「きれいな水」は平和の礎。南スーダンの浄水施設完成でジュバ市民が得たもの
2023.04.12
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南スーダンの首都ジュバに、今年1月末、JICAの協力で建設された浄水施設が完成しました。水の供給が始まって2か月余り。約40万人ものジュバ市民が、新設された公共水栓などを通じて安価できれいな水を得られるようになりました。この浄水施設が市民の生活に与えた変化を見ていきましょう。
新しくできた浄水施設は、ナイル川の水を1日に1万800立方メートル浄水する能力を備えています。新設された市内120カ所の公共水栓と8カ所の給水車給水所で水を購入でき、浄水場完成以前の10倍以上となる推定約40万人の市民が、きれいで安全な水にアクセスできるようになりました。
市民はジェリー缶と呼ばれる20リットルの黄色いポリタンクを持参して公共水栓から水を汲みます。その価格はタンク1杯で25SSP(南スーダンポンド)、日本円で4円ほど。既存の浄水施設の半値以下のため、安くてきれいな水が身近に手に入ることを歓迎する声が上がっています。また、浄化が不十分な水による感染症の発生を減らすことも期待されています。JICA南スーダン事務所の山中祥史さんは「水栓から直接飲めるほどのきれいな水です。これまでは安全な水を得るために、母親など女性が夜中に1時間もかけて翌日使う水を煮沸していましたが、その習慣から解放され、時間を有効に使ってもらえるはず」と、市民生活への影響を語ります。
現在、浄水施設はフル稼働しているものの、その人気ぶりから午前中には水が売り切れる状況が続いています。公共水栓の営業は午前6時から。開始早々に続々と市民が訪れて水を購入していき、10時ごろには貯水槽が空っぽに。営業を中断し貯水して、また14時ごろから販売を再開、夕方6時まで営業しています。増え続ける需要に対応するため、今後は公共水栓が整備されていない市内の他地域での給水施設整備の検討が進んでいます。
市民は黄色いポリタンク「ジェリー缶」を手に、公共水栓に水を購入しにやってくる。順番待ちの行列ができるほどの人気ぶりだ
浄水場の建設は、南スーダン独立直後の2013年から始まり、2度の国内紛争と新型コロナウイルス感染拡大の影響による中断を経て10年越しで完成に至りました。市民が望む社会サービスを行政がきちんと提供できれば、市民と政府間の信頼関係が築かれることで、市民が社会に参画していきいきと活躍できる環境が作られ、紛争が起こりにくくなることが期待されます。きれいな水を供給し続けることは、南スーダンの平和の礎を築いていくことでもあるのです。
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