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ネリカ米で挑む! 地域の水資源を活かし、生徒たちが稲作を学ぶ

#1 貧困をなくそう
SDGs
#9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGs
#8 働きがいも経済成長も
SDGs

2025.06.16

JICA海外協力隊としてパプアニューギニア(PNG)に派遣されている鈴木健斗隊員(職種:野菜栽培)は、セントラル州ソゲリ地域に位置するイアロワリ農業工業高校にて、ネリカ米を使用した稲作実習を行いました。

今回の実習は、PNGに派遣されているJICAボランティアによる農業分科会での研修をきっかけに計画されたものです。水田を必要とせず、乾燥や病気に強い特性を持つ陸稲「ネリカ米」を教材に、圃場整備、種籾の浸種、仮移植、本移植、灌水といった一連の作業工程を、生徒たちと共に実践しました。

移植作業に取り組む生徒たち。自分の稲に名前を付ける姿も見られ、実習は活気に満ちていました。

種籾の入手を支えた、日本とPNGのつながり
今回の稲作に使用した種籾は、JICAの研修を修了した国立農業研究所(NARI)の科学者、ディクソン・ベニー氏から提供されたものです。ベニー氏は、JICA筑波国際センターでJICA短期研修(10ヶ月間)「小規模農家の生活向上のための野菜生産技術」を受講しました。現在は農業局に勤務しながら地域の農業振興に尽力されています。
首都での種籾の調達が難しい中、このつながりのおかげで入手することができました。PNGと日本の協力関係が、現場の教育活動を直接支えている一例です。

寮生活を支える主食「お米」
イアロワリ農業工業高校の寮には約700名の生徒が在籍しており、1日3食の給食が提供されています。メニューはすべて「ご飯と一品のおかず」。1日あたりの米の使用量は約180キロにものぼります。
給食費は年間一人250キナ(約8,750円)ですが、それだけではとても賄いきれず、政府からの助成金により運営されています。お米は調理時間が短く、大量調理に適しているため、給食向きの食材といえます。

仮移植の後、生徒たちが圃場の整地に取り組む様子。新鮮な視点での指導が続きます。

水資源豊富な地域での新たな試み
ソゲリ地域は「首都の水瓶」とも呼ばれる水源地帯で、年間3期作が可能とされています。水資源に恵まれたこの土地での稲作は、生徒や地域住民からも大きな期待が寄せられています。
実は鈴木隊員が赴任当初、表敬訪問の際に「もし可能なら、稲作に挑戦してみたい」との声があり、今回の活動はその念願が形になったものです。

活動の継続をめざして
残念ながら鈴木隊員の任期は、収穫の直前または直後に終了予定ですが、活動を引き継ぐために、JICA技術協力プロジェクトで作成された「陸稲ハンドブック」を活用し、現地教員への指導も行っています。

稲作を通じて得た知識と経験が、PNGの農業教育の中で今後も活かされていくことが期待されます。

鈴木隊員をはじめとするJICA海外協力隊は、PNGの農業現場で、持続可能な農業の実践や次世代の人材の育成に取り組んでいます。

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