ルワンダ国「コーヒーバリューチェーン強化振興プロジェクト」のコスタリカ視察
2025.05.22
コーヒーの消費量は世界的に増えており、今後ますます増えていくことが予想されています。コスタリカのコーヒー栽培は主に小規模農家によって成り立っており、ブラジルやベトナムなどのコーヒー輸出大国には量ではかないませんが、質の良いスペシャリティコーヒーに重きを置いて、国際的な評価も高いことで知られています。
このようなコスタリカのコーヒー栽培を参考にすべく、20252月3日から12日にかけてアフリカのルワンダで実施されている「コーヒーバリューチェーン強化振興プロジェクト」の専門家とカウンターパートがコスタリカを訪問しました。以下、同ミッションに同行したルワンダ事務所菅藤企画調査員からの投稿を紹介いたします。
ルワンダでは、同国のコーヒーの国際市場における認知度を高めるため、より高品質で収益性の高いコーヒー生産モデルの開発を目指し、「コーヒーバリューチェーン強化振興プロジェクト(2021年~2026年)」を実施しています。ラテンアメリカやアフリカのコーヒー生産競合国が独自のセールスポイントを活用して強力なポジショニングを築いている中、ルワンダは長年、一般的なアラビカ品種とフルウォッシュ(fully washed)加工方法によるスペシャルティコーヒーの生産・輸出を続けています。
しかし、他国との差別化が難しく、輸出総額が伸び悩んでいる現状において、ルワンダはコーヒーセクターに革新的な変化をもたらすため、昨年「ベストオブルワンダ」という独自の国際オークションを実施し始めました。今年のベストオブルワンダでは、参加者に対してより高度で差別化可能な加工方法を取り入れたマイクロロット生産を促進し、より高品質なスペシャルティコーヒーの生産を目指しています。
今回は、コスタリカを第3国研修先として選び、2月4日から12日の日程でコスタリカコーヒー機関(ICAFE)や、国内のコーヒー産地にある農園を訪問しました。ここでは、コスタリカのコーヒー政策、研究開発、そして異なる加工方法について学ぶことができました。
本研修には、JICAプロジェクトチームに加え、ルワンダ政府の国立農業輸出機構(NAEB)から2名、農業動物資源開発庁(RAB)から1名、そしてコーヒー民間企業関係者1名が参加し、それぞれの立場から今後の改善策について考察する貴重な機会を得ました。
コスタリカのコーヒー産業は、最高品質のコーヒー生産を実現するために体系的に組織されており、新しい品種の導入や加工方法に関する規制が少ないため、各農場が異なる品種を試すことができ、顧客のニーズに柔軟に応えることが可能です。この点が、ルワンダとは大きく異なる特徴です。これらの学びは、ルワンダのコーヒー政策を今後検討していく上で非常に重要なヒントとなるでしょう。
今後、JICAプロジェクトは、ルワンダにおいてより高度な加工方法の導入に力を入れ、2025年の「ベストオブルワンダ」において、より多くの参加者が異なる加工方法でマイクロロット生産に取り組めるよう推進します。また、コスタリカにおける研究開発の取り組みを参考にし、ルワンダのフラッグシップとなる可能性がある新たな品種「ミビリジ種」の開発にも注力していく所存です。
今回、遠くコスタリカで熱い思いを持ってコーヒーセクターに従事する多くの関係者から温かいご指導をいただき、数多くのお土産を持ってルワンダに帰国することができました。
コーヒーのテイスティングについての説明。
コーヒー豆収穫後の処理工程の視察。
訪問先のコーヒー農家にて。
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