改訂版母子健康手帳、点字版母子健康手帳の贈呈式 (PROSMATE)
2025.12.08
2025年11月21日に技術協力プロジェクト「プライマリヘルスケア施設における妊産婦ケアの質改善プロジェクト(通称PROSMATE)」の第4回合同調整委員会(Joint Coordination Committee:以下JCC[1])がルアンダ州で開催されました。
保健省Dr. Carlos Alberto Pinto de Sousa副大臣(公衆衛生担当)、Dr. Helga Freitas国家公衆衛生局局長、ウアンボ州及びウィラ州保健局局長を含むプロジェクト関係者、WHO、UNFPA等を始めとする開発パートナー、在アンゴラ日本国大使館佐野浩明大使、さらに対象施設の各市保健局母子保健スーパーバイザーのオンライン参加を含め、計65名が参加し、プロジェクトの進捗・成果・課題を共有し、今後の方向性を確認することができました。
JCCに合わせて母子健康手帳の贈呈式が開催されました。
特に今回は、①従来版に増補を加えた改訂版母子健康手帳が新たに増刷されたこと、②保健省主導で点字版が新たに作成されたこと、の2点について保健省のホームページや現地新聞でも大きく取り上げられました。
点字版母子健康手帳については、保健副大臣からLARDEF(Liga de Apoio à Integração dos Deficientes:障がい者統合支援連盟)代表者に贈呈され、取り組みが高く評価されました。
点字版母子健康手帳の贈呈式
現地報道の写真切り抜き
アンゴラ政府は法律第10/16号にて制定されたアクセシビリティ法の一環として視覚障害を持つ女性も利用できる母子健康手帳の開発を、保健省主導で進めてきました。
点字版の作成にあたっては、通常版母子健康手帳の成果を踏まえつつ、保健省が内容を協議・選定して作成したものであり、民間企業CFAO Mobility Angola社[2]の支援により2,500部の印刷が実現しました。
これは同社の真摯なCSRへの取り組みが官民連携となってアンゴラ母子保健分野に貢献している好事例となります。
また、保健省からの要望により裏表紙に社会行動・家族・女性促進省(Ministry of Social Action, Family and Promotion of Women:MASFAM)及び教育省のロゴを追記し、省庁間を越えた取り組みであることを示しました。
点字版母子健康手帳表紙:右端にタイトルが点字で記載されています
今回母子健康手帳の改訂のプロセスとして、2024年12月に実施した改訂ワークショップにおいて、産前健診項目の充実、分娩付添い者へのオリエンテーション、分娩時の自由な体位の推奨、出産準備項目や産後うつに関する情報の追加、退院時指導項目の強化等、母子健康手帳の内容改善に関する複数の提案がなされ、これらの改訂方針が保健省で採択されました。
2025年5月に最終化・承認された改訂版母子健康手帳を、CFAO Mobility Angola社が33,000部、JICAが160,000部、合計193,000部を印刷。プロジェクト対象保健医療施設を中心として配布し、「改訂版母子健康手帳に関する研修」を実施しました。
CFAO Mobility Angola社Chris社長より贈呈
保健省の尽力の下、母子健康手帳の導入エリアが順調に拡大しており、2025年11月末時点でアンゴラ全21州のうち17州で導入が開始され(未導入州:Bié、Namibe、Cubango、Moxico Leste)、全国展開に向けて着実に進展しています。
また、保健省は母子健康手帳の持続的な活用と印刷体制の確保に向けて、主体的に各開発パートナーへの働きかけを行っています。
参加者集合写真(母子健康手帳と一緒に)
[1] JCCとは「合同調整委員会(Joint Coordination Committee)」のことで、先方実施機関と案件の進捗確認や軌道修正の必要性等を定期的に協議する場を示します。
[2] 豊田通商株式会社のグループ会社。(2025年8月TICAD9にて継続的な母子保健への支援について署名が結ばれました)
豊田通商株式会社のグループ会社であるCFAO 社から母子健康手帳の寄贈を受けました(2024年3月) | ODA見える化サイト
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