2022年1月13日
中南米最古の大学の一つであり学生数40万人を誇るメキシコ国立自治大学(UNAM)において、日本の開発経験を学ぶJICAチェア(JICA日本研究講座設立支援事業)短期集中講座が実施されました。同講座は2021年9月28日から8回に渡って開講され、同大学アジア・アフリカ研究プログラム(PUEAA)とJICAが主催、メキシコ国際協力開発庁(AMEXCID)、メキシコ国費留学生同窓会(AMEJ)の協力により実現しました。
JICAは、開発途上国の各分野で将来のリーダーとなる人材を育成すべく、本邦の大学と連携し、2018年から「JICA開発大学院連携プログラム」を立ち上げました。この一環として、海外のトップクラスの大学等を対象に、日本の開発経験を学ぶ機会を国外にも広げることを目的とした「日本研究」の講座設立支援を行うプログラム「JICAチェア」を実施しています。
本短期集中講座はオンラインで開講され、開講式を含めた全8回の講義では各回150名から250名の参加があり、延べ1,600名以上の受講がありました。
JICAと放送大学が共同で制作したビデオ教材「日本の近代化を知る7章」を活用し、各回では日本、メキシコ両国から講師が1名ずつ登壇の上、参加者から寄せられた質問に対して講師が回答や補足説明をする形式で実施されました。第1章の北岡理事長をはじめ、3章、4章、5章においては同ビデオに登場する日本人講師本人が講義を行いました。また、メキシコ人講師は全員が元文部科学省留学生またはJICA帰国研修員で占められました。
「日本の国際協力」をテーマとした第7章の講義では、メキシコ事務所坪井所長とナショナルスタッフ3名が登壇し、メキシコで積み重ねた協力事例や現状を紹介しました。質疑応答では、日本の国内課題への貢献や市民社会と国際協力の関係についての質問があり、坪井所長から日本とメキシコの総人口や在留外国人比率の比較引用とあわせ、日本における共生社会実現に向けたJICAの取り組み、また、その一例として帰国した海外協力隊員による国内貢献活動を紹介しました。閉会式ではPUEAA代表のアリシア・ヒロン教授より謝辞に続け、「メキシコにおけるJICAチェアは、日本の近代化の過程とメキシコのそれとの比較を通じて相互の関係性や影響を知り、相互理解の深化に繋げていくものとして重要である」と、次年度に向けた抱負が述べられました。