2023年度8月帰国 シニア海外協力隊 紺谷 志保(宮古市勤務)

略歴:
母子保健医療施設で助産師として約30年勤務。派遣前までは、県立宮古島病院に勤務。

任地での活動
派遣国: ラオス
職種: 助産師
派遣期間: 2021年8月~2023年8月
配属先: ラオス母子保健センター
活動内容:
ラオス保健省の母子保健センターに所属し、母子保健医療従事者向けの母子保健トレーニング支援と、首都の国立病院のNICUと産科病棟で助産ケア指導。
赴任当初、ラオスはコロナでロックダウン中で、初めの3か月間はコロナ予防接種の支援を実施。半年後から本格的な活動が可能となり、母子保健トレーニングを開始。WHOラオスのスタッフとの共同で、地方の県に出張し、町や村に1週間滞在して、県や郡の病院や診療所で働く医療者に、妊娠、出産、産後ケアに関するトレーニングを実施した。ラオスの全16県のうち11県に滞在し、23回のトレーニングに参加。トレーニング指導内容の改善や、指導用のマテリアル開発、トレーニング評価などを担当。また、首都の国立病院のNICUでは主に、未熟児の赤ちゃんの看護ケアやカンガルーマザーケアを、産科では母乳育児支援を実施した。
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インタビュー

1.任地の気候や食べ物、生活環境などを教えてください。
ラオスは、熱帯モンスーン気候に属し、暑季(3~5月)の日中は35℃近くまで気温が上がります。雨季(6~10月)はスコールが降り、乾季(11~2月)は日中は25℃くらいで朝晩は気温が下がり過ごしやすくなります。食べ物は、沖縄と気候が似ているため、沖縄で採れる野菜や果物が多くあり、鶏肉、豚肉、川魚などがよく食べられます。味付けにたくさんの唐辛子を使います。ラオス国産のビールが人気です。大きな都市には、山岳地方で栽培されるコーヒーやクロワッサンの美味しいカフェがたくさんあります。町の建物はコンクリート造りですが、村では竹や木材を使った高床式の家が一般的です。
2.活動にあたり特に困難だったことやそれを克服していった事例があればお教えください。
地方での活動のために、毎回、保健省や所属部署の許可などたくさんの書類がトレーニング参加の毎に必要でした。政府機関からの書類の発行は時間がかかり、出張に必要な書類を揃えるため、関係機関に何度も足を運んだりしたことが大変でした。活動途中で、JICAラオス事務所の担当者に相談し、電子書類での提出で対応して頂くなど手続きを簡素化していただき助かりました。
3.楽しかったことを教えてください。
コロナ禍でJOCVはラオス国内の移動制限がありましたが、私は保健省とWHOラオスのコロナ対策支援の一環としての母子トレーニングに参加でき、国内の11県を訪問できました。県ごとの異なる文化や食事、風景にたくさん触れられました。村の産後の家族宅に家庭訪問にも行き村人の実際の暮らしを深く知ることができました。また、地方で生産されている珍しい種類の美味しいコーヒーを飲め楽しみました。
4.失敗談を教えてください。
活動の内容や関係者との仕事のやり取りが、ほぼwhats app(LINEのような)アプリで行われていました。スケジュール変更や、書類の提出、位置アプリの活用など、その活用に慣れるまで、私の勘違いや反応の遅れなどで、ひとり出遅れることが当初ありました。SNSに疎い生活をしていたので、ラオスでは職場をはじめあらゆる場所で、SNSが駆使されていることに驚き、同じ隊の若者や、ライス人の友人に教えてもらい必死てついていきました。
5.活動でうまくいった事例を教えてください。
ラオス人は、お互いに人前で注意しあうようなことを避けます。トレーニングでは、出来ていないことを指摘したり、強く指導しなければならない場面があり、日本人シニア助産師という私の立場はその役にぴったりで、チームメンバーから、「あなたが言うと説得力がある」など言われ、皆から意見を集めて伝える役を担いました。それによって、私自身はトレーニングの目的を深く理解できましたし、トレーニングメンバーとして信頼を得られたと思います。また、メンバー同士のつながりの中から活動の幅を広げることができました。
6.2年間のボランティアを漢字一文字で!(その理由もお願いします)
『歩』 赴任当初、何をしていいかわからず、周りの人と繋がる中で自分のできること、すべきことを少しづつ見つけていけました。一歩一歩の歩です。それに、職場をはじめ市内のどこへ行くのも、歩いていくのが確実だったので本当によく歩きました。おかげで、暑さやスコール、野良犬、逆走してくる車、など大変なこともありましたが、街並みを楽しめて体力もつきました。
7.これから海外に出ようとしているウチナーンチュに一言。
日本を離れて生活すると、異なる社会や価値観に深く触れることができます。それは、どんなふうに生きてもいいんだ、と自分に気づかせてくれます。私にとってそれは人生を楽にさせてくれました。