました。
戸島CDOは、開発途上国の人材育成・能力構築の観点から、JICAが取り組むサイバーセキュリティ・クラスター事業戦略[4]や実施している関連プロジェクトについて発信するとともに、本機会を利用して、幅広いパートナーとの意見交換や、将来的な連携・共創を目的としたネットワーキングを行いました。


[3] サイバーセキュリティに関する国連オープン・エンド作業部会(2021年-2025年)第1回会合の開催|外務省 (mofa.go.jp)

[4] デジタル化の促進 | 事業について - JICA

(登壇した分科会セッションの様子(注:奥にモデレーター、パネリスト))

(登壇した分科会セッションの様子(注:奥にモデレーター、パネリスト))

内容

多くの開発途上国では、デジタル技術の社会・経済発展のための活用が進んでいます。日本政府は、デジタル社会・経済の恩恵を拡大していく上で、プライバシーやセキュリティ、知的財産権についての信頼を確保しつつ、社会課題の解決に有効なデータが国境を意識することなく流通すること、また、その仕組み作りが重要との認識の下、DFFT(Data Free Flow with Trust)を提唱しています。一方で、世界各国では、重要インフラへの被害、情報漏洩等、人々が安全な生活を営む上でサイバー空間での様々な脅威が顕在化し、サイバーセキュリティの重要性がますます認識されています。
 国連OEWGは、国連加盟国がサイバー空間における脅威認識、規範、国際法の適用、信頼醸成、能力構築等の幅広い議論を行う場であり、今回のグローバル・ラウンドテーブルでは、知見の共有及びパートナーシップの構築を目的に、各国からの参加者や関係団体の実務者による情報・意見交換が行われました。
戸島CDOは、このラウンドテーブルにおいて、「技術」、「人材」、「パートナーシップ」の重要性を議論する分科会セッションにパネリストとして登壇。「JICA グローバル・アジェンダ」(課題別戦略)[5]の下、人々の生活と尊厳を守ることのできる社会の実現(“Cybersecurity for All”)を目的としたクラスター事業戦略[6]に基づき、途上国の人材育成・能力構築に注力していることを紹介しました。
また、SDGsの達成に向けては、全てのセクターで関係者がサイバーリスクに関する理解を深めたり、現実的なサイバーセキュリティ対策を講じたりすることが喫緊の課題と指摘。各国の実情に即した協力や、開発協力機関・民間企業等マルチステークホルダー(多様な関係者)間の調整による効率的かつ効果的な実施・連携が重要であることにも言及。特に、途上国の自立性や持続可能性を高めるためには南南・三角協力[7]が有効であると強調しました。
分科会に加えて、各国や国際機関等28の組織が参加したマッチング(活動紹介)セッションでは、JICAからガバナンス・平和構築部STI・DX室の高樋俊介室長が登壇。タイの「日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター」で実施している人材育成プロジェクト[8]や大洋州で構想中の新規事業計画について紹介しつつ、各国政府、国際機関、NGO、民間企業等マルチステークホルダーとの将来的な連携・共創を視野に、幅広い開発パートナーとのネットワーク構築を呼び掛けました。
JICAは、「サイバー空間において深刻化しつつある脅威に対応し、人々の生活と尊厳を守ることのできる社会の実現(Cybersecurity for All)」と関連事業における開発インパクトの最大化のため、これからも多様なパートナーと連携し、その取り組みを推進していきます。


[5] JICAグローバル・アジェンダ

[6] クラスター事業戦略「サイバーセキュリティ」

[7] 南南・三角協力 | 事業について - JICA

[8] 日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)における第1回研修オープニングセレモニー:ASEAN各国のサイバーセキュリティ専門人材の育成に貢献 | ニュース・メディア - JICA