<イベント報告・大分>別府鶴見丘高校2年生が南スーダン出身JICA研修員とディスカッション交流を行いました

2021年11月22日

第1回トークセッション(9月14日)

第2回トークセッション(10月12日)

 大分県立別府鶴見丘高校2年生が「総合的な学習の時間」の中で、南スーダン出身のJICA研修員と2回にわたってディスカッション交流を行いました!

 2年生6名が南スーダンについて調べ学習をしているということで、質問のお電話がJICAデスク大分に届いたのは8月後半のことでした。そして、現在、立命館アジア太平洋大学(APU)の修士課程で学んでいる南スーダンからの留学生、Mure Irra John Sabazioさん(Mr)とのディスカッション交流に繋がりました。

 第1回目は9月14日(火)16時50分から17時20分までの30分間、第2回目は10月12日(火)16時45分から17時45分までの1時間、いずれも放課後の時間を活用して、オンライン(Zoom)で開催しました。生徒さんたちからは各回事前に英語で複数項目の質問を頂き、Johnさんもしっかり回答を準備して臨んでくださいました。

 第1回目は、「南スーダンはどのような問題に直面していますか?」、「日本の人々が南スーダンのために出来ることはあると思いますか?」、「南スーダンの教育システムについて教えてください。」などの質問が投げ掛けられました。

 第2回目は、第1回目の内容を踏まえ、会話のキャッチボールがより活発になりました。「日本の教育システムは南スーダンにとって効果的に働くと思いますか?もし部分的に採り入れるならば、どのような部分を採り入れてみたいですか?」、「教育を受けることができなかった子どもたちは将来どのような仕事に就きますか?」、「Johnさんはどのように日本で学ぶチャンスを獲得したのですか?日本を選んだのはなぜですか?」などの質問が投げ掛けられました。また、最後には「音楽は好きですか?どんな種類の音楽を聴きますか?」といった質問も出て、生徒さんたちはJohnさんの日常にも興味津々の様子でした。

 以下、生徒さんからの感想をご紹介します。
 「今回のzoomでの交流を通して本物の英語でのコミュニケーションをとることができたのでとてもいい経験になりました。また機会があればぜひよろしくお願いします。本当に楽しい時間をありがとうございました。」
 「ジョンさんと話をして、南スーダンについてより深い話を聞くことができました。今後の探究活動に活かせる貴重な経験になりました。ありがとうございました!」
 「この度は貴重なお時間をいただきありがとうございました。日本では教育は「義務」であって南スーダンのように学校に行くことのできない子がいるのはすごく珍しいことなので、お話を聞いてびっくりしました。私は何度も「学校に行くのは面倒くさいな」と思ってしまっていましたが、それも贅沢なことなのだということを改めて実感しました。私たちができることは少ないですが、学校の授業などを通してこうした問題について学び考えていこうと思いました。」
 「南スーダン出身の方とお話するのは初めてでした。ジョンさんのお話から南スーダンの子どもたちの高等教育までの就学率、保護者の教育に対する考えなど道徳的な面も含めた南スーダンの教育について知ることができました。また、日本の教育制度のよい点を教えていただきました。その環境にいる私たちが当たり前だと思う制度が海外ではそうではないという新たな発見がありました。この度はコロナ禍で様々な制限がある中、APUの方と交流する貴重な機会となりました。お忙しい中、ありがとうございました。」

 また、Johnさんからの感想をご紹介します。 *English follows Japanese.
 「生徒たちと交流できて光栄でした。別府でまた彼らに会いたいです。私がどれほど彼らに感心しているかを言葉で表すのは難しいです。私が当初このワークショップについてJICAからメールを受け取った時、トピック(が南スーダンであるということ)に大変驚きました。なぜなら、来日して以降、私が出席してきたセッションは全て日本の素晴らしい歴史とそこから私たちが学べることに焦点が当てられていたからです。メディアはしばしば彼らの物語に合わせようと話を曲解しがちですが、そうしたメディアからではなく私から、南スーダンという私の国についてもっと学ぶために学校に遅くまで残ろうとする子どもたちと出会えて本当に嬉しいです。
 正直なところ、私の国の(今回交流した高校2年生と)同年齢の学生と日本の学生との間での大きな違いに気付きました。例えば、今回のセッションの間、生徒の一人は、(将来)空港で働きたい、と述べました。一方で私の国では、高校生は明確なキャリアパスを持っていません。こうしたことは中等教育修了後に方向を見失うことを引き起こします。彼らが将来について決定していけるような教育システムにはなっていないからなのです。
 さらに重要なこととして、(今回交流した)高校生が提示した質問の数々は、彼らがいかに自身を取り巻く世界について関心を持っているかを示しています。このことは私にとって、自国の真の現実を教えてくれて、大きな原動力です。そして、そのような市民性とともに、彼らは世界をより良い場所へと変えることができると思います。
 別府の素晴らしい生徒たちとディスカッションできたこの機会に本当に感謝しています。」

 参加生徒さんたちは今回の研究内容を、12月の修学旅行にて、企業で発表することになっているそうです。頑張ってください!

 参加生徒の皆さん、英語担当の中山先生、そしてJohnさん、本当にありがとうございました。同じ別府市内ということで、次回はぜひ対面でお会いいたしましょう!

 ※Johnさんの感想原文です。
  It was a pleasure interacting with the students, and I hope to see them again in Beppu. It's difficult to put into words how much I admire the students. When I initially received an email from your office about the workshop, I was astonished by the topic because all of the other sessions I had attended since arriving in Japan had focused on Japan's great history and what we can learn from it. It means a lot to me to meet these children who are ready to stay up late at school to learn more about my country, South Sudan, from me rather than from the media, which oftentimes twists the story to fit their narrative.
  To be honest, I noticed a significant difference between students of the same age in my country and Japan. For example, during the session, one of the students stated that she wants to work in airport, whereas in my country, high school students do not have a clear career paths, which causes them to lose direction after completing secondary education because the system does not prepare them to make decisions about their future.
  More significantly, the questions they posed demonstrate how much they care about the world around them, which is a big motivator for me to tell my country's genuine reality, and I think that with such civility, they can make the world a better place.
  Thank you so much for the opportunity to have discussed with the brilliant students of Beppu.

(JICAデスク大分 担当:井本)