教員研修 ― 首都の小学校の先生方と共に教科書活用を学ぶ ―

2025.09.19
2025年8月28・29日、首都ポートモレスビーで、小学校の先生を対象にした2日間の教員研修が行われました。研修は、ポポンデッタで活動する鈴木佑隊員(Popondetta Primary School)と小林虹矢隊員(Bethel Primary School)が中心となり、JICAの伊藤明徳専門家の協力を得て実施されました。
鈴木佑隊員(青少年活動/ポポンデッタ小学校配属)
小林虹矢隊員(青少年活動/ベゼル小学校配属)
研修の目的
PNGの小学校では、3年生から6年生に算数と理科の国定教科書が配布されていますが、政府による研修機会が少ないため、実際の授業では十分に活用されていない場合もあります。今回の研修は、教科書の意義や利点を先生に改めて知っていただき、日々の授業でより使いやすくするための工夫を学んでもらうことを目的に行われました。
研修の内容
2日間の研修では、授業の組み立て方や教材の使い方を、実演や模擬授業を通して紹介しました。
Step by step
の授業構成
「復習」「デモンストレーション」「演習」「まとめ」の4つの流れを取り入れることで、児童の理解が深まり、自信を持って学習に取り組めることを紹介しました。
視覚的教材の活用
ブロックや手作りの時計、アクティビティカードなど、身近なものを使った算数教材を紹介しました。特に「10をつくる」概念を体験する模擬授業は、参加した先生に大きなインパクトを与えました。
実践的な教材紹介
九九表をイラストで覚える方法や、分数を図で示す方法、文章題を理解するための図解手法など、すぐに使える工夫が数多く紹介されました。
先生の反応
多くの先生が「これまで知らなかった教科書の使い方を学べた」と前向きに受け止めていました。特に低学年を担当する先生からは「今すぐ授業で試してみたい」という声もありました。一方で、長く自己流で教えてきた先生からは戸惑いの声も聞かれましたが、全体としては新しい方法への理解が広がりつつあります。
専門家の視点
研修に支援した伊藤教育専門家は、「この研修は、先生が教科書の価値を改めて知り、実際に使ってみようと思うきっかけになった」と述べました。特に低学年の先生方を対象に行ったことは大きな意義があり、児童の基礎的な算数力を育てる上で効果的な取り組みになったと評価しています。
伊藤専門家
今後に向けて
今回の教員研修を通じて、教科書を活用することが児童の学力向上につながることが改めて確認されました。同時に、継続的な研修や教材の普及の大切さも明らかになりました。
JICAは今後も教育省や専門家、協力隊員と連携し、首都をはじめ全国の学校で、子どもたちがよりよい学びの環境で成長できるよう支援を続けていきます。
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