シッティングバレーボールが繋ぐルワンダと沖縄の縁 <12月3日は国際障害者デー>

2020年12月3日

【画像】 沖縄県は障害者雇用に積極的で、自立や就労を支援するNPOも多く存在します。2014年に制定された沖縄県共生社会条例などのアドボカシー(権利擁護)活動も盛んであり、また、多くの観光客が訪れる首里城や美ら海水族館など、公共施設のバリアフリー化も進んでいます。
 これら沖縄のリソースを活かし、JICA沖縄では障害者の社会参加を促進するための研修を1997年から開始し、障害を有する研修員も含め、多くの研修員が修了しています。
 12月3日は国際障害者デー、3日から9日は障害者週間であることにちなみ、これまでの研修で生まれたとっておきのストーリーを紹介します。

沖縄の「やんばる学びの森」でバリアフリー体験をする研修員の様子 (中央右で杖を使用しているのがムカンゴガさん)

 
 ルワンダ共和国のムカンゴガ・マリー・ルイーズさんが研修に参加したのは2018年2月のこと。研修中に沖縄県が2020年東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプやホストタウンを推進する予定であることを知りました。
 自身も障害当事者で、シッティングバレーボールの選手であったことから、帰国後、ルワンダパラリンピック委員会にそのことを伝えました。

沖縄県八重瀬町の体育館での事前キャンプの様子

 
 同国のシッティングバレーボールチームがパラリンピック予選となるアフリカ大会を勝ち進み、2020年東京パラリンピック出場が決まりました。そこで、ムカンゴガさんは、JICA沖縄での研修委託先である特定非営利活動法人エンパワメント沖縄の高嶺 豊 理事長(研修コースリーダー)にコンタクトし、沖縄での事前キャンプ実施について相談しました。「沖縄県障害を理由とする差別等の解消に関する調整委員会」の委員でもある高嶺氏が沖縄県との調整役となり、2019年11月に八重瀬町での事前キャンプが実現しました。高嶺氏は、「まさか本当に帰国研修員から相談を受けるとは思わなかったが、多くの関係者の連携、協力が実を結びました。」と話しています。

ルワンダパラリンピック委員会ムレマ会長(写真右)がJICA沖縄を来訪

 
 選手に同行していたルワンダパラリンピック委員会のムレマ会長がJICA沖縄を来訪してくれました。ムレマ会長は、「シッティングバレーチームは、八重瀬町の体育館施設が充実している環境に非常に満足しています。ルワンダでは首都のキガリに総合体育館が一つしかなく、いろんな種目の選手が同時に使うので狭いのです。」と話されました。
 また、ルワンダと沖縄との縁ができたことに謝意を述べられました。

ムカンゴガさんがルワンダでの普及に尽力している車いすバスケットボールの練習風景

 
 ムカンゴガさんは、現在、自国にて車いすバスケットボールの普及に取り組んでいます。「パラリンピック出場が決まり、自分が1か月半過ごした沖縄で代表チームの事前キャンプができたことを大変嬉しく思う。自分が普及に取り組んでいる車いすバスケットボールは、まだ競技人口が少ないのでこれから盛り上げていきたい。」とコメントを寄せてくれました。

 現在、新型コロナウィルスの影響で世界的に人の往来が制限されていますが、思い出は色褪せることなく、生まれた縁はまた繋がっていきます。国際連合総会において「障害者に関する世界行動計画」が採択された12月3日の国際障害者デーには、誰一人取り残さない、すべての人に優しい世界になるよう願いが込められています。
 そして、2021年に本大会が開催され、ルワンダチームが沖縄で合宿し、競技で活躍することを期待しています。