国連開発計画(UNDP)と連携し、ウズベキスタンで「カイゼン」の研修を実施しました

2020年11月24日

2020年11月10日から13日にかけて、ウズベキスタン日本センターはUNDPとの連携により、ウズベキスタン西部のカラカルパクスタン自治共和国にて、現地の小規模起業家約30名を対象に、オンラインとオフラインを組み合わせた「カイゼン 」研修を実施しました。当日は、製造・畜産・縫製・建築・サービスなど、幅広い業種の起業家が参加しました。

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オンラインで「カイゼン」の研修を受講するウズベキスタンの小規模起業家

ウズベキスタンでは市場経済への移行後、堅調な経済成長が続く一方で、一次産業に依存する脆弱な経済構造を改善するため、産業の高度化・多様化が課題となっています。特にカラカルパクスタン自治共和国では貧困率が高く、主要な産業であった漁業も、過剰な灌漑によりアラル海の漁獲量が大きく低下し衰退するなど、地域経済の安定性向上が必要とされています。

今回の研修は、環境の変動により大きな影響を受けた、同地域住民の収入向上と雇用創出を目指し、UNDPと国連人口基金(UNFPA)が共同で実施する、「アラル海地域における健康、環境及び経済的不安に対する地域社会強靱化計画(Building the resilience of local communities against health, environmental and economic insecurities caused by environmental destruction in the Aral Sea region)」の一環として実施されました。ウズベキスタン日本センターは、2000年の設立から1万8千人以上の現地ビジネス人材を育成してきたノウハウを活かし、カラカルパクスタン自治共和国の3つの地区で、それぞれ1日の研修を実施しました。

当日は、ウズベキスタン日本センターで現地の企業経営者・幹部に「カイゼン」の手法を指導する、経験豊富な日本人専門家が講師となり、「カイゼン」の概要、事例、PDCAサイクルや、5S、7つのムダ、品質管理サークル(QCサークル)といった「カイゼン」における重要な概念について講義を行いました。また研修の後半では、参加者が「カイゼン」による生産性向上を体験するグループワークやディスカッションを行い、講義で学んだ内容について理解を深めました。

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「カイゼン」を体験するグループワークの様子

ウズベキスタンにおいてもコロナ禍における対策が求められる中、オンラインで講義を行う日本人専門家と、現地でサポートを行うウズベキスタン日本センターの講師が協力することで、遠隔による講義の質を高める工夫もされました。

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日本人専門家をサポートし、講義も行うウズベキスタン日本センター講師

参加者からは、「これまで現場でできていなかったカイゼンについて教えてもらえたのが良かった。今後、自身の職場で活用したい。」といった感想や、「5Sの考え方は大きな意味を持っており、生産現場、スタッフの士気向上などに活用できると思った。」、「この研修で学んだことは、他企業との差別化を図り、市場で競争力をつけていくのに役に立つと考える。」といった声を聞くことができ、研修に対する高い満足度を得ることができました。

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修了証書を受領した研修参加者

今回ウズベキスタン政府も重視している地方のビジネス人材育成に、他ドナーと連携して取り組む有意義な機会となりました。また、参加者の約半数は女性起業家であり、コロナ禍においてより大きな経済的な影響受けている、女性の経済的自立性の向上にも貢献することができました。

ウズベキスタン日本センターは今後も他機関との連携を積極的に進めながら、ウズベキスタンの産業振興と雇用創出に向けた活動を続けて行きます。

※日本の製造現場で発展した総合的な品質・生産性向上の手法。5S、7 QC Tools、TQM、TPS、リーン生産方式などのツールを活用し、企業の業種、規模、地域などに関係なく、小さな投資で成果を上げる参加型の手法として、世界的にも認知されています。