ブラジルとともに築く強靭な地域づくり ― 土砂災害リスク削減アドバイザー着任 ―
2026.08.19
2026.08.19
ブラジルでは、自然災害による被害が拡大しています。2011年1月には、リオデジャネイロ州で豪雨により行方不明者約400名、死者は900名を超え、約2万人が家を失うというブラジル史上最大の災害が発生しました。JICAは技術協力「統合自然災害リスク管理国家戦略強化プロジェクト」(GIDES)(2013年~2017年)により、土砂災害のハザード特定及びリスク評価、土砂災害軽減のための監視、予警報システムの改善等の支援を行い、同案件の成果 をもとに、技術協力「強靭な街作りのための土砂災害の構造物対策能力強化プロジェクト」(SABO)(2021年~2026年)により、リオデジャネイロ州における二つのパイロットサイトにおける砂防施設の建設を含めた土砂災害リスク削減のための能力強化を行いました。
現在、ブラジルでは、州や市レベルでの防災対策を実行する力(設計や工事管理)の強化が引き続き課題です。特にこれから、パイロットサイトで工事が本格的に始まるため、現場で発生するさまざまな課題に対応していくことが重要になります。こうした対応は、これまでの協力で育ってきたブラジル側の機関が主体となって進めていくことが期待されています。
派遣される専門家は1名のみで対応できる範囲には限りがありますが、必要に応じて技術的なアドバイスを行い、日本の経験を共有することで現地の取組を支援します。また、これまでのプロジェクトで合意した取組事項の進捗をフォローし、その着実な実施を後押ししていきます。土砂災害リスク削減アドバイザーには、今後の日伯間の防災協力を進めるための「対話の窓口」としての役割も担うことが期待されています。
【以下専門家の挨拶:】
Ola! ブラジル統合・地域開発省に専門家として着任いたしました、藤村直樹です。
赴任直後、先に紹介のあった技術協力プロジェクトの契機となった2011年の土砂災害被災地を訪れました。そこには、ブラジルの発展の歴史を感じさせる美しい街並みと、その土地で育まれた人々の暮らし、文化、産業が今も息づく姿がありました。
こうした地域を土砂災害の脅威から守り、さらに豊かな未来へと繋いでいくためには、砂防施設の整備を含めた継続的な対策が不可欠です。
現在、パイロットサイトでは砂防堰堤の整備が進んでおり、統合・地域開発省では、これらに加えて対象地域をさらに拡大し、整備を推進していく方針です。
これまでと大きく異なるのは、技術協力プロジェクトの完了により、ブラジルが移転された技術を基盤として、自らの力で対策を進める新たなフェーズに入った点です。
そのための重要なステップとして、日本のマニュアルの単なる焼き直しではなく、ブラジルが元来有してきた知見を反映した「SABOマニュアル」が策定され、設計・施工はこのマニュアルに基づいて進められています。
私の役割は、日本の型にはめることではなく、ブラジルが描く理想の土砂災害対策の姿をともに明確にし、その実現に役立つ日本の知見や経験を共有しながら、技術の定着を支えることだと考えています。
こうした歩みを進め、将来は、互いの知見や経験を共有し双方で土砂災害対策を発展させていける関係を築く礎となる活動ができればと考えています。
皆様のお力添えを賜れますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
藤村直樹