<JICA九州 待機隊員向けオンラインセミナー>全12回シリーズの実施

2020年12月20日

 JICA九州主催、国内待機中の海外協力隊員向けオンラインセミナー・シリーズ(全12回)が、12月10日ついに最終回を迎えました。本シリーズでは、九州各県にて幅広い分野で活躍されている方々を講師に迎え、「SDGs・国際協力」、「先輩隊員の経験談・帰国後の活動」、「地域おこし」をメインテーマとする内容で実施してきました。シリーズの中では、講師による講演を中心としたセミナーから講師と参加者との双方向的なコミュニケーションに重きを置いたセミナー、そして、参加者同士の意見交換の場も設けられたセミナー等があり、とても多彩なシリーズとなりました。

 第1回~5回は「SDGs・国際協力」をメインテーマに、「SDGs概論」(第1回)、「多文化共生とSDGs」(第2回)、「国際協力の重要課題と実際」(第3回)の後、「SDGsとポストコロナの保健医療協力」(第4回)、そして「自治体におけるSDGsの取り組み」(第5回)を実施しました。
 ※第1回から第3回の内容については、以下「関連リンク」に紹介していますのでご参照ください。
 
 第4回では、長崎大学熱帯医学・グローバルヘルス研究科教授の青木恒憲氏に、コロナ禍の中、今後、保健医療分野でどのような国際協力が重要になっていくのかお話しいただきました。医療隊員をはじめ多くの方に参加いただき、今般のWithコロナの状況下における活動の進め方について、意見交換も行われました。
 第5回は、SDGs未来都市に選定された熊本県小国町のSDGsへの取り組みについて、小国町政策課企画係長の森恵美氏にご紹介いただきました。小国町という比較的小さな地方自治体が意欲的・積極的にSDGsに取り組み、それを町の活性化につなげようとする試みに、参加者からは驚きの声が聞かれました。
 
 第6回~10回は、「先輩隊員の経験談・帰国後の活動」をメインテーマとして、多様な年齢層・派遣国・職種の元協力隊員で、現在は様々な分野で活躍されている方々にお話しいただきました。まだ一度も派遣されないまま国内待機を余儀なくされている隊員の方々も多く参加され、先輩隊員である講師に、任地での活動や帰国後の進路に関する悩みをぶつけたり、アドバイスを受けたりと、各回とても有意義な参加型のセミナーとなりました。
 第6回は、セントルシアにコミュニティ開発で派遣された元シニア海外ボランティア、公益財団法人佐賀県国際交流協会理事長の黒岩春地氏に、任地での様々な迷いや葛藤を乗り越えつつ任期2年の中で10年の長期活動計画を立てることとなった経緯や、人と人との繋がり、そして黒岩氏にとってご自身を突き動かす原動力となるもの等、モニターから熱意が伝わってくるようなお話をいただきました。
 第7回は、ボツワナにシステムエンジニア隊員として派遣された、かごしま国際交流センター所長、兼、鹿児島県OB会顧問の桑山昌洋氏に、地域における国際相互理解の促進に向けた、協力隊OB会の活動を中心にお話しいただき、日本国内での国際交流など、帰国後の社会還元活動を考えるうえで参考となるお話をしていただきました。
 第8回では、マラウイにコミュニティ開発で派遣されたOB隊員、庄田清人氏に、任地での活動内容や、帰国後、地域のまちづくり関連事業を担う(株)倖乃舎を立ち上げ、ヘルスケア・SDGs普及活動・教育などの幅広い分野にて、協力隊の経験を活かしつつ実施されている様々な事業についてご紹介いただきました。
 第9回では、セントビンセントに体育隊員として派遣されたOB隊員、飯塚市立飯塚第二中学校校長の猿渡和則氏に、任地での活動内容に加え、協力隊の経験を積むことによって視野が広がり、帰国後は、教育現場にて赴任前と違った目線で子ども達と接することができ、それが校風の改善に大きく繋がった経緯や、現在実施中の国際教育の推進に向けた取り組みについて、お話しいただきました。

講義の様子(第10回目、岩永氏による講義)

 第10回では、中国に野球隊員として派遣されたOB隊員、佐賀県の認定NPO法人地球市民の会事務局長の岩永清邦氏に、赴任中の様々なエピソードや、帰国後、その経験を地元佐賀に還元すべく、行政・企業・NPOといった様々な団体と連携した社会貢献活動などについてお話しいただきました。

第11回は、「地域おこし」をテーマとして、熊本県内にて地域おこし協力隊を経験された村上貴志氏及び田河正行氏の2名にお話しいただきました。村上氏は熊本県菊池市、田河氏は同県山鹿市の地域おこし協力隊に参加され、任期終了後も継続して地域活性化に向けた各種事業に取り組まれています。本セミナーでは、地域おこし協力隊の制度や活動内容についてお話しいただき、地域おこし協力隊についての理解を深める機会となりました。

第12回セミナーでの集合写真。上方真中が講師の木村氏。

第12回は、プロラグビー選手の木村貴大氏に、「スポーツがもつ可能性とは~ラグビーでの海外挑戦~」と題し、ご自身のラグビー人生や、コロナ禍で苦境に立たされても、目標を見据え、その達成に向け、自分を信じて進み続けるという熱い思いを語っていただきました。参加者からは、国内待機が続く見通しの立たない不安な状況の下、本セミナーを通じて木村氏から元気と勇気をもらったとのコメントをいただきました。
 
 参加者からの事後アンケートの一部を紹介します。
「待機期間中の過ごし方について悩んでいたのですが、行動レベルで様々な情報を提供して頂いたので、今後の時間の使い方について参考にさせて頂きます。」
「国内でできる国際協力のお話が印象に強く残っております。様々なスタイルの国際協力があることを知り、任地そして国内でも今後とも国際協力の分野で活動したいと思いました。」
「帰国後に地域への還元ができるよう、異文化交流や様々な体験をして視野を広げて行きたいと思います。」
「(隊員OBの方々が)人とのつながりを大事にし、帰国後も活躍されている姿に感銘を受けました。」
「講師の先生の前向きな考え方に刺激をもらいました。ありがとうございました。」
「JICA九州オンラインセミナーを受講するたび、とても多くの事を学ばせて頂きました。今後、国際協力を含め、これからの自分の人生において、学んだ事を活かしていきたいと思います。」

講師を引き受けて下さった皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。