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ラオス北部のボケオ県へのJICAの協力について~第23回美弥子所長が聞く~

2026.01.29

2026年1月、首都ビエンチャンから北西に約650キロ離れたボケオ県を訪れました。今回は「美弥子所長が行く」として、ボケオ県におけるJICAの協力や魅力・特徴を紹介します。

【ボケオ県について】

 ボケオ県は、ラオスの北西に位置しており、タイ・ミャンマーとメコン川を国境として接しています。タイとは第4ラオス・タイ友好橋がメコン川に架かっており、タイからラオスを通って、中国へと至る物流の要所となっています。13の民族が暮らしており、それぞれが独自の社会と文化を持っています。
 タイからボケオ県の県庁所在地であるフアイサイ郡に入り、そこからメコン川を下ってルアンパバーン県へ行くのは、多くの観光客にとってラオスの自然と文化を身近に感じることができる人気のコースとなっています。フアイサイ郡中心にある Fort Carnot(カーノー砦)は、フランス植民地時代の軍事要塞で、1900年頃に建設され、フランス軍がタイや英領ビルマ(ミャンマー)を監視するために設置されました。現在も監視塔や城壁などが残っており、ラオス国内で最も保存状態が良い植民地軍事遺構の一つです。2024年にはカフェも含めて整備され、ラオス人、外国人問わず人気の観光スポットとなっています。

Fort Carnot(カーノー砦)

Fort Carnot(カーノー砦)からのメコン川の眺め

 2024年には、ボケオ県トンポン郡で、メコン川から古代都市スワンナコムカムに由来するとされる高さ2メートルもの古代仏像が発見され、この仏像が安置されているトンティップ・パッタナラーム寺は多くの人々が訪れるようになっています。最初に、20〜80cm級の青銅仏像が見つかり、その後、巨大仏像が見つかりました。これらは14~16世紀の寺院遺構と推定され、今回の出土は千年以上前の文明遺跡や歴史寺院が点在していると言われており、この地域の文化的歴史的背景を裏付けるものと考えられています。

メコン川で発見された古代都市スワンナコムカムに由来するとされる仏像

トンティップ・パッタナラーム寺に安置されている仏像

●副知事訪問

今回、ボケオ県副知事を表敬訪問し、ボケオ県におけるJICAの取り組みや、今後の開発計画・ニーズについて意見交換を行いました。

カムセン・スリニャウォン副知事(以下、カムセン副知事):JICAのこれまでの水道・教育分野等への協力に感謝します。今後は、農業と民間企業進出にかかる協力を検討していただきたい。農業分野について、ボケオ県は気候も良く、土壌の質も良いことから野菜栽培や家畜飼育を通して経済発展を進める計画です。また、JICA海外協力隊の活動によりウドムサイ県ではハンディクラフトの商品開発などで成果を上げており、現在、隊員がかかわった製品が人気のお土産になっていると聞いています。ボケオ県にもJICA海外協力隊を派遣してもらえるとありがたいです。

小林美弥子所長(以下、美弥子所長):農業分野についてはラオス農業環境省とともにボケオ県を含めた国内近代市場向けFood Value Chain (FVC) の協力を計画しています。また、JICA海外協力隊についても、安全面や医療面を確認した上で、ボケオ県のハンディクラフト等の商品開発・販売促進のために前向きに派遣を検討します。

カムセン副知事:日本の民間企業の方にも、是非、ボケオ県ゴールデントライアングルSEZ(注1)に参加いただきたいと考えています。ボケオ県は、タイとの間に第4友好橋が架かっており、タイからのアクセスに優れています。また、ボケオ国際空港が2024年に開港し、首都ビエンチャンからのアクセスも改善しました。ボケオ県では温泉も湧いており、観光分野での投資も期待しています。

※注1:ゴールデントライアングルSEZ(GTSEZ)は、ラオス政府と民間企業の共同出資により2007年に設立された経済特区で、タイ・ミャンマー・ラオスの国境が交わるゴールデントライアングル地区に設立された経済・観光拠点です。

ゴールデントライアングルSEZ

ボケオ国際空港

メコン川にあるラオス・タイ・ミャンマー国境

●ボケオ県水道公社訪問

美弥子所長:ボケオ県では、技術協力プロジェクト「水道事業運営管理能力向上プロジェクト(MaWaSU3)」の現場での議論を楽しみにしてきました。特にボケオ県は、「水道施設整備基本計画(コンセプトペーパー)作成を通じた公共事業運輸局と水道公社間の連携体制構築」のモデル県に選定され活動を進めています。今後、ボケオ県でのグッドプラクティスを他県に共有していっていただきたい。

カムパイ・ポンタチャック公共事業運輸局副局長:公共事業運輸局と水道公社との関係は、1999年に政府によりボケオ県水道公社が国営企業として設立され、公共事業運輸局が水道公社を管轄する形となっています。MaWaSU3プロジェクトのモデル県として、公共事業運輸局と水道公社が施設整備の課題と目指すべき姿を共有し、コミュニケーションを深めることによって連携体制がより強化されました。

ブンラーイ・ミンブパー水道公社総裁:現在、ボケオ県全体では、都市部に限定すると約85%の住民へ水道を供給しています。水質も政府が定める基準をクリアしています。これまでにMaWaSU3プロジェクトとともに、2045年までのコンセプトペーパーを4つ作成しています。コンセプトペーパー作成方法について他県へ伝える全国展開会議では、ボケオ県が講師役として貢献しています。今後は、昨年10月の本邦研修に参加したメンバー中心に、技術力を備えた人材の育成に注力していきたいです。

●ボケオ県教育スポーツ省訪問

美弥子所長:JICAは、ボケオ県を含め、合計、ラオス国内9県を対象に県教員研修センター(PTDC)を無償資金協力で建設する予定です。具体的な活用計画を教えてください

ワンディ・タンマウォン局長:ボケオ県には13の民族がおり、教育へのアクセスが難しかったり、ラオス語が苦手な子どもがいたりと、県全体でみると学校間で学力に大きな差があります。このため、教員の質向上に努めてきていますが、これまでは教員研修のためには隣県のルアンナムター教員養成校に行く必要がありました。170キロ離れており、移動に多くの時間と費用がかかることから、研修機会が多くありませんでした。PTDC完工後には、多くの教員に研修を受けてもらい、指導力を身に付けてもらいたいと考えています。特に学力が低い学校での教員の指導向上に努めていきます。

美弥子所長:JICAでは、過去に算数教科書の作成を支援しており、小学1年生から5年生までの児童が使ってくれています(注2)。今後、教員が新しい算数教科書を使いこなせるように算数の指導力向上のためにもPTDCを活用してください。

ワンディ局長:昨年、政府の方針により長年に渡りボランティアで働いていた教員が、正式な教員となることができました。算数が苦手な子どもが多いので、特に多くの若手の教員に算数の適切な指導法をPTDCにて学んでもらいたいと考えています。

注2:教科書作成を主とした案件の詳細: 初等教育における算数学習改善プロジェクト | ODA見える化サイト  なお、現在実施中の教科書・指導書の活用案件の詳細:初等算数授業改善のための教員指導力強化プロジェクト | ODA見える化サイト

ラオスは北部、中央部、南部とそれぞれ特徴が異なり、ニーズも多岐にわたります。今回は北西部のゴールデントライアングルで有名なボケオ県に行きましたが、他県同様、知事・副県知事らは「JICA」や「協力隊」の名前は知っていてくれますが、具体的な方針やスキーム、活動については、よりPRしていく必要があります。今年は、「美弥子が行く」として各地方からの発信を増やしていきます!

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