東京オリパラ記念企画 事前キャンプに帯同した元隊員に聞いてみた!(後編)

2021年9月28日

 髙橋昭文さんは2017年3月シニア海外協力隊としてミクロネシアに派遣され、同国の水泳連盟の競泳ヘッドコーチとして、主に国際大会に向けた選手強化と大会への引率などの活動を行いました。約2年半の任期が終わり、一度日本に帰国した後も、短期派遣で再度ミクロネシアへ行かれました。
 このように継続してミクロネシアでの競泳選手の育成に関わってきた経験から、2021年福岡県みやま市で行われた東京オリンピックパラリンピック(以下、東京オリパラ)水泳の代表選手団の事前キャンプに帯同されました。
 前編では、出場した選手と高橋さんとの出会いからホストタウンでの事前キャンプの様子について伺いましたが、後編では、いよいよ東京大会での様子と最後に「スポーツを通じて国際交流・国際協力」に関心のある方へのメッセージを頂きましたので、掲載いたします。

3.東京大会での様子

試合の様子(1) ティアーナ選手

試合の様子(1) 手前:タシ—選手

鬼丸 ここからは、いよいよ大会本番のお話を伺います。
タシ—選手とティアーナ選手が出場した種目を教えてもらえますか?

高橋 タシ—選手は男子200m個人メドレー、ティアーナ選手は女子100m平泳ぎに出場しました。

鬼丸 ふたりの成績はいかがだったのでしょうか?

高橋 そうですね、タシ—選手は自己ベストに及ばず、ティアーナ選手は僅かですが自己ベストを更新しましたが、二人とも満足のいく結果ではなかったようです。わたしからはティアーナ選手には「自己ベストおめでとう」、タシ—選手には「またこれから頑張ろう」と声をかけましたが、二人とも悔しそうな表情をしていました。

鬼丸 高橋さん自身がオリンピックに帯同された感想を教えて頂けますか?

高橋 元々オリンピックに行くことが目的でボランティアになったわけではないですし、コロナ禍という特殊な状況での大会参加だったので、オリンピックに参加しているという実感は正直あまりなかったんですよね。どこか夢見心地のような気分でもあり、普通の大会と変わらないような、不思議な感覚でした。
それでも私自身、たくさん勉強になる部分もありました。大会の規模感やメディアの多さ、スポンサーのサポートなど、オリンピックそしてスポーツがどのような支えがあって成り立っているのかを知る機会になりました。この点は二人の選手にとっても良い経験になったようです。オリンピック規則に合わせて練習着を選んだり、メディア対応を行ったりなどは、これまでの国際大会では経験なかったことだと思います。

4.スポーツを通じた国際交流について

鬼丸 東京オリパラでの帯同、本当にお疲れさまでした。
ここからはこれまでの高橋さんの経験を踏まえた話を伺いたいと思います。
スポーツを通じた国際交流、国際協力について、高橋さんが思うことをお聞かせ下さい。

高橋 この分野に関して、まだまだJICAを始め日本が貢献できることがあると思います。若い人たちには、どんどん海外に行ってスポーツを通しての交流や貢献をしてほしいですね。この分野に関わることは若い指導者にとっても、貴重な経験となります。我々が知らないだけで数ヶ国が集まって行われている国際大会はたくさんあって、そこに帯同することで色々な国の指導者や選手との交流し、学び合い、お互いを目標にしあうことも出来ます。今回はオリンピックという大舞台でしたが、小さなことから貢献できるのがスポーツいう分野だと思うので、ぜひ多くの若い人に関わってもらい、国際交流、相互理解を深めていってほしいと思います。

5.さいごに

インタビューにお応え頂いた高橋昭文さん

鬼丸 これから「スポーツを通じて国際交流・国際協力」に関わってみたい方に一言をお願いします。

高橋 まずは水泳に限らず、多くのスポーツで途上国は日本にいろいろな意味で期待しているということを皆さんにもっと知ってもらいたい。そして、その期待に応えられるように頑張って頂きたいと思います。特にスポーツに関しては、学校で体育教育がない国がたくさんあると思います。ミクロネシアもそうだったのですが、体育教育の重要さを感じる場面が多々ありました。そうした意味では特定のスポーツだけでなく、体育教育の分野でも貢献できることがたくさんあると思います。高い競技力や優秀な成績を持つ方だけが活躍できるということではなく、しっかり勉強して準備をすれば、非常に多くの成果を上げられることのできる分野だと思います。
そのため、「あまり運動が得意じゃない、やったことがない」ということに捉われず、参加して貰えたらと思います。

鬼丸 最後はこの分野を志す方に勇気を与えるようなメッセージになったのではないかと思います。本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

 「高橋さんのようにスポーツを通じて国際交流・国際協力に関わってみたい」と思われた方、ぜひ下記のJICA海外協力隊のページをご覧になってみてください。

(JICAデスク福岡 担当:鬼丸)