“車いすの元弁護士”が地球の裏側へ!パラグアイで日本における「障害者差別解消」に向けた取り組みを紹介しました!
掲載日:2026.03.02
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2026年2月11日、南米の中央に位置するパラグアイにて、ある日本人による講演会が開催されました。タイトルは、「障害者への差別をなくすためにー日本の行政や障害者は何をしてきたか」。その日本人とは、「車いすの弁護士」として知られ、内閣府障害者制度改革担当室長として長年日本の障害者政策の第一線で活躍してきた東俊裕さん。国連の障害者権利条約特別委員会の日本政府代表団顧問も務めた方です(2023年に弁護士を引退)。講演会当日は、視覚、聴覚、知的の障害当事者、JICAプロジェクト関係者を含む約50名が参加し、東さんの言葉に耳を傾けました。
パラグアイは2008年に障害者権利条約を批准し、2020年には障害者の人権に関する国家行動計画を策定するなど取り組みが進められています。しかし、歩道をはじめとするインフラ整備の遅れや、障害者の声を市の施策に反映させる仕組みが十分でないなど、課題も残っています。このような状況を踏まえ、JICAは2024年8月より「障害者の社会参加促進プロジェクト」を開始しました。本プロジェクトでは、5つの市を対象に地方自治体レベルでの障害者と行政の対話のためのプラットフォームを整備し、障害者の社会参加促進を目指しています。具体的には、国家障害者人権庁(SENADIS)、市障害者権利協議会(COMUDIS)、障害事務局、障害者団体や支援団体などが集まる対話の場の確立と、その場づくりに関わる関係者の能力強化を支援しています。
講演では、日本の障害者権利条約批准に必要な法制度改正、障害者差別解消の実現に向けて東さんが歩んできた道のりについて、経験を交えながら語られました。「障害者差別解消法」、「障害者総合支援法」の制定、「障害者基本法」の改正など、日本における障害者の人権保障は大きく前進してきましたが、それまでの道のりは決して平たんではありませんでした。各地の障害当事者団体が収集・整理した差別事例が、熊本県や千葉県での障害者差別解消に向けた条例制定につながったことは、国を動かす原動力となった象徴的な事例です。
講演で語られた、「パラグアイにとって大きな変化のとき」、 「言葉や文化は異なっても障害者の思いは共通している」、「多くの障害者とともに活動できるのは、とても幸せなこと」という東さんのメッセージに、パラグアイの参加者からは大きな拍手が送られました。
2026年3月には、パラグアイにて障害関連の施策実施に携わる各市の職員や障害当事者が日本を訪れ、障害者団体と行政の協働による人権保障と差別解消の取り組みを学ぶ研修が予定されています。東さんも講師として参加する予定です。
「Nothing about us, Without us! (私たちのことを、私たち抜きに決めないで)
」の理念のもと、JICAは今後もパラグアイにて障害者の社会参加を促進するため、現地関係者等との連携を一層強化してまいります。
撮影: 田中 悠輝