【オンラインセミナー】インフラ産業×SDGsセミナー ~「安心・安全・豊かな」まちづくり~を開催しました。

2020年10月13日

【画像】 9月18日(金)の14時から16時に、オンラインにて「インフラ産業×SDGsセミナー~『安心・安全・豊かな』まちづくり~を開催しました。沖縄県内の建築、土木業界等に関わる方々25名の参加がありました。

 JICA沖縄では、課題分野毎のSDGs関連セミナーとして、これまでにIT、食品加工技術を取り上げ、今回のインフラ産業が3回目となります。インフラ分野は、セミナーのタイトルのとおり、SDGsのゴール11「包括的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現するに深く関わっています。これに加えて、ゴール2の医療やゴール4の教育関連施設へのアクセスには道路や橋が必要であり、それゆえ、全てのゴールに関わり、その実現を支えるのがインフラだと考えられます。

 今回のセミナーでは、JICA民間連携事業を活用して、サモア国の開発課題解決とビジネス展開に取り組む株式会社南西環境研究所と、タイ国における橋梁のひび割れ計測業務に取り組むクモノスコーポレーション株式会社に、海外での活動事例をご紹介いただきました。

 まず、㈱南西環境研究所の常務取締役の大城政人氏からは、海外展開に至った事例をご紹介いただきました。

 同社は、県内建設コンサルタント6社でコンソーシアムを結成し、平成25年度に沖縄県が実施した「沖縄建設産業グローバル化推進事業」に採択されたことが海外進出のきっかけとなりました。本事業では、サモアにおける基礎調査を行うと同時に、人的ネットワークも構築できたことから、当該事業終了後、次の事業展開として、JICAの中小企業海外展開支援事業を活用した案件化調査、普及・実証事業に応募し相次いで採択され、海外事業を拡充してきました。 

 JICA事業においては、サモアの開発課題である「環境悪化」および「災害リスク増大」を解決するモデル事業として、共同企業体の㈱ウエスコットウエスト(代表取締役:塩田淳二)製品であるバイオログフィルター(ヤシ殻繊維でつくられた資材)を河川に設置し、河岸の侵食防止、植生の保全・再生、また、濁水低減効果を定量的に実証していきます。また、本製品の優位性を確認し、サモアをはじめとする大洋州地域において普及を図るために、地域におけるニーズを把握し、製品の安定供給を可能にする方策を検討し、市場の拡大に応じる現地生産体制を見据えた事業計画を策定中です。

 将来的には、県内の建設産業の国際競争力を高めるために、アジアに近いという地理的優位性、島嶼地域における環境の類似性を利点に、日本国内の他の技術との差別化を図り、沖縄で培われた建設産業技術をパッケージ化して海外展開を強化するとお話しされたことが印象に残っています。

 次に、クモノスコーポレーション株式会社社長の中庭和秀氏からは、「世界のインフラを守る」と題して、橋梁やダム等の200m先の0.4mm幅のひび割れが計測可能という世界初のシステム「KUMONOS」の開発、特許取得、そして、タイにおける海外展開事例等についてご紹介いただきました。

 「KUMONOS」の開発により、国内において「国土技術開発賞」、「ものづくり日本大賞」、「文部科学大臣表彰科学技術賞」など受賞したにも拘らず、建造物のメンテナンスにおける近接目視が義務化されたことにより、「KUMONOS」がまったく売れなくなった過去を抱えるそうです。そこで国内市場ではなく、海外展開を考えるも、「人なし、資金なし、人脈なし」が壁になっていたそうです。

 同社は、2012年10月に「おおさか地域創造ファンド」に採択され、ドイツにおける世界測量展への出展を皮切りに、同年12月にJICA中小企業海外展開事業を活用してのマレーシアで案件化調査を実施、その後、JICA中南米民間連携調査団(ペルー、ブラジル)、JICA民間連携事業視察調査団(ベトナム)にも参加しました。また、2013年には、JICA中小企業海外展開支援事業の案件化調査(タイ)、同様、2016年に普及・実証事業(タイ)を実施することになり、これが海外展開の後押しとなっていました。

 タイにおける事業では、「ラマ8世橋ひび割れ計測業務」を実施し、JAPANコンストラクション国際賞を授与されました。かくして、現在、世界28か国でビジネス展開している同社は、JICAをはじめ、他の支援機関の支援事業をうまく活用して海外に羽ばたいています。
 
 今回、感染症対策ゆえに、初めてオンラインでセミナーを開催しましたが、参加者からのアンケート回答では、参考になったという意見が多く、オンラインセミナーの継続を希望する声も上がりました。今後とも、対面式、オンライン双方で、沖縄県内企業の皆様に途上国におけるSDGs課題やJICA事業等について理解を深めてもらい、JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業の活用について積極的にご活用いただくため、各種イベントを開催して途上国への海外展開を目指す企業の皆様をサポートしていく所存です。