「みんなで祝う」ドミニカ共和国日本人移住70周年
2026.08.31
今から70年前の1956年7月26日、サントドミンゴ港に「ぶらじる丸」が到着し、28家族185人の日本人移住者第1陣が、初めてドミニカ共和国の地を踏みました。
その後、1959年9月までの間に、8の移住地に合計249家族1,319人が入植。しかし、農業に適さない不毛の地も多く、過酷な自然環境も相まって、移住者たちは大変な苦労を経験されました。
それでも日本人としての誇りと尊厳を胸に、不屈の精神で挑み続けた移住者たちが築いたドミニカ共和国の日系社会は、今年7月、移住から70周年の節目を迎えました。
7月26日、サントドミンゴの日本人農業移住記念碑にて、嶽釜徹・ドミニカ日系人協会会長、西尾孝志・日ド友の会会長、早川修・駐ドミニカ共和国日本大使、尾辻朋実・参議院議員、JICAからは小林広幸理事が参列し、同記念碑へ献花が行われました。
この記念碑は、かつてぶらじる丸に乗って海を渡った日本人が初めて降り立った港のすぐそばに立てられています。この記念碑の傍らにある石碑には、移住してから多くの困難に立ち向かった日本人移住者家族名が刻まれており、それら移住者と家族を弔うために別の場所に建立された慰霊碑に対しても、同様に献花が行われました。
同日、70周年記念式典が多くの日系社会関係者の参加のもと盛大に開催されました。嶽釜・日系人協会会長から各家族の貢献を称える表彰状が手渡され、三世による和太鼓の演奏が披露されるなど、日系社会が歩んだ70年間の歴史に敬意を表するとともに、次世代の一層の活躍を願う記念すべき式典となりました。
移住記念碑への献花
(左から小林理事、尾辻議員、嶽釜会長、早川大使)
70周年記念式典にて一世の皆さんと
1956年7月に到着した第1陣が初めて入植したのが、ハイチとの国境沿いにある町ダハボンです。現在もダハボンには日系人が暮らしており、8月1・2日には70周年を記念した日本祭り「Dajapón FEST(ダハボンと、スペイン語で日本を意味するハポンを組み合わせたもの)」が昨年に続いて開催されました。
この祭りでは、日本食・日本文化が楽しめるブースが多く出展したほか、ステージでは盲目の和太鼓奏者・片岡亮太さんとジャズホルン奏者の山村優子さんによる「ドミニカ共和国太鼓節」などパワフルな演奏が披露されました。
片岡さんと山村さんはこれが2度目のドミニカ共和国訪問。最初の訪問に引き続き、今回も日系社会の子供たちを対象とした和太鼓教室を開催しました。「前回よりも格段に上手になっていた」とドミニカの「弟子」の成長ぶりを感じました。
また、日本舞踊家の孝藤右近さんと孝藤あかりさんは剣舞をはじめ、藤の精が可愛い娘となって現れる「藤娘」、華やかさと豪快さを兼ね備えた日本舞踊の名作「鏡獅子」などを披露しました。観客は、お二人の優雅かつ力強い舞に魅了されていました。
また、昨年に続いて公式招待されたJICA Bon Bon Bandも参加し、2日間で計5回のステージに出演しました。
JICA職員や日系社会のミュージシャンらで構成される同バンドは、孝藤さん、片岡さん、山村さんとも共演。盆踊りというインクルーシブな日本文化を通じて現地コミュニティの連帯強化に貢献するとともに、オリジナル曲「Merengue Bon Bon(メレンゲ盆踊り)」「Bachata Bon Bon(バチャータ盆踊り)」、さらに協力隊員との共作曲「Peralta en mi Corazón(ボレロ盆踊り)」を披露し、日本とドミニカ共和国の文化の融合と共創を体感する機会を提供しました。
Dajapón祭りには2日間でのべ1,5000人が参加。同県最大の祭りになりました。ダハボンは、ドミニカ共和国への日本人移住の歴史を今に伝える町であり、日系社会はその象徴的な存在として地域に深く根付いています。
ドミニカ共和国太鼓節演奏の様子
(左から片岡亮太さん、山村優子さん)
鏡獅子、桜の精の踊りの様子
(左から孝藤右近さん、孝藤あかりさん)
公式招待されたJICA Bon Bon Band
演奏の様子
未来を担うダハボンの子どもたちが
JICA Bon Bon Bandと盆踊りを踊る様子
盲目の和太鼓奏者・片岡亮太さんとジャズホルン奏者の山村優子さんは、第2の都市サンティアゴで開催された日ド交流コンサートにも出演しました。
移住70周年を祝うステージでは、当地の著名音楽家らとの共演により、現地の音楽と和太鼓を融合させた迫力ある演奏を披露。
即興演奏セッションも行われ、ジャンルや国境を越えた音楽交流が生まれました。
こちらでも、公式に招待されたJICA Bon Bon Bandがこの日のために作詞作曲した「Santiago en mi corazon」や盆踊り楽曲を披露。
観客は、リズムに合わせて身体を揺らしたり、ペアで踊ったり、盆踊りの平和の輪を作りながら演奏を楽しみ、文化交流の愉しさを感じ、会場は大きな歓声と拍手に包まれました。
片岡亮太さんと山村優子さんの演奏
(左が山村優子さん、右が片岡亮太さん)
即興演奏セッションの様子
(中央が山村優子さん、右が片岡亮太さん)
公式招待されたJICA Bon Bon Band
演奏の様子
音楽を楽しむ満席の会場の様子
これらのイベントに先立ち、7月19日(日)にはサントドミンゴ近郊のラルイサにて、総勢約240名の日系社会関係者が集まり、70周年を記念するイベントが開催されました。西尾・友の会会長は開会挨拶にて「70年は七転び八起きの繰り返しであった」と述べられ、幾多の困難にも負けずに乗り越えてきた日系社会の歴史を称えました。このイベントには、嶽釜・日系人協会会長や早川大使も参加され、一世から四世まで幅広い年代の日系社会関係者が参加し、和気あいあいとした雰囲気の中で、賑やかに70周年を祝いました。
開会挨拶
(日・ド友の会 西尾孝志会長)
未来への希望を込めて子どもたちと植樹
(左から嶽釜会長、律子夫人、西尾会長、陽子夫人)
70周年に際して、ドミニカ共和国の日系社会では、多くの方々が日系社会の歴史を振り返るとともに、改めて日系社会の結束力の強さを感じられたのではないでしょうか。70周年を記念した各イベントには共通して「みんなで祝う」雰囲気がありました。これからまた1年ずつ歴史を刻んでいく中で、日系社会の絆がますます深まっていくことを確信させられるような70周年でした。