jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【COP30サイドイベント】Japan's Blended Finance Journey towards Climate Transition

掲載日:2025.12.10

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
髙橋 良輔 企画部 主任調査役

概要

開催日:2025年11月14日
主催:JICA
会場名(パビリオン名):国際開発金融クラブ(IDFC)パビリオン

登壇者

氏名 所属 肩書
稲田 恭輔 JICA サステナビリティ推進担当特命審議役
髙橋 良輔 JICA 企画部主任調査役
ショーン・キドニー Climate Bonds Initiative Chief Executive Officer (CEO)
カースティ・マクニコル 豪州外務・貿易省 気候ファイナンスセクション課長
マット・エルドリッジ ゲイツ財団 気候ファイナンスアドバイザー
クラリサ・デ・フランコ Allied Climate Partners シニアアドバイザー
ムハンマド・サイード 南部アフリカ開発銀行(DBSA) 気候・環境ファイナンスユニット スペシャリスト

背景・目的

・COP29では、発展途上国向けの気候資金として少なくとも3,000億ドルを目指すことが合意され、すべての関係者に1.3兆ドルを達成するための行動が求められました。この文脈において、民間資金動員と官民連携が不可欠です。
・イベントは、JICAによるブレンデッド・ファイナンスに関する取組を共有し、ブレンデッド・ファイナンスに取り組む省庁・フィランソロピー・開発金融機関等の様々なアクターとの協力可能性を議論することを目的としています。

内容

・イベントの冒頭に、JICAの髙橋主任調査役より民間資金の呼び水としてファンドへの触媒的出資を行うJICAの新たなスキーム「民間資金動員業務」の概要を説明しました。
・マクニコル氏は、豪州政府のブレンデッド・ファイナンスの取組として、Australia Development Investment(ADI)を通じたファンド投資、民間インフラ開発グループ(PIDG)やアジア開発銀行に設置されたAustralian Climate Finance Partnership (ACFP)を通じた投資を挙げました。加えて、豪州輸出金融公社(EFA)もブレンデッド・ファイナンスに取り組んでいるとしました。更に、気候変動に加えてジェンダーも重要セクターとしているとし、それらに相乗効果があり得るとしました。
・エルドリック氏は、ゲイツ財団の取組みとしてはファンド投資よりも、上流段階での支援を行っているとしました。具体的には、R&D、TAグラント、直接出資、保証といったツールを活用し、他の機関との補完関係を作っているとした上で、自身が関与する農業セクターに関して言えば、適応と緩和に資するもので、小規模農家や卸売業者の生産性や強靭性強化、バイオ肥料等が機会になり得るとしました。
・フランコ氏は、Allied Climate Partnersは利益を追求するファンドに投資をするフィランソロピーとした上で、必ずしも組織が大規模という訳ではないため、ファンド等の仲介金融を用いることが効率的な手法であるとしました。開発途上地域では、投資を判断するためのデータが不足しており、投資の実績を作ることが重要であることから、リスクを補完していくことの重要性を指摘しました。更に、ローカルのファンドへの投資や開発におけるボトルネックを優先セクターとすることの重要性に言及しました。
・サイード氏は、緑の気候基金(GCF)の認証機関として、GCFの資金を活用した劣後融資を行っているとした上で、プロジェクト組成支援が重要であるとしました。更に、ウガンダなどの他の地域でも再現を起こしていきたい。公正な移行、ネイチャー、グリーン水素等の機会があるとしました。
・サイドイベントの総括として、こうした知見の共有を含めて触媒投資を行う機関同士で連携していくことが重要であることを確認しました。
・サイドイベントの講評としてキドニー氏は市場に資金は存在しており、こうした資金を気候変動といった必要な場所に動員していくことが重要であるとしました。今次のCOPで大きな注目を集めるレジリエンスについては、物理的な強靭性のみを示すものではなく、社会的な強靭さを含む概念とした上で、ジェンダーとの関連性も指摘しました。資金動員のために金融のエンジニアリング、そして、関係者が連携を深めていくことが重要と締めくくりました。

photo

登壇者集合写真

photo

登壇者一覧