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中央アジアに広がる一村一品運動の取り組み、初の「中央アジア+日本」対話・首脳会合の場で紹介

掲載日:2025.12.26

イベント |

2004年の対話枠組み発足以降初めてとなる「中央アジア+日本」対話(CA+JAD/カジャッド)・首脳会合が、2025年12月20日に東京で開催され、中央アジア5か国の産業高度化・多角化を後押しする「CA+JAD東京イニシアティブ」を含む「東京宣言」が採択されました。

その記念すべき首脳会合の会場では、ODA事業紹介の一環として、キルギスで開始され、中央アジアの他国にも展開している一村一品(OVOP:One Village One Product)プロジェクトの商品展示ブースを設置し、白い蜂蜜や羊毛フェルト商品等、キルギスを始めとする中央アジア各国の地域素材を使った様々なユニークな商品を展示しました。展示ブースは各国首脳の目にとまる位置に設置され、キルギスのジャパロフ大統領に対しては、広沢JICA東・中央アジア部長から商品やこれまでの協力の成果の説明を行いました。

ソ連崩壊後、相次ぐ政変などで経済が停滞し、多くの人が国外へ出稼ぎに行ったことで地域コミュニティも衰退し、貧困化が進んでいたキルギスで、山岳国ならではの地域素材を使った特産品をつくり、地域活性化とコミュニティの再構築を図ろうと、2007年に一村一品プロジェクトが開始されました。プロジェクトでは継続的な新商品の開発に並行して、サステナブルな運営ができる仕組みづくりにもゼロから取り組み、商品開発、品質管理、ショップの運営、流通網の確保までを一貫して担うキルギスの公益法人「OVOP+1」が設立され、生産者と消費者をつなぎ、クオリティの高い商品を継続的に市場に送り込める環境が生まれました。また、OVOP商品の生産は、場所を選ばず、出稼ぎ等に頼らなくとも村に居ながらにして生産が可能であるため、地方の雇用創出、地方住民の生計向上、女性の収入を得る機会創出等にも貢献してきました。現在では生産者の登録者数は3000人以上にものぼり、日本、アメリカ、フランス、ノルウェーなどにも輸出を拡大しています。
2022年にはキルギスの国家プロジェクトとして採択されるまでに成長し、中央アジアの国だけではなく、コーカサス地域からもその成功事例を学びたいと、多くの政府関係者や経営者などが視察に訪れています。キルギスにおける成果やノウハウは周辺国に共有・展開され、今後各国における地場産業の振興への貢献が期待されています。

今回は、中央アジア各国の首脳が集う場で、開発された商品を通じ事業について発信する機会となりました。各国のOVOPに対する関心は高く、首脳会合では今後もOVOPに関する協力を進めていくことで意見が一致しており、JICAの協力成果がさらに広がっていくことが期待されています。

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会場内に設置された一村一品(OVOP)プロジェクト紹介ブース

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キルギス商品について説明を受けるジャパロフキルギス共和国大統領

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キルギス商品(羊毛フェルト商品、蜂蜜、パウダー、ユキヒョウ石鹸、バウムなど)

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タジキスタン商品

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カザフスタン商品