JICAチェア実施報告(イラク)
掲載日:2025.02.26
イベント |
会議名:JICAチェア実施報告(イラク)
開催日:2025年2月18日(火)、19日(水)、20日(木)、23日(日)、24日(月)
主催:JICA
場所:イラク共和国
バグダッド
18日:ムスタンシリア大学
19日:アルキアムスクール
20日:アシュール大学
エルビル
23日:クルド教育省
24日:IVY(日本のNGO)運営支援小学校
杉田 洋氏(國學院大學 人間開発学部 教授)
イラクの教育は、1980年代まで中東地域で最高水準を誇っていましたが、90年代から続く長年の紛争とそれに伴う混乱により、未だ教育環境は回復できておらず、学校数の不足や優秀な人材の国外流出などの課題に直面しています。一方で、イラクの多くの人々は80年代までの日本企業の大規模な当地への進出といった経緯から親日感情をいまだに有しており、日本研究や学術交流への関心が維持されています。特に、近年の近隣国であるエジプトでの日本式教育、特に特別活動(特活)の急速な普及も追い風となり、イラクの一部の学校ではその導入が始まっています。
こうした背景を踏まえ、JICAはイラク国内の主要校で「JICAチェアプログラム」を実施し、日本式教育の理念や特活の意義について発信します。本プログラムを通じて、日本式教育及び特活への理解を深め、学術・政策両面での理解促進を図ります。
日本で「特活の父」とも言われ、エジプトにおける「特活」教育普及の第一人者である杉田洋 國學院大學 人間開発学部教授を迎え、「日本式全人的教育におけるTokkatsu」と題した講演を、2月18日にムスタンシリア大学、19日に私立アルキヤム学校、20日にアシュール大学(以上バグダッド)、23日にクルディスタン地域政府(KRG)教育省、24日にエルビル市内のシェイラン(Sheilan Elementary English school)小学校(以上クルド自治区)の関係者を対象に行って頂きました。
ムスタンシリア大学及びアシュール大学においては、学長、学部長、教授陣、日本式教育や日本語学習に関心のある学生など多くの聴講者が出席し、講演の後も杉田教授を交えて活発な意見交換が交わされました。
アルキアム学校は特活、道徳などをはじめとした日本式教育の導入を既に進めており、19日の午前の部では杉田教授は同校の授業を視察し、午後の部ではそれらを踏まえた上で、同校の小中学校教員約60名に対し、日本式教育、特活の要諦について講義を行いました。
KRG教育省は日本式教育に高い関心を有しており、杉田教授は同省関係者に対して講演・意見交換を行いました。
日本のNGOであるIVYは、イラクのクルディスタン地域エルビル市内にある8つの小学校に対して教育支援を実施しており、シェイラン小学校はその対象校の一つです。IVYは、同校に日本式教育を普及する支援を行っています。杉田教授は、同校での日本式教育の模擬授業を視察した後、教職員に対してフィードバック・助言を提供しました。
イラクにおける今回のJICAチェアプログラムが、幼少期から子どもたちが自ら課題を見つけ、対等に皆が話し合いによってそれらを解決し、実践してコミュニティ全体で成長を続けていけるような日本式教育、特に特活の普及に向けた一石となることを希望すると、杉田教授は締めくくりました。
ムスタンシリア大学での講義①
ムスタンシリア大学での講義②
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